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第 1 話 ③

< 第 1 話 > ③
 「ほら、お馬さんにのんのしてみるかい?」
 私が誘うと、彼女は喜んで私の背に跨る。もちろん二人とも全裸。
 それが羨ましく感じられたのだろう、ご一緒していた森山さんまでが

 「おっ、楽しそうだな、恵子ちゃんもおじさんの背中にのんのしてみ
るか」
 賞品の恵子ちゃんを背中に乗せて風呂場を歩きだした。二人は嬉しく
なって浴室を4周も四つんばいで回ってしまった。
 さっきまで見ず知らずだった男といきなり風呂に入れられ、お馬さん
ごっこだなんて巷でなら到底信じられない光景だろう。しかし、それが
亀山の子、亀山の躾だった。
 『知らない人に着いて行っちゃだめですよ』というのが巷の格言なら、
亀山は……
 『目上の人を見たら笑いましょう、万歳して抱いてもらいましょうね。
ご飯と同じ、好き嫌いはいけませんよ。どんな方も抱いていただけるな
らあなたにとってきっと、きっと、良いことがありますからね』
 と諭され続けて育ってきたのである。
 私は水紀の身体を洗ってやる。洗い場の腰掛けに腰を下ろさせると、
すっぽんぽんの身体を隅から隅までスポンジにボディーソープをつけて
丹念に洗うのだ。
 もちろん、彼女が嫌がるなんてことは一度もなかった。
 実は、亀山では13歳までの子が自分で自分の体を洗うことはなく、
大人たちが洗ってくれるのをただ待っていなければならなのだ。だから
彼女にとって私は初対面の大人なのだがお風呂の入り方としては亀山で
の習慣と何ら変わりなかったのである。
 私たちは再び湯船に浸かった。そして、さっきと同じように膝の上に
水紀を乗せるとタオルで愛おしく顔から胸、背中、お尻、あんよ、そし
てお臍の下の大事な処に至るまで丹念に撫で洗ったのである。
 「気持ちいいか?」
 と言うと…
 「はい」
 という屈託のない笑顔を返す。これなんか普通に娘を育てていればあ
り得ないこと。亀山の躾の賜なのである。
 そんな蜜月を楽しんでいる処へ先ほどの森山さんから声がかかる。
 「どうですか、ミルク、あげてみませんか?」
 「こりゃあどうも…じゃあ、遠慮なく」
 思わぬほ乳瓶の差し入れ。よもや賞品をゲットできると思っていなか
ったからそこまで用意していなかったが、彼は用意周到な人なのだろう。
ありがたかった。
 「水紀ちゃん、ミルク飲むかい?」
 私はほ乳瓶のミルクを水紀に勧める。言葉の形は勧めるなのだが亀山
の子がそれを拒否することなどあり得なかったから命令というのが実際
のところだった。
 「はい、おにいちゃま」
 もちろん水紀は快く応じる。私だって同じ場所を通ってきた人間だか
らその事情はよく知っているが、亀山の子は『13歳までは赤ちゃん』
なのだから大人にほ乳瓶を差し出されたら笑顔で美味しそうに飲まなけ
ればいけなかった。
 ふてくされた態度で飲めばそれだけでもお仕置きだったのである。
 「ああ、良い子だ。良い子だ」
 懸命に大きな特注ほ乳瓶を頬張る水紀を見て、私は思わず『このまま
家に連れて帰りたい』という衝動にかられた。正直、私自身がお父様や
お母様からこれをやられていた頃は『なんでこんな事が面白いんだろう』
と思っていたから、今は水紀だってそう思っているのだろうが、水紀を
湯船の中で抱いてみて『なるほど』とお父様たちの気持ちが理解できの
である。
 「よし、あがろう」
 私はそう声をかけて立ち上がる。最初はそんなつもりがなかったが、
ほ乳瓶を口にする彼女のあまりの可愛さに見とれ彼女からほ乳瓶を取り
上げる気にならず、抱いたそのままの姿で湯船を出ると、身体も吹かず、
前も隠さずで赤ちゃん水紀を脱衣場へと運んだのだった。
 ところが、脱衣場の扉を開けたとたん、レディーたちの甲高い声が聞
こえて慌ててしまったのだろう。手近にあったベビーベッドに赤ん坊を
寝かしつけると、自分は手早くパンツだけを穿いて水紀の身体を大判の
バスタオルでくるんでやった。
 「……」
 そんな私の慌てぶりが面白かったのだろう水紀はピンク色の頬を見せ
て笑う。
 たしかに赤ん坊というには大きな身体だったが、この上もなく愛らし
く食べてしまいたいほど可愛い姿に変わりはなかった。
 「ほう、水紀ちゃんもお風呂あがりか。可愛いなあ」
 森山さんが寄ってきて水紀の頬を人差し指の腹でぷよぷよっと押す。
とたんに、水紀の顔が緩む。それは親愛の情でというより女の子として
の営業笑いなんだろうが、たとえ、そうでも男二人は嬉しいかった。
 「可愛いな、さすがは女の子、愛嬌がある。同じ歳の男の子をここに
寝かせてみてもこうはならんよ」
 森山さんはご満悦の様子で水紀の顔をあちこち指先でこづき回す。
 私もそんなお人形遊びは嫌いではない。
 二人でお互いの賞品を見比べあい、悪戯しあっていると、先生がやっ
てきた。
 「そろそろこの子たちに服を着せていただけますか?」
 二人は恐縮してさっそく作業にとりかかったが……
 「?」
 脱がした時には穿いていたこの年頃の子が穿くような綿のショーツが
見あたらないのである。
 「いえね、パンツが見あたらないと思いまして……」
 こう言うと先生は思わず失笑したようで……
 「ごめんなさい。わたしとしたことが……いえ、お話しまだでしたね。
実はこの子たち二人ともこれから学校に帰ってお仕置きがありますの」
 「えっ、そりゃまた……そんな、おいたをするようにには見えなかっ
たけど……いったい何をしたんです?」
 「二人して日曜日のミサをさぼったんです」
 「ミサを……」
 私と先生の間に森山さんも加わる。彼も私と同じ悩みを抱えていたの
だ。だから二人とも上はブラウス下もスカートだけは穿いているのだが、
その中はすっぽんぽんだったのである。
 「ほう……」
 私と森山さんは思わず顔を合わせて笑ってしまった。
 「あのミサは大勢の子が一緒に司祭様のお話を聞くので礼拝堂に自分
一人いなくてもばれないだろうって思っちゃうんでしょうね」
 「出欠も取らないから……」
 「だけど、あれ香月先生が天井桟敷で出欠をチェックしてるんですよ。
……あ、今はどなたが……」
 「香月先生です」
 「やっぱり」
 「いえ、それだけならまだいいんですが、この子たちその事を注意さ
れると『体調が悪かったから保健室で休んでた』って嘘をついたんです」
 「あらあら、それはいけないわな。亀山は天使の楽園、嘘をつくよう
な子は置いてもらえないんだよ」
 森山先生は青ざめた二人の顔を交互に覗き込むと、ちょっと茶目っ気
のある笑顔で「めっ!」と言ってたしなめたのである。
 「でも、そんな子をよく出しましたね」
 「それとこれとは話が別ですから。…それに幼い子と違ってお仕置き
はこれからでもできますから……」
 「そうですか、……で、これから私たちは?」
 「よろしかったら、この子たちにオムツをはめてもらえないでしょう
か」
 「ええ、それは構いませんけど…いいんですか?私たちで」
 「はい、先生方は私たちの亀山の優秀な先輩ですから間違いはないと
信じております」
 若い先生に持ち上げられて私と森山さんは二人の可哀想な少女の為に
オムツを当ててやることになった。
 もちろん、少女達の大事な部分は全て丸見え。その時、二人の奥の宮
にはすでにお灸の痕があることを知って、そのことでもお互いに顔を見
合わせてしまった。
 「これ、新しいですね。すえられて間がないみたいだけど、やっぱり
この一件ですか?」
 「ええ、これが適当な時期と園長先生ともども判断致しましたしたの
で……」
 「この子たち五年生なんでしょう。実は僕も五年生の初夏でした」
 「そうですか、僕も秋口だったけど、やっぱり5年生だったんです。
5年生が多いみたいですね」
 「ええ、早い子は四年生、遅い子は六年生の子もいますけど、やはり
五年生というのが一番多いみたいです」
 「早い方がいいでしょう。成長してからじゃ余計熱いでしょうから」
 「ところが、そうでもないんです。大陰唇はいわば外皮ですから成長
しても、だから特別に熱いということはありません」
 「でも、熱いのは熱いんでしょう?」
 「そりゃあ、お灸ですから……ただ、その熱さがお尻なんかと比べて
も特別なものではないということなんです。……ただ、女の子にとって
それは自分の大事な処ですからね、その精神的なショックが大きくて、
それで、『あそこは特別に熱かった』なんていう子がいるんです」
 大人たちの雑談が続く間も二人の少女の両足を高く上げて待っていな
ければならなかった。当然、少女達は自分の両足の付け根を人前に晒し
たままにしておかなければならないわけで、すでに身体が変化し始めて
いる少女達にとってはとっても恥ずかしいことだったはずである。
 かといって目上の人への絶対服従が掟になっている亀山で育つ彼女達
は、「早くしてください!」なんて叫び声をあげることもできない。
 おまけに楽しそうな声に誘われて隣の婦人用の脱衣場からもレディ達
が顔をだすものだから、可哀想な二人はいよいよもって大勢の前で晒し
者になってしまったのである。
 「あら、何やら賑やかな声が聞こえたので立ち寄ったら、チビちゃん
たちのオムツ替えだったのね」
 「おやおやレディ、ここは男性の更衣室ですよ」
 「承知してますよ。でも、お二人ともお着替えになられたんでしょう」
 「私と森山さんはそうですが…」
 「だったら、よろしいじゃありませんか」
 「でも、まだチビちゃんたちが…」
 「なにぶん慣れないもんでオムツ替えに手間取ってしまって……」
 「この子たちはいいんですよ。赤ちゃんなんですから」
 恰幅のいいその中年女性は、森山さんから浴衣地のオムツを取り上げ
ると、手際よく女の子のお尻にはめていく。
 でも、ちょっぴり遊び心が起こったのか、浴衣地の布を当てる瞬間、
水紀の小さな小さなクリトリスを十分露わにしてから舌先でちょろりと
舐め上げた。
 「あっ、いや!」
 凍り付くように身を固くする水紀。しかし、大声は出さない。
 ま、巷の家庭でこんなことが行われているかどうかしらないが、亀山
でならこれは事件でもなんでもなかった。亀山の赤ちゃんたちは誰から
も愛されていたが、そこには純粋な慈愛だけでなく性にまつわる愛情も
含まれている。もちろん節度はちゃんと守られていたが、例えば風呂上
がり、大人たちは悪戯半分に子供たちの性器へキスするのが習慣で、愛
を込めて行われるフェラチオやクニングスはそもそもお仕置きでも虐待
でもなく、やはり愛の表現だったのである。
 実際、私自身もこの歳の頃までは毎日のようにお風呂上がりにはママ
のキスを全身に受けて喜んでいた。
 そう、単純にくすぐったくて気持ちよかったからだ。だから、世間の
評価はともかく彼女の行いを非難する気などまったくなかったのである。
 オムツをはめた二人に大人たちは亀山流の祝福をする。
 膝に抱き上げ、ほ乳瓶でミルクを飲ませるのだ。
 もちろんこの時、女の子たちは笑っていた。
 きっとお腹の中では…
 『ああ、うっとうしい。もういい加減やめてよ』
 と思っているのだろうが笑顔はしっかり作っていた。
 『どうして、こんなことさせて楽しいんだろう』
 抱かれていた頃はそう思っていたが自分が抱く立場に変わると確かに
子供の笑顔はそれが本心でなくとも自分に力を与えてくれる。ましてや
それが上品である程度の教養を備えていればなおのことだ。
 ママからよく言われたことがある。
 「あなたがお勉強するのも、ピアノを練習するのも、今はすべて育て
てくださるお父様のためなの。でも、一度身に付いたものはあなたの体
を離れないから、それはあなたが大人になった時には役立つはずよ」
 「あなたはこの街で暮らすどなたにも無条件で抱いてもらえる。それ
はあなたが女王様からいただいたプレゼント。でも同時に、大人の人に
抱いてもらったら必ず笑わなければならないわ。それはあなたの女王様
に対するお礼。決して忘れてはいけないことですよ」
 亀山での赤ちゃん生活はただ寝ていればいいというわけではないのだ。

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tutomukurakawa

Author:tutomukurakawa
子供時代の『お仕置き』をめぐる
エッセーや小説、もろもろの雑文
を置いておくために創りました。
他に適当な分野がないので、
「R18」に置いてはいますが、
扇情的な表現は苦手なので、
そのむきで期待される方には
がっかりなブログだと思います。

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