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御招ばれ <第 2 章> 「第 3 回」

    御招ばれ <第 2 章> 「第 3 回」


*** 前口上 ******
*)ソフトなソフトなお仕置き小説です。
  あくまで私的には……ということですが(^◇^)

*)あ、それと……当たり前ですけど、一応、お断りを……
  これはフィクションですから、物語に登場する団体、個人は
  すべては架空のものです。実在の団体とは関係ありません。



*** 目次 ********
 「第1回」(1)~(3)……伯爵様へのプレゼンテーション
 「第2回」(4)~(5)……遊園地での楽しいひととき
 「第3回」(6)~(8)……懲罰室でのお仕置き


********<主な登場人物>**********

 春花……11歳の少女。孤児院一のお転婆で即興ピアノが得意。
     レニエ枢機卿が日本滞在中に彼の通訳をしていた仁科
     遥との間につくった隠し子。
 美里……11歳の少女。春花の親友。春花に乗せられて悪戯も
     するが、春花より女の子らしい。絵が得意な少女。
     植松大司教が芸者小春に産ませた子。
      二人は父親の意向で母親から引き離されこの施設に
     預けられたが、彼女たち自身は父母の名前を知らない。
 町田先生……美人で評判の先生。春花と美里の親代わり。二人
      とは赤ちゃん時代からのお付き合い。二人は、当然
      先生になついているが、この先生、怒るとどこでも
      見境なく子供のお尻をぶつので恐がられてもいる。
 シスターカレン……春花のピアノの師匠。師匠と言っても正規
         にピアノを教えたことはない。彼女は周囲に
         『春花は才能がないから』と語っているが、
         本心は逆で、聖職者になることを運命づけら
         れていた彼女が音楽の道へ進むのを奨励でき
         ない立場にあったのだ。

 安藤幸太郎……安藤家の現当主、安藤家は元伯爵家という家柄。
       町外れの丘の上に広大なお屋敷を構えている。
        教養もあり多趣味。当然子どもは好きなのだが、
       その愛し方はちょっと変わっていた。

 安藤美由紀……幸太郎の娘。いわゆる行かず後家というやつ。
        日常生活では幸太郎の世話を焼くファザコン。
        子どもたちがお泊まりにくればその世話も焼く
       のだが、彼女の子供たちへの接し方も世間の常識
       にはかなっていなかった。

 柏村さん………表向き伯爵様のボディーガードということだが
       実際の仕事は秘書や執事といったところか。
        命じられれば探偵仕事までこなす便利屋さんだ。

 三山医師………ほとんど幸太郎氏だけが患者というお抱え医師。
        伯爵とは幼馴染で、世間でいう『茶飲み友だち』
        幸太郎氏とは気心も知れているためその意図を
        汲んで動くことも多い。

 峰岸高志………春花ちゃんが一目ぼれした中学2年の男の子。
       ルックスもスタイルもよくておまけに頭もいいと
       きてるからクラスの女の子が放っておかないが、
       彼自身は女の子に興味はない様子だ。

****************************


**********「第 3 回」*********

御招ばれ<第2章>(6)

 町田先生に引率されてしおしおと居間へ連れて来られた二人で
したが、伯爵様の方は機嫌よくピアノを弾いておいででした。

 二人に気づくと……
 「ん?どうしたね」
 と声をかけられます。

 「私たち、お風呂場のマリア様の像を壊してしまったんです。
ごめんなさい」
 春花ちゃんが言うと、美里ちゃんも……
 「ごめんなさい」
 と続きました。

 「あっ、あれね。町田先生からも伺いましたけど、仕方がない
でしょう、壊れたものは元に戻りませんから…………それより、
あなた方、どこも怪我はありませんでしたか?」

 「はい……」
 「大丈夫でした」
 二人は上目遣いに小さな声で答えます。

 「それはよかった。それが何よりです。せっかく招待したのに
怪我をさせて返しては私も快くありませんから……」

 伯爵様はピアノを弾く手を休めません。

 「……ところで、あなたたち、よく、あんな高いところに手が
届きましたね。あれは確か、天井近くの通気口に固定してあった
はずですよ」

 「……それは……脚立を持ってきて……」
 春花ちゃんが答えますと、美里ちゃんも……
 「……マリア様は少し強く引っ張ったら、取れたんです」

 「脚立?……ああ、ありましたね。ペンキの塗り替えで使って
そのままにしていた古いのが……ああ、あれですか。……でも、
あれをあそこまで持ってきたんですか。……じゃあ、重かったで
しょう」

 「……あっ……はい」

 「今の子はなかなか活動的だ。そうそう、あのマリア様、本当
はあそこにコンクリートで固定してあったんですが、もうもろく
なってたみたいですね。あなたたちがそれを教えてくれたんです
からむしろ感謝しなければいけないかもしれませんね。……でも、
そこまでして……あなたたち、あのマリア様に何か特別の興味が
あったんですか?」

 「えっ?……いえ、そうじゃなくて……」
 美里ちゃんが答え始めましたが、途中で口ごもってしまいます。
 それって、やはり答えにくいことでした。

 「まさか、覗きじゃないですよね」
 伯爵様はそう言って二人の顔をちらっと見ます。

 「…………」
「…………」
 二人はその質問に答えませんでしたが、伯爵様は垣間見た子供
たちの一瞬の様子でわかったみたいでした。

 「……おやおや、そうですか?男の子の場合はよく耳にします
けどね。女の子でもやはり興味がありますか?……男の子の裸」

 伯爵様は終始にこやかですが、そう指摘された二人は赤面して
いました。

 「…………」
「…………」

 あの時の二人の思いに一番近いのは、やはりお風呂での開放感
からつい悪乗りしてしまったってことなんでしょうが……
 今、この場で考えると恥ずかしくて仕方がありませんでした。

 「男の子は見えましたか?」

 「……いいえ、みんなもう脱衣場の方に帰ってましたから…」
 春花ちゃんが答えます。

 「そう、それは残念でしたね。せっかく大きくて重い脚立まで
引っ張ってきたのに……獲物はありませんでしたか……」

 「…………」
「…………」

 しょげ返っている二人に伯爵様は……
 「ただ、獲物はなくても、罰は受けないといけないでしょうね。
あなたたちはそれだけの事をしてしまったんですから……」

 「……はい」
 「……はい」
 小さく蚊の鳴くような声ですが、二人は返事をします。

 その声に応えるように伯爵様はピアノをやめると、二人の方へ
向き直ります。そして、その小さな手を取ると……
 「でも、あなたたちは立派ですよ。二人とも勇気があります。
今は女の子もこうでなくちゃいけません」

 伯爵様は二人をその大きな両手で抱き寄せると……

 「いいですか、あなたたちは男の子のような事をしたんだから
男の子のような罰を受けなければならない。これは社会のルール
だから仕方がないことなんです。……それは分かってますよね」
 伯爵様はその皺くちゃな手で二人の頬を優しく包み込みます。

 「……はい」
 「……はい」
 二人が小さく頷くと伯爵様は零れ落ちそうな笑顔になりました。

 「ああ、いい子だ。いい子だ。それが分かっていれば十分だ。
……だけど、もしお仕置きを受けるようなことがあっても、それ
が終わった時には、君たちは男の子のように強くなってるはずだ
から、受けて損はないかもしれませんね」

 「えっ、嫌よそんなの」
 春花ちゃんは即座に否定しますが、美里ちゃんは、不安そうな
顔で尋ねました。
 「……本当なの、男の子みたいに強くなるって?」

 すると、伯爵様は美里ちゃんをお膝に抱きかかえて……
 「本当だよ。……試練は人を強くします。女の子も数々の試練
に打ち勝つことで強くなります。心の強さに男の子女の子の区別
はありませんから」

 「本当に男の子のように強くなれる?」
 今度は春花ちゃんが尋ねます。

 「力じゃないですよ。心が強くなるんです」
 伯爵様は春花ちゃんもお膝に抱き上げました。
 「若いうちというのは、とかく欲望が止まらなくて、あげく、
お仕置きされることも多いけど、それを恥じる必要はないんだ。
勲章だと思えばいいのさ。間違いがあっても罰を受けて償えば、
また先へ進める。お仕置きだって人生の貴重な経験の一つだから
無駄にはなっていない。君たちは、何もしない何もできないくせ
に口を開けば正義の味方を気取る臆病者なんかより数段良いこと
をしたんだからね。それは誇りに思っていいことなんだよ」

 伯爵は二人の頭を撫でながら、こう言って二人を諭し解放した
のでした。

 「伯爵様、ありがとうございました。今のお言葉、必ずやこの
子たちの人生の教示となりますわ」
 町田先生は、旧華族様の考えとはとても思えないその若々しい
思想に目を丸くしながらも伯爵様に丁寧にお礼を述べます。

 そして、うな垂れる幼い二人を引き連れて、今度は伯爵様から
お借りた懲罰室へと向かったのでした。

***************************

 伯爵家の懲罰室はお屋敷の北の隅にあって、普段は納戸として
使われている部屋がたち並ぶ廊下の一番奥にありました。
 そう、普段、家人があまり立ち寄らない場所にあったのです。

 入口が映画館で見かけるような厚い扉なのは、この部屋がその
昔、ホームムービーを鑑賞するする為の部屋だったなごりでした。

 つまり、人気のない場所で、おまけに坊音設備もしっかりして
いますから、少しぐらいの悲鳴では居間まで届きません。
 まさに懲罰室としてはうってつけの部屋だったわけです。

 町田先生が電気を点けると、そこは12畳ほどの広さがあって
窓は小さな天窓が一つあるだけ。普段使われていませんからカビ
臭い匂いがしています。

 そこに、罪人のお尻を鞭で叩くための拘束台や街のお医者さん
などでよく見かける黒革張りのベッド。傘立てのようなカゴには
ケイン、大きな壷には樺の枝鞭がたてかけてあります。さらに、
祭壇と暖炉、ソファなども見えます。暖炉は飾り暖炉で火は入っ
ていませんがAの刻印を押す為の焼き鏝までもが用意されていて
壁に掛かった牛追い鞭と共にこれ見よがしに犯罪者を威嚇します。

 懲罰室はまさにお仕置きのためにしつらえられた部屋ですから
子供を恐がらせる仕掛けがたくさんあったのです。

 実は、二人が暮らす寮の舎監室にも、これと似たようなものは
あったのですが、他の家で見る時それはまた格別の恐怖感でした。

 二人は、子供がお仕置きを受けている様子を描いた絵画の脇を
まるでお化け屋敷にでも入ったかのように息を殺して歩きます。

 すると、突然……
 「キャー」
 二人から悲鳴があがりました。

 立派な肖像画は、おそらく伯爵家のご先祖様なんでしょうが、
威厳のあるその風貌が二人を睨らんでいるようで、二人は思わず
抱き合ってしまったのでした。

 「何をキャーキャー言ってるの。これは伯爵様のお父様の絵姿
じゃないの。騒いだりしたら失礼よ」
 町田先生はたしなめますが、幼い少女二人にしてみたらここに
ある全てのものが恐ろしかったのです。

 「こっちへいらっしゃい」
 町田先生は部屋の隅に置かれた古ぼけたソファに腰を下ろすと
二人を目の前の床に膝まづかせます。

 これは、寄宿舎で行われている伝統的な作法でした。
 罪のある生徒は床に膝まづいたまま両手を胸の前で組み、先生
のお話を聞くことになります。
 
 「今日は楽しかったかしら?」
 町田先生の第一声は意外なほど明るい顔と声でした。

 これが町田先生のチェジオブポジション。
 というのも、普段の生活では春花ちゃんや美里ちゃんと先生は
あくまで生徒と先生の関係なのですが、もともと町田先生は二人
の養育係。つまり二人が赤ちゃんの頃はミルクを温めたりオムツ
を替えたりする係でした。

 つまり、町田先生は二人にとっては母親代わり。
 そこで、こうした親子水入らずの場所では、普段の先生と生徒
という関係から、親と子の関係に戻るのです。

 「今日はちょっとあなたたち羽目を外しすぎたみたいね」

 「ごめんなさい」
 「ごめんなさい」

 二人は素直に謝りましたが、春花ちゃんがすぐに……
 「だってえ、美里のやつが、簡単に男の子のお風呂覗けるって
言うから……」
 ふて腐れて弁明しますから……

 「ほら、春花。あなたすぐに他人のせいにする。美里ちゃんが
どう言おうと、あなたが見に行かなければいいことじゃないの」

 「そりゃあ、そうだけど……」
 春花ちゃんはお口を尖がらしたままでした。

 「院長先生にご報告したら、さすがに驚いてらしたわ」

 「えっ!院長先生に今度のこと話したの?」
 春花ちゃんの驚きに……

 「当たり前でしょう。マリア様の像を壊しちゃったんだから、
その弁償もあるし……」

 「だって、あれは伯爵様がさっき仕方がないって……」

 「馬鹿言わないのよ。それはあくまであなたたちに対してそう
おっしゃっただけ。大人の世界ではそうもいかないわ。まったく、
女の子が覗きだなんて信じられないわ」

 「だって、女の子だって見たいものはわるわよ」

 挑戦的な春花ちゃんの言葉に先生は……
 「何、開き直ってるの。見たいものってのはあなたにとっては
『男の子の裸』ってことなの?」

 「別にそういうわけじゃあ……」

 「それに今日はそれだけじゃないでしょう。……ゴーカートは
脱線させるし……ボートはおじさんに救助してもらうし……この
家の人たちから報告を受けるたびに『またかまたか』って心臓が
ズキンズキンしたわ」

 「あっ、そうなの。だったら、ここにはお医者様が常駐してる
みたいだから一度診てもらったら」
 春花が真顔で言いますが……

 「春花、さっきも言ったでしょう、あなた、少し浮かれすぎよ」
 町田先生は渋い顔でした。

 「ねえ、お母さん、やっぱり今日、お仕置き?」
 美里ちゃんが心配そうに尋ねると……

 「仕方がないでしょう。ゴーカートやボートぐらいまだしも、
男湯は覗くわ、マリア様の像は壊すわでは、何もしないで帰って
きましたなんて院長先生にご報告できないわ」

 「いくつ?」

 「それはあなたたち次第よ。さっきの春花みたいにふて腐れた
態度なら、たとえ鞭百回でも足りないでしょうね」

 それを聞いて春花ちゃんはお母さんから目をそらし下を向いて
しまいます。


 「じゃあ、……まずはお祈りからよ」

 部屋の片隅には小さな祭壇があって十字架とマリア様が祀って
ありました。
 その前に子どもたち二人と町田先生が三人並んで膝まづきます。
 祈りの言葉は、はじめから決まっていました。

 「天にまします私たちのお父様。お願いがあります。どうか、
悪魔に謀られた魂をお救いください。いかなる苦役にも耐えます。
どんな試練にも立ち向かいます。その苦難の果てに私の魂が浄化
されんことを望みます。私の希望は、あなたの歩む光の道を一緒
に歩くことなのです。迷える子羊に愛のお仕置きをお願いします」

 三人は同じ言葉を唱和します。この言葉は子ども達がお仕置き
を受ける前には必ず唱えさせられる言葉でした。

 そして、これが終わると、子供たちはソファの前に戻って再び
膝まづきます。

 「スカートを上げなさい」

 町田先生の号令一下、子どもたち二人は俊敏に動きます。
 その動きはまるで軍隊のようでした。

 二人は、穿いてるパンツが誰の目にもはっきり見える様に自ら
スカートの裾をまくり上げます。

 ただ、そうやっても、すぐにお尻叩きが始まるわけではありま
せんでした。

 町田先生は再びソファに腰を下ろすと、子ども達を回れ右させ
て、ご自分は二人の恥ずかしい姿を後ろから眺めたまま、暫くは
何もしないでいるのです。

 時々……
 「ただ、そこでぼ~としてるだけじゃいけないでしょう。……
よ~く反省できるようにお祈りの言葉をもう一度復唱しなさい」

 両手が疲れて思わず手を下げてしまうと……
 「ほら、春花ちゃん、手を下げないの。スカートの裾でパンツ
が隠れてるわよ」

 寂しくなって泣き始めると……
 「ほらほら、美里ちゃん、泣かないの。あなたがめそめそ泣い
たからって、お仕置きは終わらないのよ」

 先生はこんなことを言いながらチビちゃんたち二人のパンツを
鑑賞し続けます。

 子供たちはパンツ丸見えと言っても見ているのはお母さんだけ
ですし、膝まづいているだけでぶたれているわけではありません
から痛くも痒くもありませんが、これが結構苦痛でした。

 大人と違って子供は何もしないでいるというのが苦手なのです。
特に女の子は相手が目の前にいるのにおしゃべりできないという
現実がストレスでした。

 そこで、先生がソファを離れ見慣れない伯爵家の懲罰室を観察
に行った隙をねらって小さな声で話し始めます。

 「ねえ、お母さん、怒ってると思う?」
 「わからないわ。あんなにしててもすぐに許してくれることも
あるから……あなたどう思うのよ」
 「私もわからないわ。でも、もし、ぶたれたら、私おとついも
あったら泣いちゃうわ。その時は笑わないでね」
 「笑わないわよ。私だって泣いちゃうもん。もし、鞭があった
ら、私の手しっかり握っててよ。暴れちゃうかもしれないから」
 「鞭って?……私たちそんな悪いことしたの?」
 「わからないわ」

 子どもたちは、自分たちにしか聞こえていないと思って話して
いましたが、その声は音響効果のよいこの部屋ではどこにいても
聞こえていました。

 先生は知らん振りしてソファへ戻ってきます。
 そして、その子らのすぐ後ろまでやって来くると、今度はいき
なり……

 「いやあ~!!!」
 「いやっっ!!!」
 続けざまに二人のパンツを太股の辺り迄ひき下ろしたのでした。

 「いきなり脱がさないでよ」
 「恥ずかしいよ」
  突然のことに驚いた二人からは思わず黄色い声が……

 でも、そうすると、間髪をいれず…
 「ピシャ」
 「ピシャ」
 町田先生の右手が可愛いお尻に炸裂。

 今、部屋の空気に晒されたばかりの二人のお尻がたった一撃で
ほんのり赤くなります。

 「うるさい子ねえ、お仕置き最中は、静かに罰を受けなければ
いけないって何度も教えてるでしょう。あなたたち忘れたの!?
『お仕置き中はおしゃべり禁止』こんな事、うちの子なら1年生
でも知ってることよ。

 「はい、お母さん」
 「はい、先生」
 二人はべそをかきながらも、それぞれ違う返事をします。

 でもこれ、どちらかが間違いという事ではありませんでした。
二人にとって町田先生というのは、先生であると同時にお母さん
でもあるのであから。

 「今日はここに誰もこないでしょうから、お母さんでいいわよ」
 町田先生もまた、小さなため息をついて、薄れゆく自分の怒り
に苦笑します。

 そして、これからさらに15分くらいかけて、娘たちの可愛ら
しい生のお尻を2mほど離れたソファで鑑賞するのでした。

 「美里、あなたみたいにおとなしい子が、何で男の子のお風呂
なんて覗こうとしたの?お母さん、あなたにそんな趣味があった
なんて初めて知ったわ」

 「……それは……男の子のお風呂の方が女の子のより大きくて
立派だって聞いたから、そういうの不公平だと思って……」
 「だからって、覗いてみても何も変わらないでしょう」
 「そりゃあ。そうなんだけど……」
 「それとも、男の子たちに『一緒に入れてください』って交渉
するつもりだった?」
 「そういうわけじゃあ……」
 美里ちゃんは顔を真っ赤にして口ごもってしまいました。

 「春花はどうなの?あなたの場合も男の子の裸に興味があった
のかしら?」

 「…………」
 春花ちゃんは首を横に振ります。

 「だったら、なぜそんなことしたの?美里ちゃんにお付き合い
かしら?自分もやらなきゃっ友だち甲斐がない思ったのかしら?」

 「それは…………」
 春花ちゃんとしては本当の事なんて絶対に言えるはずがありま
せんでした。

 だって、春花ちゃんの本心って『好きになった先輩の裸が見て
みたい』という邪な心だったわけですから……
 たとえお尻100回ぶたれても、その事だけは絶対に口にする
つもりがありませんでした。

 すると町田先生、そんな春花の気持を見抜いていたかのように
こんなことを言います。
 「ねえ、春花。あなた、誰か好きな人が出来たんじゃなくて?」

 春花ちゃんにとってはドキッとする言葉です。

 ですから彼女、余計に激しく首を横に振ります。
 「……(何で分かったんだろう?)……」
 春花ちゃん、お母さんの鋭い眼力に恐れおののきますが、勿論
そんな素振りは自分ではみせていないつもりでした。

 ところが、お母さんの方はというと、床に膝まづく春花ちゃん
の後姿を見ているだけで……
 『やっぱり、そうなのね』
 と思うのでした。


************(6)**********


御招ばれ<第2章>(7)

 「さて、そろそろ反省もできたかしら?」
 町田先生は腕時計で時間を確認します。

 そして……
 「それでは、まず美里ちゃん、いらっしゃい」
 先生は最初、美里ちゃんに声をかけるのですが……

 一旦パンツを上げ、お母さんの前に立った美里ちゃん、どこか
落ち着きがありませんでした。きっと……
 『えっ!どうして?……どうして、私からなの?いつもと順序
が違うじゃないの』と言いたかったのかもしれません。

 通常、二人続けてお尻叩きの罰を受ける場合、有利不利があり
ます。

 あとの子は、長いことお尻を晒して待っていなければならない
不利はありますが、痛みの点では先に呼ばれる子より有利でした。
 たいてい最初の子でお母さんの手は疲れてしまいますからね、
あとの子はお母さんの扱いが雑になるんです。そのぶん、痛みも
少なくて済むというわけでした。

 美里ちゃんも春花ちゃんとのコンビで日頃から尻を叩かれ慣れ
てますから、そのあたりは承知していました。

 「あら、どうしたの?何だか不満そうね。……今回、あなたを
最初に指名したのは、お風呂場の覗きをあなたの方が先にやらか
したからよ」

 お母さんは美里ちゃんがまだ何も言っていないのに、彼女の心
を見透かすように言い放ちます。

 「納得した?」

 「…………」
 美里ちゃんはお母さんの答えに小さく頷きます。

 『確かに確かに』ということでしょうか。
 いつもは悪戯を主導するのが春花ちゃんなのですが、今回は、
それが違っていました。

 「さあ、いらっしゃい」
 ソファに腰を下ろした町田先生がご自分のお膝を叩いて催促し
ます。

 「はい、お母さん」
 美里ちゃん、そこへ行くしかありませんでした。
 子供の悲しい定めです。

 『あ~あ、嫌だなあ』
 お母さんのお膝に寝そべりその時を待ちます。

 実は、お母さん、ここでも子どもたちをじらせます。いきなり
お尻ペンペンを始めるわけではありませんでした。

 「どうしたのかしら?いつもは春花に引っ張られてお付き合い
で悪さしてたのに、今日はあなたの方から悪さを仕掛けるなんて
珍しいわね」

 最初は、頭を撫でたり、背中をさすったり、太股を軽く叩いた
りしながらのお説教です。

 でもそれって、蛇の生殺しみたいで、子どもたちにとっては、
とっても嫌な時間なのでした。

 ここまできたらどの道お尻は叩かれるわけですから、だったら
『早くやってよ!!』って叫びたい心境だったのです。

 「男の子の裸、見てみたかったの?……うちには男の子いない
ものね。でも、あんなものいきなり見ると、あなたびっくりして
食事も喉を通らなくなるかもしれないわよ」

 「……別に、男の子の裸、見たかったわけじゃないもん」
 お母さんから言われ、美里ちゃんぽつんと小さく呟きます。

 「そう、それじゃあ、お隣りのお風呂の様子さえわかったら、
それでよかったわけなんだ」

 「…………」
 美里ちゃん、僅かに頷いたように見えますから……

 「そりゃあそうよね。女の子は男の子の裸なんて見たくないわ
よね」

 お母さんは納得したように美里ちゃんに語りかけますが、でも、
美里ちゃんの本心は違っていました。
 それを、お母さんは膝の上の感触で感じ取っていたのです。

 『この子、意外に早熟なのね。この身体、もうすでに男を求め
てるもの。きっと、あの時も男の子の裸に興味津々だったはずだ
わ。……となると、次はオナニーかあ……気をつけておかないと』

 お母さんは長年の経験から、こうして膝の上に抱きながら質問
を繰り返すことで、口には決して出さない女の子の本音がわかる
ようになっていたのでした。

 ただ、だからとっいって……
 『あなた、こんなこと思ってるでしょう!!』
 なんて迫ることはありません。
 そんなことをしたら女の子は余計かたくなになるだけですから。
 この時も……

 「あなたは女の子。男の子の裸なんかに興味あるはずないもの。
おかしいと思ったわ。だけど、やったことはやっぱりいけない事
よ。……滑りやすいお風呂場であんな大きな脚立の上に乗ったら
危ないし、現に、マリア様の像は壊してるしね。………それは、
わかるわよね」

 「はい、お母さん」
 美里ちゃんが返事をすると……
 
 「まあ、いいご返事。よし、それでは、簡単に済ませましょう」
 お母さんはそう言うと、美里ちゃんのスカートを捲りショーツ
を剥ぎ取ります。他の子ならまずショーツの上から叩いておいて
それから……という手順なのですが、二人は親子ですからそこに
遠慮はありません。

 「ピシッ……ピシッ……ピシッ」

 たちまち乾いた音が部屋一杯に響き渡ります。

 「いやあん、痛い、ごめんなさい」
 たった3発で、美里ちゃん、もう悲鳴を上げていました。

 実は、お母さんの言った『簡単に…』という言葉は『軽く…』
という意味ではありませんでした。

 「ピシッ」
 「いやあん、ごめんなさい」

 「ピシッ」
 「もうしません。しませんから~~」

 「ほら、大声を出さないの。みっともない子ねえ」

 「ピシッ」
 「だめえ~~壊れる、壊れるって~~」
 
 「お尻は壊れません。壊れないように神様が創ってるの」

 「ピシッ」。
 「うそ~~よ。痛い、痛い、やめて~~」

 「やめません。痛いから、お仕置きなの。それを我慢するから
お仕置きなのよ」

 「ピシッ」
 「人殺し~~」

 「美里ちゃん、ちょっと立ちなさい」
 お母さんはそこで一度美里ちゃんを自分の目の前に立たせます。

 美里ちゃんは、ショーツを穿いていませんからお母さんの前に
割れ目丸出しで立っています。
 でも、今はお尻をさすることが最優先で、そんなことかまって
いられませんでした。

 「あなた、たとえお仕置きの最中でも言っていい事と悪い事が
あるわよ。誰が『人殺し』なの。お仕置きで死んだ人なんていま
せんよ。あなたに5年生としての堪え性がないだけじゃないの。
あまりにだらしのない態度なら、お仕置きはもっときつくなりま
すよ」

 「はい、ごめんなさい」
 美里ちゃんは嗚咽しながら右手で涙を拭き左手でお尻をさすり
ます。

 「いらっしゃい」
 それを見ていたお母さん、美里ちゃんを膝に呼びます。
 でも、これはお尻をぶつためではありませんでした。

 涙を拭いて、鼻をかむため……そして、ほんの少し抱いてやる
ためでもあったのです。

 「さあ、もう一度。お仕置きって、必死に我慢するものなの。
鼻歌交じりで耐えられるようならお仕置きなんて意味がないわ。
あなたは必死に頑張って罪を償うの。それがあなたの義務。……
いいわね」

 「はい……」
 か弱い声がして、再び美里ちゃんはお母さんの膝にうつ伏せに
なります。

 その後は、先ほどと同じでした。

 「ピシッ」
 「いやあ~~痛い、痛い、痛い、だめ~~」

 「ほら、黙ってるの!大声を上げたり身体を揺すったら痛みが
逃げてお仕置きにならないわ。どうしても、できないならあそこ
にある拘束台に縛り付けて鞭でお尻を叩いてあげましょうか……
猿轡をするからどのみち声はでないけど、終わったあとも痛くて、
二三日は椅子に座るのも辛いくらいよ」

 「いやあ、いやあ、それは絶対にいや!!!」
 美里ちゃんは絶叫します。
 彼女は舎監室にある拘束台に縛られた中学生のお姉さんたちが
必死に許しを請う姿を目撃したことがあります。
 その時の印象から拘束台がとてつもなくきついお仕置きなんだ
という事は知っていたのでした。

 「だったら我慢しなさい。女の子は、何事にも我慢できない子
に幸せはおとずれないわ。神様がそう決めてるの。わかった?」

 「は……はい」
 美里ちゃんは弱弱しく返事を返します。

 こんな混乱している時に先生のお説教なんて耳に入りません。
でも『自分が頑張らなければこれは終わらない』という現実だけ
は身体に染み込んだみたいで……

 「ピシッ」
 「ひぃ~~~」

 「ピシッ」
 「いやあ~~」

 「ピシッ」
 「あっ~~~」

 目の玉が飛び出、顔は真っ赤、首から下は逆に全身鳥肌がたち、
冷たい電気(悪寒)があちこちに走るという最悪の状態のなか、
必死になって耐え続けたのでした。

 「ほら、できたじゃないの。簡単でしょう」

 町田先生は許しを与えて再び自分の前に美里ちゃんを立たせた
時にこう言います。
 先生が『簡単に…』と言ったのは『軽く』という意味ではなく、
厳しく短時間に終わらせるという意味だったのでした。

 「さあ、それじゃあ春花ちゃんが終わるまで元の場所に戻って
膝まづいてなさい。いいこと、お尻叩きは一旦これで終わるけど、
そこでまた泣いちゃダメよ。泣くのは大声を上げたり身体を揺っ
たりするのと同じように真面目にお仕置きを受けていない証拠
です。あまりひどいようならお仕置きはやり直し。いいですね」
 
 町田先生にこう脅されて、美里ちゃんはやっと、お母さんの膝
から開放されたのでした。


 「次は、春花ちゃん。いらっしゃい」
 お母さんの声が懲罰室の中で響きます。
 この時、春花ちゃん、両足が震えていました。

 もちろん、美里ちゃんのお仕置きを春花ちゃんが直接見ること
はありませんが、すべては自分の頭の後ろで起きたことなんです
から、直接見なくても春花ちゃんの様子はビンビン伝わります。

 『やばいなあ』
 普段は元気一杯の春花ちゃんですが、さすがにこの時はすでに
泣きそうな顔になっていました。多くの子供がそうでしょうが、
お母さんというのは世界一優しくて世界一恐い存在だったのです。

 そんな春花ちゃんを、でも、お母さんは笑顔で迎えます。

 「いらっしゃい」
 両手を広げ、まるで幼い子にするように、ソファに座る自分の
膝へ春花ちゃんを招き入れます。

 間近で見つめ合う顔はお母さんも春花ちゃんも笑顔でした。
 だって、世界一優しい人が微笑んでるんですから、春花ちゃん
が笑わないはずがありませんでした。

 春花ちゃん、お馬鹿じゃありません。このお膝でするお母さん
の話が楽しくないことも、そして、この人がやがて世界一恐い人
になることもわかっていました。
 それでもやっぱり春花ちゃん、こうして抱っこされると笑って
しまうのでした。

 「春花、あなた、今日は随分と羽目を外しちゃったみたいね」

 「ずいぶんって……そんなに色々何かやった?」

 「だって、ゴーカート脱線させたんでしょう」
 「あれは美里だって一緒だったし……」
 「でも、あなたが運転してた。しかも、男の子たちと競争して
たのよね」

 「競争なんてしてないもん。……ただ……」
 「ただ、何なの?」
 「…………」春花ちゃんはその先を答えられませんでした。

 「『ただ面白いからトロい男の子の車を次々に抜いてっただけ』
ってことかしら?……でも、それを競争っていうのよ。だいいち、
あのコースは追い越し禁止のはずよ。……スタート地点に大きな
張り紙がしてあったの見なかった?」

 「…………」
 「おや、どうやらその顔は知っててやったみたいね」
 お母さんは春花ちゃんとおでこをくっけます。

 「……それは……」
 春花ちゃん、お母さんの視線を正視できず、下を向いてしまい
ます。

 「無茶な運転して事故を起こしたあげくター坊に茂みに入った
カートを引き上げもらったそうじゃないの」

 「ター坊?」
 「峰岸高志。あなたより3つ上のお兄ちゃんよ。まだ中学二年
だけど、もう立派な好青年って感じの子よ。ま、あなたみたいな
山猿とは全ての点で違うわね」

 「ふう~ん……『あの子、峰岸高志って名前なんだ』……」
 春花ちゃん、この時初めてその子の苗字までを知ったのでした。

 「ねえ、お母さん、私って山猿に見えるの?」
 春花ちゃん、あらためて尋ねます。
 すると、その答えは峻烈でした。

 「あなたの場合は……恥知らず、世間知らず、無鉄砲、いつも
お母さんにお尻を叩かれて赤いお尻をしてるから山猿に違いない
んじゃない」

 「だって、高志君だって、私くらいの頃は……」
 あまりの言われように春花ちゃんは反論しますが……

 「あの子、あなたくらいの頃は、もう随分大人びてたわ。私、
あの子の担任だったからよく知ってるけど、とにかく隙のない子
で苦労したわ。あなたなんかと違ってお仕置きの理由を見つける
のに苦労したおぼえがあるもの。……ま、あなたとなら、比べて
みる必要もないわね」

 「ふうん」
 春花ちゃんはごく自然にお母さんの胸に顔を埋めます。
 それって泣いてるみたいでした。
 そして、ぽつりとこう言います。

 「ねえ、お仕置きって、悪いことしなくてもされるの?」

 「えっ?そんなことないわよ」
 春花ちゃんに不思議なことを言われて、町田先生、戸惑います
が……続けて、春花ちゃんに……
 「だって、高志君は、お仕置きの理由を見つけるのに苦労した
んでしょう」
 こう言われて、先生、さっきの自分の発言だと気づくのでした。

 「ああ、そういうことね。だから彼は例外なのよ。大半の子は、
あなたみたいに罪なることが多すぎて、お仕置きはむしろセーブ
するんだけど、あの子の場合は普通にしておくとお仕置きなしで
1年間過ごしちゃうから、他の子とのバランスをとる意味でも、
小さなミスも見逃さず厳しくお仕置きにしたの。そうしないと、
あの子だけが得してるみたいで、他の子からねたみを受けるもの。
集団生活では自分は優秀だから何でも他の子より得して当たり前
ってことにはならないのよ。優秀な子には優秀な子なりの責任と
いうものがあるのよ。……ま、あなたには、関係ない話だわね」

 「そうなんだ」
 春花ちゃん、何だか高志君との距離がずっと遠くなってしまっ
たような気持でした。
 そんな乙女心を無視してお母さんのお小言は続きます。

 「あなた、お池のボートでも…『ボート漕げます』なんて嘘を
ついて係のおじさんからボートを借りたあげく、帰れなくなって
おじさんに助けてもらったそうじゃないの」

 「えっ……あれも、美里ちゃんと一緒に……」
 春花ちゃん埋めていたお母さんの胸から顔をあげて苦しい弁明
をしますが、お母さんにそれは通じませんでした。

 「あなた、またそんなこと言って……」
 「…………」たちまちお母さんに睨まれてしまいます。

 「美里ちゃんが漕げもしないボートを借りたいだなんて言う訳
ないでしょう。そんなこと思いつくのはあなただけよ。違う?」

 「…………」
 春花ちゃん、それに答えられませんでした。
 ええ、その通りでしたから……

 「何でも他人のせいにしないの。あなたの悪い癖よ。……でも、
よかったわ。ボート小屋のおじさんにはご迷惑かけたけど、とに
かく何事もなかったんだから……」
 と、ここで先生、あることを思い出します。
 それは急速に頭の中を支配していきました。

 「ねえ、あなた……ひょっとして……ター坊のボートに乗せて
もらわなかった。……いえね、昼間、ター坊にあった時、『今日、
ボート小屋のおじさんに頼まれて女の子を乗せて池を一巡りした
んだけど、その子、シャイな子で一言も口をきかなかった』って
言ってたけど……まさか……それ、あなたじゃないないわよね」

 「…………」
 春花ちゃんはこれにも答えませんでしたが……

 「そうなの、やっぱり……(はははは)」
 先生は顔を真っ赤にした春花ちゃんを見て笑い出します。

 「あなたがシャイね……(はははは)あの子、完全にあなたを
誤解しちゃったわね」
 先生の言葉に……
 「いいでしょう、そんな事どうだって!!」
 春花ちゃん鼻息荒く言い放ちます。

 『でも、そうだとすると……』
 先生は再び頭をめぐらしますが、あれこれ考える必要もなく、
答えは至極簡単でした。

 『なるほどね、それで漕げもしないボートを借りに行ったり、
男の子のお風呂を覗き見しようなんて思いたったのね……』

 先生は結論の正しさには自信がありましたが、もうこれ以上、
この場でこの問題を蒸し返すつもりはありませんでした。

 そして、場面はいよいよお仕置きへと移ります。

 これから先のやり方は美里ちゃんの場合と同じでした。
 まずは、うつ伏せに寝かせておいて、頭や背中、お尻、太股、
手や足の指に至るまで丁寧にスリスリします。
 そうやってスリスリしながらお母さんはあらためて色んな事を
春花ちゃんに尋ねます。

 「ねえ、春花。今日は一日どんなことをして遊んだの?」
 「長い滑り台を滑って……メリーゴーランド乗って、ブランコ
とかジャングルジムとかで遊んで、それからゴーカートのところ
へ行ったの」

 「そう、楽しかった?」
 「とっても。だって、ここ遊園地みたいなんだもの。やっぱり
伯爵様ってすごいのね」
 「だったらまたここへ来たい?」
 「もちろん、毎日だっていいわ」

 「それじゃあ、次回も伯爵様からご招待を受けられるように、
ここでしっかりと罪を償っておかなければならないわね」

 「…う、………うん……」
 思わず春花ちゃんの身体に力がはいります。
 それは、当然、町田先生もそのお膝で受け止めていました。

 「いいかしら、心の準備は?」
 「…………………………はい」

 ご返事には少し時間がかかりましたが、こうして、春花ちゃん
のお仕置きは始まったのでした。


************(7)**********


御招ばれ<第2章>(8)

 町田先生は、春花ちゃんのふわりとしたフリルスカートの裾を
背中の方へと持ち上げます。

 取り去られたあとには白いショーツが現れますが、これはもう
慣れっこ。春花ちゃん、何も言いませんでした。

 そして、そのショーツの上を町田先生が平手で叩き始めます。

 「……パン……パン……パン……パン……パン……パン……」

 春花ちゃんのお尻から一定のリズムで小さな音がします。
 でも、それはろくにスナップも効かせずに叩いていましたから、
それほど痛くありませんでした。

 「女の子がゴーカートに乗っていけないなんて言いませんけど、
ルールは守って乗らないと怪我をしますよ。男の子もそうだけど、
女の子は特に、顔に怪我でもしたら取り返しがつかない事になる
わ。ましてや、あなたは隣りには美里ちゃんがいたんですもの。
相手のことも考えなくちゃ。坂道でむやみにスピード出すなんて
絶対にだめです。いいですね」

 「はい、先生」
 春花ちゃんはスパンキングを受けながら長々とお説教を聞いた
後に普通に答えます。
 それは先生がまだそんなに強くお尻を叩いていないからでした。

 「もし、今度、こんなことがあったら、その時は……」
 先生はこう言った直後、春花ちゃんのショーツを太股へとずら
します。
 そして、今までとは違って手首のスナップを利かせた一撃を…

 「ピシッ」
 「(ヒヒヒヒ)」

 かろうじて悲鳴は立てませんでしたが、それは、それまでとは
明らかに違う威力でした。春花ちゃんは身を硬くします。

 「わかったわね」
 先生はこう言ってもう一つ。

 「ピシッ」
 乾いた音が天井まで響き、むき出しになったお尻が震えます。

 「だって……」
 「だって、何なの?」

 春花ちゃん何か他のことを言いたげでしたが、先生に強い調子
で迫られると、結局こう言うしかありませんでした。
 「……はい、先生」

 「そうね、わかったわね」
 先生は納得したような笑顔です。
 でも、これで終わりではありません。春花ちゃんの罪は一つで
はありませんでした。

 先生はむき出しになったお尻を再びスナップを利かさずに叩き
始めます。

 「……パン……パン……パン……パン……パン……パン……」

 それはパンツの上からより少し威力が増しましたが、それでも
さっきの一撃に比べたら楽勝です。春花ちゃん、少し痛くなって
きた分は自ら唇を噛んで頑張ります。
 春花ちゃんは施設で一番のお転婆娘。誰よりもたくさんお尻を
叩かれて経験がある分、耐える力も美里ちゃん以上でした。

 「ボートは水の上なの。万一、落ちたりしたら、たとえ泳ぎを
知っていても必ず助かる保証はないのよ。ゴーカートなんかより
さらに危険だわ。そんなボートを一度も漕いだことがないくせに
嘘をついて借りるなんて……もってのほかです!!」

 「ピシッ」
 言葉の最後、また強い衝撃がお尻を襲います。

 「しかも、ここでも美里ちゃんが一緒に乗ってたんでしょう。
あなたのは責任は重大ね」

 先生はこう言うと、春花ちゃんのお尻の谷間を指で開きました。
 当然、普段は隠れている場所に外の風がス~っと入りますから
……。

 「……(!)……」
 春花ちゃんの脳裏に緊張が走ります。

 でも、お仕置きの最中は、よほど何か特別なことがないと叫ぶ
なんてことはできません。先生の指でお尻を開かれても小学生に
とっては特別な事ではありませんでした。
 なされるまま我慢していると……

 「ピシッ!」

 それは今までとはさらに威力が違います。
 ぶたれた瞬間、背筋を電気が走り、脳天に達する痛さでした。

 「あなた、自分のしたことがわかってますか?」
 先生はこう言ってもう一撃お尻に落とします。

 「ピシッ!」
 「いやあ」
 出してはならない声が初めて出ました。

 でも、春花ちゃん、すぐにそれに気づいて……
 「ごめんなさい」
 と言います。

 「ごめんなさいじゃすまないことだってあるのよ」
 こう言って再び…

 「ピシッ!」
 「(ヒヒヒヒヒヒ)ごめんなさい。わかりました先生」
 春花ちゃん、両手両足をバタつかせただけで、悲鳴を立てずに、
ごめんなさいを言います。

 でも、それはやっとの思いでできたこと。本当はこのまま寮へ
逃げ帰りたいくらいでした。

 先生はうつ伏せになった春花ちゃんの両足の間にご自分の右足
を挟み入れて春花ちゃんのお尻が再び塞がらないようにします。
 これって、春花ちゃんの恥ずかしい場所が先生から丸見えって
ことなんですが、春花ちゃん、あえて抵抗はしませんでした。

 女性同士ということもありますが、もし、へたに抵抗して罰が
重くなったら、今でもヒーヒーいってるお尻がもたないと考えた
からなのです。

 そして、再び、軽めのスパンキングとお説教が始まります。
 ただし、その軽めのスパんキングも、痛みが少しずつ少しずつ
蓄積していきますから、最初の頃のように鼻歌交じりでいうわけ
にはいきません。

 「……パン……パン……パン……パン……パン……パン……」
 その一発一発に身体を硬くし歯を喰いしばり、腰で町田先生の
お膝を巻き込むように力を入れて耐えなければなりません。

 「最後に、男の子のお風呂を覗いたことだけど、これなんかは
弁解の余地がないわね!!」

 「ピシッ」
 「いやあ~~~」
 今まで一番痛い平手でした。

 「そもそも、よくもそんな恥ずかしいことができたものだわ。
先生だって呆れたくらいだもの。あなたたちは、まだかろうじて
子どもだから、世間の人たちも『あれは子供のした事』で許して
くださってるけど、もう少し大きくなってからだと、それこそ、
世間で誰からも相手にされなくなってしまいますよ」

 「はい、ごめんなさい、先生」
 春花ちゃん、いつもこのあたりで強いのが来ますから、先回り
して先に謝っちゃいます。

 でも、それもそれってやっぱりいけないことでした。

 「ちゃんとぶたれてから謝りなさい」
 町田先生に言われてしまいます。

 そして、続けざまに、スナップのとてもよく利いたやつが六つ、
すでに十分温まったお尻に降り注ぎます。

 「ピシッ!!!」
 「いやあ~~」
 たった一撃目で、春花ちゃん白旗でした。

 部屋のどこにいても聞こえるような大きな悲鳴が上がり、それ
まで遠慮がちに動かしていた両足を思いっきりバタつかせます。

 「ほら、動かないの!」

 「ピシッ!!!」
 「だめえ~~~」

 「何がだめなの!これがあなたには一番効果のあるお薬よ」

 「ピシッ!!!」
 「ひぃ~~~~」

 「ほら頑張ればまだまだ悲鳴を上げずにできるじゃない。……
今度は、足をじっとさせてなさい」

 「できません」

 「できませんじゃないの。『できます』でしょう。さあ、歯を
喰いしばって」
 町田先生の声がまた強くなりました。

 「ピシッ!!!」
 「ごめんなさい」

 「ほらあ、また足が動いた。じっとしてなさいって言ってるで
しょうが……言われた通りできないなら、あそこの拘束台に縛り
付けて、乗馬鞭でビシビシやってもいいのよ。そっちの方がいい
のかしら?」

 「いや、いや、いや」
 春花ちゃんは必死に頭を振ります。

 いえ、彼女だって何とか耐えようとはしているのです。
 でも、その痛みは今まで経験したことのないもの。とても耐え
られそうにありませんでした。

 もちろん町田先生の方だって、春花ちゃんを中学生にするのと
同じ強さでぶっているわけではありません。
 手加減はしているのです。

 でも、それは今の春花ちゃんの限界を見極めながらやっている
ということで、当然その威力は、一年前、春花ちゃんをお仕置き
した時とは違って厳しくなっています。

 春花ちゃん、これからだってまだまだ体が大きくなるでしょう
から、次に何か粗相をしてお仕置きを受けるような時は、今より
さらに厳しく可愛いお尻が攻め立てられることになるのでした。

 「ピシッ!!!」
 「いやあ~~~死ぬ~~~」

 「誰が死ぬの?お尻叩きで死んだ人はいないわよ」

 「ピシッ!!!」
 「だめえ~~~助けて~~」

 「はいはい、助けてあげます。もういいわ」

 平手だけとはいえ相手はまだ小学生ですから、大人がちょっと
力を入れて叩けば、その痛みは相当なものになります。
 春花ちゃん、最後はどうやって耐えたのか自分でも分からない
くらいでした。

 でも、これが本当のお仕置き。簡単に耐えられる程度なら子供
の心に届きませんから、ぶつ方も心を鬼にして叩くのです。


 『やれやれ、この子もまだまだと思ってたけど、いつの間にか
大きくなって、お仕置きにも骨が折れるようになったわ。次回は
本当に拘束台でも使ってみようかしら。……でも、子供にあまり
無機質な罰は与えない方がいいって言うし、まだ早いかしらね』
 町田先生、そんなことを思いながら赤く腫上がった春花ちゃん
お尻に軟膏を塗り始めます。

 そして、それが終わると、重い荷物を転がすようにして膝の上
から床の上へ。

 もちろん、春花ちゃんを膝の上で介抱してあげてもよいのです
が、お尻叩き直後は、お尻がジンジンしていて、クッションの上
でも座るのは辛いのです。
 ですから、こうして床に転がし、ほてりを冷ましてあげるのが
一番の親切でした。


 春香ちゃんが古いペルシャ絨毯の敷かれた床の上でお尻をなで
なでしている間、町田先生は、今一度、部屋の中を見回ります。

 すると先生、壁に掛けられた側灯(そくとう)を見ていてある
ことに気づきます。
 『ひょっとしてこれは……』
 疑念は大きな姿見の前で決定的になりました。

 先生はその姿見の中にぼんやりとした黒い人影を見たのです。
 もちろん、その陰が何なのか、正確な事は何もわかりません。
 でも、そのシルエットには見覚えがあります。

 ただ、彼女は鏡の前に来てそれが分かってからも、特段表情を
変えませんでした。
 髪型をわずかに手直しするかのような仕草をみせ、スカートの
裾を両手で持って膝を軽く曲げる社交界でよくやるお辞儀をした
だけだったのです。

 その間僅かに30秒。でも、その僅か30秒間で、町田先生は
色んな事に頭をめぐらせていたのでした。

 この鏡の向こう側に座る人の身分、その人の性格、彼が子ども
たちに求めているもの、その思いを遂げる為に彼が取るであろう
手段など、色々と推測します。その一方で、自分は子供たちの為
に何がしてやれるだろうか?彼の求めに応じた場合、何が起こる
だろうか?拒否した場合はどうなるだろうか?

 ありとあらゆる可能性を30秒で考え、先生は結論を出したの
でした。

 もちろん、その結論は子供たちの為、とりわけ彼らの将来の為
に最もよい方法として選択したのです。

 町田先生は鏡の前で小さく会釈してその場を離れます。
 それは、当然、老人のためにした挨拶でした。


 すると、それを受けて鏡の内側では……

 「御前、いかがいたしましょう。退室なさいますか?」
 「どうしてだね、柏村」

 「どうも、こちらから見ていて、あの先生、この部屋の存在に
気がついていたように見えましたので、万一、御前に差し障りが
でてもと思いまして……」
 「気づいたでしょうね。彼女、さっきから隠しカメラの位置を
しきりに気にしていましたから……」
 「ならばなおの事、ここは危険なのでは?公になれば御前様の
ご人体(じんてい)にも関わります」

 「まあ、まあ……そう慌てなくても大丈夫ですよ、柏村さん。
どうやら、彼女、事を荒立てるつもりはないみたいですから…」
 「三上先生まで、そんな悠長な……どうしてそんなことわかる
んですか?」

 独り焦る柏村さんに伯爵様は静かに語りかけます。
 「柏村、落ち着きなさい。そんな大声を出したら、いくらこの
部屋が防音壁でしきられていても子供たちにまで聞こえてしまい
ます。そうなったら、せっかくの先生の好意が無駄になってしま
うじゃありませんか。ここは先生の好意に甘えて静かに鑑賞する
のが、大人のマナーですよ」


 大人たちが狭い部屋でお茶を飲みながら会話している頃、町田
先生はもうソファに戻っていました。

 彼女は依然として床に転がってお尻をさすっている春花ちゃん
や壁の方を向いたまま膝まづきスカートをたくし上げてお仕置き
の終わりをひたすら待っている美里ちゃんの様子を確認します。

 そして、今一度、頭の中を整理すると、やおら子供たち二人に
召集をかけたのでした。

 「はい、二人とも、私の処へいらっしゃい」
 町田先生は子供たちをソファの前に集めると、その場に膝まづ
かせ、両手を胸の前で組む姿勢をとらせます。

 すると先生、この時点でソファの角度を微妙に変えていました。
 膝まづいた子供たちのお尻が大人たちの窓からも正面に見える
ように調整していたのです。

 「いいですか、今日のあなたたちのお仕置きを受ける態度には
少し問題がありました。あなたたちもすでに5年生なんですから、
少しぐらいの痛みは辛抱して、声をだしたり、身体をよじったり
してはいけません。そのことはこれまでも何回となく注意してき
ましたよね。……ね、美里ちゃん、できていましたか?」

 町田先生が睨むと、美里ちゃんがうろたえたように……
 「ごめんなさい」
 と言いますから、それにつられたように春花ちゃんまでも……
 「ごめんなさい」

 その声はこれからの町田先生の行動を勇気付けます。

 「ま、わかってはいるみたいね。だったら、ちょうどいい機会
ですから、その反省をこめて、新しい罰を受けてもらいます」

 町田先生がこう言ったとたん、二人は期せずして胸の前で組ん
でいた手をほどき、両方の手でお尻をさすり始めます。

 『またお尻をぶたれるのなら、その前に、お尻を少しでも可愛
がっておかなきゃ』
 そんなことを思ったのかもしれません。

 もちろんやってはいけないことですが、二人はさっきまで散々
お尻をぶたれていましたから、『新しい罰』と聞いて慌てます。
またお尻を叩かれるんじゃないかと早合点して、無意識にやって
しまったのでした。

 でも、そんな子どもたちの動揺を先生はあえて咎めません。

 ただ……
 「大丈夫よ。もうお尻はぶたないから、それは安心していいわ。
……新しい罰というのはね、拘束台での鞭打ちのことなの」

 こう言われたとたん、二人の顔から血の気が引きます。
 顔面蒼白というやつです。
 拘束台は、本来中学生の罰。小学生の自分たちには関係ないと
ばかり思っていましたから、拘束台と聞いて頭の中がパニックに
なったみたいでした。

 さらに動揺する二人を鎮めようと先生は説明を加えます。

 「新しい罰といっても、またお尻をぶつわけじゃないの。……
中学生になれば、あなたたちもどのみち拘束台にはご厄介になる
わけだし、その時になってまごつかないように、どういう姿勢に
なるのかを、その前に一度体験してもらおうと思うの。だから、
今回はあなたたちをあの台に縛り付けるだけ。実際にぶったりは
しないわ」

 先生の提案、かなり強引です。もちろん子供たちにしても……
 『なぜ、そんなことを今やらなきゃならないのよ!!』
 という不満はあるはずです。

 でも、小学生というのは、比較的親や先生の命令には従順で、
中学生のように理屈でやり込めようだなんて考えたりしません。
 それに、下手にさからってもう一度お尻叩きのやり直しなんて
ことになったら、それこそ目も当たられませんから、二人はあえ
て疑問を差し挟みませんでした。
 春花ちゃんも美里ちゃんも、もうこれ以上お尻をぶたれるのは
まっぴらだったのです。

 「では、私が拘束台を準備しますから、あなたたちはその間に
そこで服を脱いで待っていなさい。……いいこと、靴下を除いて
下着も全部脱ぐのよ。……もし、それまでに、ちゃんと服が脱げ
ていなかったら、本当に鞭でぶちますからね」

 お母さんは二人に厳命を残して部屋に設置された拘束台の準備
にとりかかります。

 二人は不安と悔しさで唇を噛みますが、でも、それ以上の抵抗
はできませんでした。

 二人はお互いを見つめ合いましたが、どちらの顔にも『選択の
余地はありません』と書いてありました。
 『どうせ、見ているのはお母さんだけだから』というのが救い
だったようです。


 「春花、あなたはこちらよ」

 町田先生はまず最初に春花ちゃんをうつ伏せで操作する拘束台
の方へ案内します。

 これは斜めになった板の上に上半身をうつ伏せにして寝かせ、
お尻が体のどの場所よりも高くなるようにセットしたら、両足を
六十度ほど開かせて足首を固定して使うようになっていました。

 両手は自由ですが、足首が固定されているので逃げ出すことは
できませんし、鞭打たれる時はどのみちその痛みに耐えるために
頭の先に突き出た二本の棒をその手で握ることになります。

 むしろ両手を拘束しないのは、痛さのあまり無理やり拘束具を
振りほどこうとして手首を痛めるから。
 手首を傷めては、その後の勉強に差し障りが出るからでした。

 春花ちゃんは、自動車に轢かれたガマ蛙みたいな無様な格好で
細いテーブルに張り付きます。
 大きく開かれた両足の間からは、女の子が見えそうで気になり
ますが、それでも美里ちゃんがさせられている格好に比べたら、
まだましだったかもしれません。

 同じ頃、美里ちゃんはもっと屈辱的な格好をさせられていました。

 美里ちゃんの拘束台は壁に据付けられていて、短めのテーブル
が壁から突き出るように設置されています。美里ちゃん、この上
に仰向けに寝かされると、なんと両足を高々と持ち上げられて、
自分の頭の方にある壁の鎖に固定されているのです。

 当然、誰の目にも女の子は丸見え。おまけにこの姿勢で鞭打た
れると、お尻だけでなく大事な場所にも鞭が当たってしまいます。
 それって尋常な痛さではありませんでした。

 この拘束台、中学生でも特に強い反省が求められる場合にだけ
使用されるということになっていますが、それはあくまで建前。
このテーブルに一度も乗らず中学を卒業できる子は施設の寮には
一人もいませんでした。

 というのも、この拘束台、たんに個人的なペナルティーという
意味ではなかったからなのです。

 『教会の子供たち』は本来なら生まれてくるはずのない子ども
たち。教会側も、もろ手を挙げて祝福という訳にはいきませんで
した。

 たとえ、子どもたちに罪はないと分かっていても、大人たちは
子供たちに試練の輪くぐりを求めます。

 拘束台を使っての鞭打ちはこうした子どもたちなら誰もが経験
する通過儀礼。彼らが煉獄を通らずに天国へ行くことなど、大人
たちは決して許さなかったのでした。

 二人はそんな屈辱的な姿を晒して五分間ほど放置されますが、
その間も、町田先生は二人へのお説教を欠かしません。パドルや
ケイン、トォーズや乗馬鞭など、中学生が受けるであろう数々の
鞭を手に、時には鞭打つ真似をしてお転婆娘たちを脅し続けます。

 しかも、最後にはこんなに恥ずかしい姿の記念写真まで……

 「よし、これはいいお土産ができたわ。これは今度あなたたち
が悪さをした時に使わせていただきます。これをクラスのみんな
に公表したら、さぞやみんな驚くでしょうね。そうならないため
にも、これからはいい子にしてなさい」
 笑いながら話す町田先生の言葉に、二人の体は、穴という穴を
塞ぎ、毛穴という毛穴を全部鳥肌にして震えます。

 でも、先生、この写真をそんな目的に使用するつもりはありま
せんでした。


 約束どおり、二人は鞭の洗礼を受けることなく開放されます。
ただ、台から下ろされた二人は、もうぐったりとしていました。

 でも、これで二人のお仕置きが終わったわけではありません。
 すぐに選手交代。今度はお互い別の拘束台で縛られます。

 手順も同じ、記念写真も同じでした。


 こうして恥ずかしい時間は15分ほどで過ぎ去ったのですが、
子供たちには一つ気になることがありました。
 お尻を叩かれている間、拘束台にいる間、それまで薄暗かった
室内が一瞬パッと明るくなることが何度かあったのです。

 ですから、お母さんにそのことを尋ねると……
 「さあ、知らないわ。電気の配線の具合が悪いんじゃないの」
 というそっけない答えが返ってきます。

 疑問に思いながらも、子供たちにしてみれば、その時はそれで
納得するしかありませんでした。とにかく今は、お仕置きを完全
に終わらせるのが先決でしたから。

 でもその瞬き、実は、金魚鉢と呼ばれる小部屋にいる大人たち
が焚いたフラッシュだったのです。

 この懲罰室にはいくつもの隠しカメラが設置してあって、その
シャッターを金魚鉢の中から操作できるようになっていました。
 シャッターを押す一瞬だけ、部屋の明るさが最大になるという
わけです。

 結局、子どもたちは自分たちの知らないところで恥ずかしい姿
の写真を何枚も撮られていたことになるのですが、これが、巷で
よくあるような、ゆすりたかりのネタに使われる事はありません
でした。

 伯爵様には身分や社会的な地位がありますから、そんなことは
なさらないのです。

 これらの写真は、あくまで伯爵様のコレクション。書斎の金庫
へ納まり、他へ移ることもありませんでした。

 そればかりではありません。これは二人も知らないことですが、
これから先、二人には伯爵様が後ろ盾として着いてくださること
になります。

 すべては町田先生の……いえ、お母さんの取り計らいだったの
でした。


***********(8)***********

********「第3回」はここまで*******
~~第2章はここまでです~~ 

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このブログについて

tutomukurakawa

Author:tutomukurakawa
子供時代の『お仕置き』をめぐる
エッセーや小説、もろもろの雑文
を置いておくために創りました。
他に適当な分野がないので、
「R18」に置いてはいますが、
扇情的な表現は苦手なので、
そのむきで期待される方には
がっかりなブログだと思います。

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