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見沼教育ビレッジ (13)

****** 見沼教育ビレッジ (13) ******

******<主な登場人物>************

 新井美香……中学二年。肩まで届くような長い髪の先に小さく
       カールをかけている。目鼻立ちの整った美少女。
       ただ本人は自分の顔に不満があって整形したいと
       思っている。
 新井真治……振興鉄鋼㈱の社長。普段から忙しくしているが、
       今回、娘の為に1週間の休暇をとった。
 新井澄江……専業主婦。小さな事にまで気のつくまめな人だが、
       それがかえって仇になり娘と衝突することが多い。
 新井香織……小学5年生で美香の妹。やんちゃでおしゃべり、
       まだまだ甘えん坊で好奇心も強い。
 ケイト先生…白人女性だが日本生まれの日本育ちで英語が苦手
       という変な外人先生。サマーキャンプでは美香の
       指導教官なのだが、童顔が災いしてかよく生徒と
       間違われる。彼女はすでに美香の両親から体罰の
       承諾を得ており、お仕置きはかなり厳しい。

**************************

 そうこうしているうちに最初の先生がやってきます。
 森田先生と言う国語の先生。白髪にメガネをかけ、チェックの
ジャケットを着た温厚そうな年配の紳士でした。

 最初は1学期の復習から……
 ここでの授業は学校のように懇切丁寧にはやってくれません。
要点だけを掻い摘んで説明したら、即、確認テスト。という流れ
で、授業はめまぐるしく進行していきます。
 50分の授業は学校の一時限と同じですが、それでいて1ヶ月
分という猛スピードです。

 『そんなのついていけない』
 と最初は思ったんですが、やっていくうちに……でも、それで
どうにもならない、ついていけないという事はありませんでした。

 というのも、先生方はすでに今まで過ごしていた学園から詳細
な学力情報を得ていました。それは単に中間や期末の成績を取り
寄せたというだけでなく、これまで私が学校でどのような勉強を
してきたのか…理解力は…応用力は…暗記力は…集中力は…等々
ありとあらゆるデータを元に授業案を練って進めていきます。
 ですから、この50分の中に無駄な時間というのは一秒たりと
ありませんでした。(ちょっとオーバーか……でも、そんな感じ)

 おかげで50分が終わると、もうそれだけでこちらは疲労困憊
です。
 『1日分たっぷりやったあ~~』
 そんな感じでした。

 これを午前中だけでも4クール、午後は2クールというのです
から…………死にます。

 おまけに……
 翌日は広い範囲からの復習テストが最初にありますし、漢字や
英単語の類は、毎日に100個以上暗記してきて明日に備えなけ
ればなりませんから、授業のない午後や夜も自由時間が自由時間
になりませんでした。

 「こんなの絶対続きませんよ」
 私は1日終わってケイト先生に愚痴を言うと……

 「大丈夫、大丈夫、あなたのことをすべて調べ上げた上で組ん
だ授業ですもの。どの先生も、あなたにできないことは最初から
求めないの」
 と、軽~~く言われてしまいました。

 「だって~~え、課題だってこんなにあるんですよ」
 それでも私が甘えると……

 「だから、慣れるわよ。朝の儀式と同じ。辛いのは最初だけ。
すぐに慣れるわ。だって、私の授業中の蝋燭にも、授業後のお尻
叩きにも、あなた、すぐに慣れてきてるじゃない」

 「慣れてません!あれは、それどころじゃなかったから……」

 「そうそう。いつも『それどころじゃない』って思って続けれ
ばいいのよ」
 ケイト先生の笑顔に私は膨れっ面でした。

 私は、授業中、何度かケイト先生の蜀台から流れ落ちる蝋涙を
手の甲に受けます。いえ、それだけじゃありません。授業の終わ
りには必ずケイト先生からのお尻叩きが待っていました。これは
その時間を受け持った教科の先生が私の授業態度を判断して下す
罰で、『なし』というのはありません。最低でも三つ、多い時は
12発もパンツを脱がされたお尻に平手打ちされます。
 こんな大変な勉強は初めてでした。

 でも、たしかに、ケイト先生の答えにも一理あります。
 これほどまでに忙しいと普段なら大騒ぎになるお仕置きでさえ、
もうどうでもよいことのように感じられますから……
 人間って、不思議なものです。

 朝のお浣腸も、オムツも、お漏らしも、授業中のローソクも、
授業後のお尻叩きも……忙しさの前にはその優先順位が下がって
しまうのでした。

 「私、馬鹿なんですから……」
 私は、今の苦役から逃れたくて何度かこんなことを言いました。
 すると、ケイト先生は……

 「あら、あら、あなたいつからお馬鹿さんたちの仲間入りした
の?……園長先生は、あなたのこと、最近、成績が落ちてるけど、
本来はとっても優秀な生徒だっておっしゃってたわよ」

 「そんなこと買いかぶりです」

 「そんなことないわ。だって、あなたは今日一日やっただけで、
もう随分と慣れたんですもの。……それは、今、あなたの人生の
フィールドが机の上にあるってことなの。机の上で作業している
時が一番楽しいでしょう?」

 「楽しくありません!!!……だいいち、机の上の作業って、
……それって当たり前じゃないですか!勉強させられてるんです
から……」

 「当たり前じゃないわ。だって、体育会系の人たちに同じ事を
しても寝てしまうのよ。どんなに蝋涙を落とそうが、鞭でお尻を
叩こうが、この人たち結果は同じなの。……でも、そんな子たち
が指導者にこんなトレーニングをしなさいって命じたら……今の
あなたと同じ。不満はあってもやはり真剣に取り組むの。だって、
その子たちにとって人生のフィールドは、机の上なんかじゃなく
本物のグランドの上にあるんだから……」

 「…………」

 「大丈夫、私がついてるから……どんなにあなたが『嫌だあ』
って言っても、ほとんど24時間、私はあなたのそばを離れない
の。赤ちゃんの面倒をみる母親と同じね。……こんな重宝な人を
利用しない手はないんじゃないかしら?」

 『どういう意味よ。あなたなんて厄介なだけよ』
 心はすでにけんか腰でしたが、たしかにその後、ケイト先生は
色んなアドバイスで私を助けてくれたのでした。


 1日6時限みっちり、学校と同じように時間割にそって授業が
行われます。息抜きに他のお友だちと一緒に体育や美術や家庭科
なんてのもありますが、大半の授業が、個室でマンツーマンって
ことでした。

 ここで、個々の先生のことをあれこれ書いてもいいのですが、
読者さんも退屈でしょうからそこは省きます。いずれにしても、
勉強の忙しさにかまけているうち、一週間はあっという間に過ぎ
去りました。


 次の日曜日……
 この施設は曜日に関係なく動いていますから日曜日もおやすみ
ではありませんが、お父さんがこの日施設を離れるというので、
私は特別に半日だけ家族水入らずで過ごすことを許されました。

 とはいえ、その日も午前中は初日と同じ。
 朝のお浣腸、お漏らしに始まり、両親からのお尻叩き……勿論
お勉強もあります。その最中に落とされる蝋涙だって別に回数が
減ったようには感じられませんでした。

 ただ、最初の頃に比べて何をされるにしても気持が楽になった
のは確かでした。
 蝋涙を恐れて殊更『授業集中しなきゃ』と思うこともなくなり
ましたし、課題を聞いて『こんなの徹夜しなきゃこなせないじゃ
ないの!!!』と癇癪を起こすこともなくなりました。

 いえ、そんな立派な事ばかりではなく……
 日頃繰り返されるハレンチなお仕置きのせいで、どこでも平気
で裸になれちゃいますし、誰にお尻をぶたれても驚かなくなって
いました。

 わずか一週間で、ケイト先生の言う通り、ここの生活に慣れて
しまったみたいで……それって自分でも、ちょっぴり、恐い気も
します。

 そんな日曜日の午後、突然ケイト先生の提案でぽっかりと暇が
できたのでした。

 昼食後、家族でよもやま話をしたあとで、お父さんが私を誘い
一緒に散歩に出かけることに……
 でも、お母さんと香織は家に残っていました。

 お父さんと二人だけの時間なんて久しぶりです。
 これが幼い頃なら何か買ってもらえると思って単純に喜んだと
思いますが、思春期になるとそこに微妙な溝が生まれます。

 『また、お小言かなあ?』
 『ひょっとしてお仕置きとか……』
 『まさか、ここが終わったらまた別の更生施設に行けなんて、
言わないでしょうね』
 私はお父さんと一緒に歩いていても、ネガティブな方向でしか
ものを考えられませんでした。

 「どうだ、ここでの生活は慣れたか?」
 「ええ、まあ……」
 「嫌なことばかりさせたから、私を恨んでるんだろうな?」

 「そんなこと……」
 私は下を向きます。
 言葉は否定的でしたが、それが私の本心でないことをお父さん
も承知しているみたいでした。

 「自分で抱えきれなくなったら、私の処へ直接連絡しなさい。
お母さんに話すと止められるだろうから、ケイト先生に話すんだ。
彼女が取り計らってくれるよ」

 「えっ?……じゃあ、明日やめてもいいの?」
 私は思わず本音を口走ってしまいます。

 すると……
 「もちろん、それでもいいけど…おまえはそんな弱音を吐く子
じゃないと信じてるよ」

 「…………」
 こう言われると、次に言葉がでませんでした。

 私には中学になった今でも『お父さんの信頼を裏切りたくない』
という呪縛が常に働いています。そして、そのことはお父さんも
よく承知していることだったのです。

 「ところで、おまえはどんなタイプの男性が好きなんだ?」

 「えっ!何よいきなり……」
 たしかに、そんなこといきなり言われても返事に困ります。

 もちろん私にだって憧れる人はいます。友だちとも色んな話を
します。
 ハンサムで、背が高くて、優しくて、英語が話せて……でも、
中学生の私にとってそれは具体的な誰かを指すのではなく、まだ
まだ、少女マンガに出てくる『彼』でしかありませんでした。

 そして何より、そんなことはお父さんには話したくないことだ
ったのです。

 そこで、私は逆にこんな事を言います。
 「私……お父さんの跡を継いで社長さんやってみたい」

 それは、お父さんのそばにずっといたいという意味程度だった
んですが……

 「(ははは)嬉しいけどね、お前には無理だ」
 あっさり、言われてしまいました。

 あまりにもあっさり言われてしまいましたから、ちょっとムッ
として……
 「どうしてよ。世の中には女性の社長だってたくさんいるのよ」

 「(ははは)そりゃあ、そうだけど……うちは『鍛冶屋』だ。
アパレルや雑誌社ならそうした道もあるだろうが、うちで働いて
いるは大半が男性。女の子が切り盛りできる商売じゃないんだよ」

 「ケチっ」

 「ケチで言ってるんじゃないよ。人はそれぞに向いた道がある
というだけのことさ。女の子は社会で片意地張って生きるより、
いい旦那さんにめぐり合って、子どもをつくり、その子と一緒に
愛し愛されて暮らすのが一番だ」

 「う~~~~ふる~~~~い。今どきそんなの流行らないよ」
 私は両手で胸を抱いて寒~~~いという仕草をみせます。

 「流行る流行らないの問題じゃないよ。人はそれぞれにあった
生き方をしないと幸せにはなれないってことさ」

 「だったら、いいよ。私は別の会社に勤めて、そこで社長さん
になるから……」

 「おやおや、随分勇ましいこと言ってくれるじゃないか。……
そんなにお嫁さんじゃいやなのか?」

 「だって、お母さん見てると、まるでお父さんの召使いみたい
なんだもん。あんなの嫌よ」

 「そうか、お母さん、そんなこと言ってたのか?」

 「そういうわけじゃないけど……私だって、男の子に負けない
くらい学校の成績いいんだから……できないはずないわ」

 「学校の成績ねえ……」
 お父さんは少し小馬鹿にしたしたような含み笑いを見せたあと
……
 「うちにも学校の成績が優秀だから雇ってくださいって推薦状
を持って毎年大勢の人がやってくるけど……そいつは、社会人と
しての優秀さにはあまり関係ないみたいだな」

 「なんだ、勉強なんてしなくてもいいんだ」

 「そうじゃないさ。ま、いいだろう、こんな話をおまえにする
のは少し早かったみたいだ。とにかく、今、おまえがやらなきゃ
ならないのは勉強。グレードの高い婿さんと幸せに暮らす為にも、
話し相手にもならんようなじゃじゃ馬や山猿じゃ、向こうも逃げ
出すよ。教養は何より大事だ」

 「私の結婚する人って、そんなふうに立派な人じゃなきゃいけ
ないの?」
 私はそれまでお父さんの求めに何でも応じてきたのに、この時
はちょっと変でした。

 「お前のお婿さんになる人は私の会社を継げる人でなきゃいけ
ないんだよ。跡継ぎがいなければ、会社はよその人の手に渡って
しまうからね。それではご先祖に申し訳ないから避けたいんだ。
……それがいけないかい?」

 「…………」
 私は何も答えませんでしたが、お父さんは私の気持がわかった
みたいで……自ら話題を変えます。

 「そうだ、ケイト先生が、この一週間のおまえの成績を取りに
行ってくださいっておっしゃってたから……まずは、管理棟まで
行ってみるか」

 お父さんの言葉は、私に新たな警戒心を抱かせます。せっかく
伸ばしかけていた羽根がまた引っ込んでしまいます。
 『やっぱり、お仕置きってことなの?』
 ここへ連れて来られてからというもの、私の頭からはお仕置き
という言葉が離れませんでした。


 管理棟は背の低い建物が多いこの施設の中では一番大きなビル。
7階のラウンジからは食事をしながら施設全体を一望することが
できました。

 その一階にある窓口でお父さんは私の成績表を受け取ります。

 「何て書いてあるの?」
 無表情で成績表を見ているお父さんの脇からそっと顔をのぞか
せると……

 「達成率95%。とてもよく頑張っておられます。これからも
この調子でお続けくださいだってさ」
 まずは嬉しいニュースが舞い込みます。

 でも、それには続きがありました。
 「ただし、達成できなった5%については、1%1回として、
ご父兄の手でお尻を叩いて励ましてあげてください……か……」

 この時、お父さん顔が笑っていましたから……私は……
 「嘘よ!そんなの。そんなこと書いてあるはずないじゃない」
 そう言って、お父さんが見ているレポートを奪い取ったのです。

 ところが、私の笑顔はそれを読んだ瞬間終わってしまいます。

 「…………」
 それって、冗談でも何でもなく、お父さんが読んだそのまま、
そこに書いてあったのでした。

 「どうやら、あと5回、私はお前の尻を叩かなければならない
らしいな」
 お父さんのニヒルな笑いは私の身体を再び凍りつかせます。

 おまけに、窓口の人までが……
 「お尻叩きでしたら、映画館がありますよ。ここの映画館は、
全部個室でから、お尻叩きにみなさんよくご利用されます」

 余計な情報まで教えてくれるのでした。

 このビルは、『管理棟』というくらいですから、もちろん事務
処理のための窓口が並んでいましたが、ビルの中はそれだけでは
ありませんでした。
 その他にも、映画館やゲームセンター、ボウリング場、カフェ、
コンビニなどが一緒に併設されていました。ですから付き添いの
家族たちもここをよく利用していましたし、私たちにとっては、
アミューズメントタウンとしての意識が高い場所だったのです。

 というわけで……
 「じゃあ、せっかくだから映画でも観て帰るか……」
 ということになったのでした。

 ただ、この場合、私の心は複雑です。
 『え~~~~』
 という気持も当然ありましたが、仕方がありませんでした。

 ただ映画館といっても、ここは街の映画館とは造りが違います。
 入口で入場料を払うと、部屋の鍵を渡され、指定された部屋に
に入って映画を観るシステムです。
 この映画館にはそうした8畳ほどの広さの個室が七つ八つあり
ました。

 いずれの部屋も独立していて厚い壁で区切られていますから、
ここなら、どんなに厳しくお尻を叩いてもお尻を叩く音や悲鳴が
外に漏れるのを心配する必要ないのかもしれません。

 私は、部屋に入ってさっさとソファに腰を下ろしたお父さんを
入口付近で恨めしそうに見ていました。

 「なんだ、毎日、散々お尻を叩かれてるくせに、まだ恐いのか」
 お父さんは笑います。
 でも、お父さんは恐い。やっぱり恐いものは恐いのでした。

 「いいから、おいで」
 再度促されて、ようやくお父さんの近くへ寄ってきます。
 これって幼稚園の時も、小学校の時も、そして中学生になった
今も変わらない儀式みたいなものでした。

 お父さんはお膝を叩きます。
 私は仕方なくそこへうつ伏せになると……

 「(はははは)ちょっと待ちなさい」
 今回はそう言って私をいったん立たせ、あらためて私のお尻を
膝の上に乗せ、私はお父さんと同じ方向を向いて座ります。

 「美香、この映画館なあ、映画を観る時に、おまけがついてる
みたいだぞ。……ほら」
 お父さんは目の前のしらっちゃけた画面を指差します。

 「おまけって?」
 その時、私はこのおまけが何のことだかわかりませんでした。

 ほどなく、室内が暗くなり映像が鮮明に見えてきます。

 ちなみにこの映画館、機械の操作は観客にまかされていました。
鍵を回し、セレクトボタンを押して、自分のみたい映画を観ます。
ただ、その中には、観客にとっては二度と見たくない映画という
のも含まれていました。

 『新井美香ちゃんの成長記録』

 『えっ~~~~~』
 タイトルバックにいきなり私の名前。
 それで驚いていると、さらに……

 『ん?……これって……どこかで見たような?……』

 『えっ!!!、これ!これ!これ!』
 私の身体が震えます。

 「止めてよ!止めて!」

 だってそれは、先日、ケイト先生からお尻を叩かれている時の
映像だったのです。
 数学の先生から「今日は少し集中が足りなかったみたいだね」
なんて言われた直後です。例によって休憩時間に裸のお尻を二十
四回も叩かれた時の映像でした。

 『いったい、どこで撮ってたのよ!』
 慌てた私は後ろを振り返ろうとしましたが、そんなことは百も
承知のお父さんが私の身体をしっかり押さえ込んで動かないよう
にしています。

 「やめて、止めてよ。こんなの恥ずかしすぎるわよ」
 私は叫び、身体をよじって抵抗します。
 ですが、その願いは叶えられませんでした。

 「いいから見てなさい」
 お父さんは、もう私を離しません。
 中学生にもなればもう少し抵抗できると思ったのですが、これ
もまた小学校時代と同じでした。

 「いいから、静かに見てなさい。自分の恥ずかしい姿を見るの
も、お仕置きだよ」
 こう言われてしまいます。

 そして、それは……
 朝の儀式の場面も克明に記録していました。
 お浣腸の場面も、オムツを穿かされる場面も、お漏らしも……
とにかく恥ずかしすぎて私は目を開けていられませんでしたが、
お父さんにはそれも不満なようで、目をつぶるたびに怒られます。

 「ほら、目を背けるんじゃない。自分のことだろうが、自分が
しでかしたことだうが……」
 お父さんはこう言ってイヤというほど太股を抓っては私を起こ
すのでした。

 「イヤっ!!!」
 これって、もう拷問でした。
 ですから、泣き出してしまいます。

 『自分の醜い部分は見せたくない、隠してしまいたい』
 女の子の大切な思いが踏みにじられて、そりゃあもう私の心は
パニックだったのです。

 そんな私を力ずくで押さえつけたまま、お父さんは耳元でこう
囁くのでした。

 「いいかい美香、美香は女の子だから綺麗なものだけ見て暮ら
したいんだろうけど……でも、世の中それだけではいけないんだ。
現実を直視する勇気がないと、女の子もやがては不幸になるから
ね。自分の醜い姿も勇気をもって見つめるんだ。……いいね」

 「これって、お仕置きなの?」

 「女の子に不足しがちな勇気を持つ大事な訓練だ。……でも、
そう考えたければ、それでもいいよ」

 「なんだ?おまえ、震えてるのか?……大丈夫だよ、怯えなく
ても……私がしっかり抱いててあげるから……それに、これは私
たち家族だけが見ることのできるプライベートフィルムだ。この
ことを知ってるのは私たち家族とケイト先生だけ。外には決して
漏れないからね。そこは安心していいんだよ。………だからね、
たとえ辛くても、目をそらさずにちゃんと見るんだ。……いいね」

 お父さんに励まされながら、私はその15分ほどの映画を観る
ことに……

 最初は、醜い隠したい場面の連続で目を覆ってばかりでしたが、
でもそのうち身体の力が少しずつ抜けていき、やがてどんな場面
も目をそらさず見る事ができるようになっていました。

 そして、その最後には不思議な感情が芽生えるのでした。

 映像はほとんどが私のお仕置き場面。汚くて、惨めで、悲劇的
……私にとっては何一つ晴れがましいところや自慢できるところ
なんかなかったはずなのに……でも、家族がケイト先生が、私の
ために献身的にお仕置きしている姿がそこに映っているんです。
それってお仕置きされてる最中はわからなくても、こうして映画
になって客観的に観るとよくわかります。

 ですから、最後にはこう思ったのでした。
 『私って、愛されてたんだ』
 と……

****** 見沼教育ビレッジ (13) ******

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このブログについて

tutomukurakawa

Author:tutomukurakawa
子供時代の『お仕置き』をめぐる
エッセーや小説、もろもろの雑文
を置いておくために創りました。
他に適当な分野がないので、
「R18」に置いてはいますが、
扇情的な表現は苦手なので、
そのむきで期待される方には
がっかりなブログだと思います。

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