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小暮男爵 << §16 >> 瑞穂お姉様のお仕置き

小暮男爵

***<< §16 >>****

 瑞穂お姉様のお父様は進藤高志さんとおっしゃる実業家。今は
経営の大半を息子さんが受け継いでいらっしゃいますが、戦前は
関東一円に数多くの軍需工場を持つ社長さんだったんだそうです。

 もちろん戦前のご様子など私は知りませんが、こちらでは縞の
三つ揃えにスエードのハットを被った姿でよくお目にかかります。
家に遊びに行くと、いつも油絵を描いてらっしゃるか、ピアノを
弾いてらっしゃるかしていて多趣味な方でもあります。

 もちろん、子供は大好きで、ご自宅の居間でお見かけする時は
誰かしら子どもたちがその膝の上に乗って遊んでいました。
 私が遊びに行った際、当時三歳だった弘治君という男の子が、
お膝の上でお漏らしをしてしまいましたが、お父様はまるで何事
もなかったかのように顔色一つ変えませんでした。

 そうした愛された兄弟(姉妹)の中でも、瑞穂お姉様のことは
特に可愛がっていられたと人伝えに聞いたことがあります。瑞穂
お姉様は明るく頭もよくて、難しい話題にもお父様のお話相手が
務まる子だと評判だったのです。

 ただ、そんな甘い関係も、この場では封印しなければなりませ
んでした。

 進藤のお父様は、あられもない格好のお姉様を間近に見ながら
蝋燭からお線香に火を移してお線香たてに立てます。
 その顔は普段見る柔和なお顔とは違って、厳しく引き締まって
おられました。

 「恥ずかしい?」

 進藤のお父様に尋ねられた瞬間、お姉様の生唾を飲む様子が、
こちらからも垣間見えます。

 「…………」
 でも、お姉様はそれには答えません。
 緊張しているせいでしょうか、私には、お姉様が自らの誇りを
失いたくないと意地を張っているようにも見えました。

 「私は『恥ずかしいのか?』と尋ねているのに答えてくれない
のかね」

 「あっ、はい、恥ずかしいです」
 お姉様は慌てて答えます。

 勿論そんなことわかりきっていますが、進藤のお父様に限らず
お父様たちって、惨めな姿をした子どもたちに『恥ずかしいです』
と言わせたがります。

 そして、その返答はたいていこうでした。
 「仕方ないな、お仕置きだから………お父さん、お前にわざと
そんな格好させてるんだ。お前が、よ~~く反省できるようにね」

 「はい、ごめんなさい」
 お姉様は嗚咽交じりの小さな声で答えます。

 「いいかい瑞穂。なぜお前がこんな格好をしなければならなく
なったか、わかってるだろう?」

 「私が二階の窓から傘を差して飛び降りたから……でしょう?」
 お姉様が自信なさげに答えると……

 「確かにそれもあるけど……それについては、栗山先生が処置
してくださったから、まだいいとして……私たちが問題にしてる
のはね、実はそのことだけじゃないだ」

 「えっ?どういうこと?…………」
 お姉様の小さな声には意外というに思いが込められています。

 「君がメリーポピンズを始めた時に、どうして遥ちゃんたちも
誘ってあげなかったのかなってことさ」

 「どうしてって……それは…………」
 お姉様は少し考えてから……
 「だって、あんまりいいことじゃないし、誘ったら悪いかなと
思って……」

 「じゃあ、明君が真似した時は何で止めなかったの?」

 「えっ……それは…………」

 「そうじゃないでしょう。そんな事で遥ちゃんに声をかけたら
バカにされるんじゃないかって、心配したんじゃないの?」

 「えっ…………」
 お姉様は答えませんでしたが、どうやら図星のようでした。

 瑞穂お姉様とうちの遥お姉様はお互いライバル。たった六人の
中ですが、二人は勉強でも図工でも音楽でも、とにかくどんな事
でも張り合っていました。

 「図星みたいだね。いいかい、いつも言ってるように、クラス
のお友だちとは誰とでも仲良しでなきゃいけないんだ。仲間外れ
はよくないな。特にお前は級長さんじゃないか。たった六人でも、
君はみんなのリーダーなんだよ」

 「キュウチョウ?」

 「そうか、今は学級委員って呼ぶんだっけ……でも同じだろう?
君はクラスを代表して色んな行事をこなす立場にあるんだから、
いつもクラスがまとまるように気を配ってなきゃいけないのに、
それが自分から悪さを始めたり仲間はずれの子を作ったりしたん
だから……これって、いいわけないよね」

 「でもあれは、遊びだから……遥ちゃんはやらないと思って」

 「遊び?でも、声を掛けてみなけりゃわからないんじゃないか。
『たとえ、悪戯をする時でもみんなで一緒にやりましょう』って、
教えたよね。これは他のお父さん達も同じ考えなんだから他の子
もお父さん達からそう教わってるはずだよ。ここでは悪戯する事
より、友だちを仲間はずれにする事の方が罪が重いんだ」

 「…………」
 お姉様はその教えに気がついたみたいでした。

 これは私も小暮のお父様によく言われていました。
 『みんなで悪さをしてもそれはみんなで罰を受ければいいんだ。
簡単に償える。お尻が痛いだけだもん。でも、お友だちを傷つけ
てしまうと、その償いはそんなに簡単なことじゃないんだよ』

 私たちの学校では、クラスに六人しか生徒がいません。でも、
六人しかいないからこそ、その六人は、誰もが大親友でなければ
ならないのでした。

 「それに、たとえ瑞穂が勝手に始めたことでも、他の子にすれ
ば、級長さんがやってるんなら一緒にやってみようと思うんじゃ
ないのかな。……それとも、その子たちは私が誘ったんじゃない
勝手に始めたんだから自分には責任がないって言うつもりかい?」

 「えっ…だって、そんなこと誰だって、悪いことだと分かって
るはずだから……」

 「そうかな?お父さんそうは思わないよ。級長さんがやってる
ってことは、他の子がやってるってこととは同じにはならないん
だよ。ほかの子すれば『級長さんがやってるんなら大丈夫だろう』
って思っちゃうもの」

 「それは……」

 「お父さんも、お前にこんな格好をさせたくはなかったけど、
やってしまった罪の重さを考えると仕方がないと思ってるんだ。
しかも今回は、小暮のお父様が『お嬢さんだけお仕置きするのは
酷ですから、全員に同じお仕置きをしましょう』とおっしゃって
くださったからこうなったんだ」

 「ふう……」
 お姉様から思わずため息が漏れます。
 それはがっかりという顔でした。

 これがお姉様のどういう気持の表れだったのかは知りませんが、
進藤のお父様にとってその顔つきは、あまり良い印象ではありま
せんでした。

 「…しかし、そうなると、お前に与えられる罰はむしろ軽いと
言えるかもしれないな」
 お父様はそう言ってお姉様の顔色を窺います。
 そして、こう続けるのでした。

 「……そこでだ、今回は、ほかのお父様たちとのお話合いで、
会陰と大淫唇に一回ずつ、合計三箇所すえる予定にしてたんだが
……お前の場合はこんなバカな遊びを最初に始めた張本人だし、
クラス委員でもあるわけだから……お仕置きが他の子と一緒じゃ
不公平なんじゃないかと思ってな」
 お父様はこう言って再びお姉様の顔色を窺います。

 そして、最後に進藤のお父様はこう宣言するのでした。
 「……だから、今回は、各箇所三回ずつ私が直接据えてやる。
……それでいいな」

 でも、これには瑞穂お姉様びっくりでした。

 「いや、だめよ。だめ。ちょっと待って……そんなことしたら、
私、死んじゃうもん。そしたら、化けてでてやるんだからね」

 瑞穂お姉様は、どうにもならないほど体を押さえ込まれたこの
恥ずかしい姿勢のままオカッパ頭を左右に振って叫びます。
 顔は真っ赤、もちろん本気で自分の身体を心配しての事でした。

 「大仰だなあ、大丈夫だよ」
 進藤のお父様は軽くあしらいますが……

 「だめえ~~~そんなことしたらお嫁にいけないもん」
 
必死に起き上がろうとして頭だけこちらを向いたお姉様の目に
はすでに涙が光っていました。

 きっと怖かったんだと思います。必死だったんでしょう。
 そりゃそうです。こんな姿でいるだけでも超恥ずかしいのに、
これから、女の子にとって一番大事な処へお線香の火が近づいて
来るというんですから、そりゃあただ事じゃありません。

 でも、そんな親子喧嘩の様子を見守るお父様たちはというと、
あたふたとしていて落ち着きのない人など一人もいませんでした。

 恥ずかしいお股へのお灸は、何もこれが初めての試みではあり
ません。ここでは女の子が成長するたびにお灸が据えられます。
 お灸はいわば通過儀礼みたいなもの。据える場所も、据える艾
の大きさもあらかじめ決まっていて、痕もほとんど目立ちません
でした。
 大事なことは皮膚を焼くことではなく、全員で恥ずかしい思い
をしたこと。そんな体験を持つ事がお父様たちにとっては大事な
ことだったみたいです。

 「大丈夫だよ。心配しなくて……お父さんがそんな危ないこと
ミホ(瑞穂)ちゃんにすると思うかい。据える処はどこも皮膚の
上だからね、熱いのは熱いけどお尻に据えられるのと同じ熱ささ」

 「でも、三回…据えるんでしょう」

 「それはそうだけど、艾が小さいからね、すぐに消えるし痕も
目立たない。死んじゃうだの。お嫁にいけないだのって心配する
ことじゃないよ。現にここの卒業生はほとんどがこのお仕置きの
経験者だけど、みんな元気に働いてるし、お嫁に行って赤ちゃん
産んでるじゃないか」

 「そう…………」
 瑞穂お姉様はお父様の説得に安心したのか、それとも単に首が
疲れただけなのか、元の姿勢に戻ります。

 「さあ、始めるよ。いつまでもこんな格好でいたら、その方が
よっぽど恥ずかしいだろう。風邪ひかないうちにさっさと終わら
せなきゃ」

 お父様に言われて最後は瑞穂お姉様も観念したみたいでした。

 最後に、お父様が自ら猿轡を瑞穂お姉様の口にくわえさせたの
ですが、それにはお姉様、抵抗する素振りをみせませんでした。

 ただ、それが終わると、瑞穂お姉様の身体はさらに厳しく拘束
されることになります。
 最後になって他の家の家庭教師の先生たちも瑞穂お姉様の体を
押さえにかかったのでした。

 左右の足を押さえるのに一人ずつ追加され、目隠しがなされ、
お腹にも一人別の人が乗ります。

 幼い女の子一人にいったい何人の大人が…と思いたくなります
が、全ては安全を考慮してのこと。そして何より、瑞穂お姉様が
『今日ここに据えられたんだ』と心に刻む為の演出だったのです。

 実際、施灸自体は蚊に刺されたほどにしか熱くありません。
 それを印象深くドラマチックにしてお仕置きの効果をあげるの
がここでの先生たちの仕事でした。

 そのため進藤のお父様は見ている私たちに、これでもかという
ほど瑞穂お姉様のアソコを広げて見せてくれました。
 大淫唇や会陰だけではありません。小陰唇も膣前庭も尿道口も、
もちろんクリトリスや膣口、お尻の穴まで、瑞穂お姉様の陰部は
あますところなく外の風に当たることになります。

 そうしておいて約束の場所に艾が置かれます。

 たしかに、それは小さなもの。大きな胡麻くらいでしょうか。
私にはその程度にしか見えないほど小さなものだったのですが、
でも、こうやって大勢でがんじがらめに身体を拘束され、猿轡や
アイマスクまでされて、普段なら外には出ない場所を全て全開に
しているお姉様に艾がどんな大きさかなんて分かりません。

 驚異、恐怖、焦燥で気が遠くなりかけたかもしれません。
 その思いを進藤のお父様が現実へ引き寄せます。

 「それじゃあ、すえるからね」

 お姉様が必死に暴れる……いえ、暴れようとして押さえつけら
れてるさなか、艾に火が移ります。

 「うっっっっっっっっ」

 確かに会陰へそれは一瞬で終わりましたが、膨らみのある肉球
へ、すぐに次の使者がやってきます。

 「うっっっっっっっっ」

 「うっっっっっっっっ」

 三火の施灸が終わり他の子はこれで終了なのですが、お姉様の
場合はさらに六回の試練が続きます。

 「うっっっっっっっっ」
 「うっっっっっっっっ」
 「うっっっっっっっっ」
 「うっっっっっっっっ」
 「うっっっっっっっっ」
 「うっっっっっっっっ」

 約束は守られました。
 お姉様は取り乱すことなく、お父様も必要以上のことはなさい
ませんでした。

 黒い点が三箇所。それって他の子より大きいかもしれませんが、
それでもそんなに大きな点ではありません。
 そして、その黒い点が興奮しているためでしょうか、脈打って
いるのがはっきりとわかりました。

 『私も、ああなるんだわ』
 私は先々の事にあまり頓着しない性格でしたが、この時ばかり
はさすがに身が引き締まります。
 だって、このお仕置き。ここにいる限り私も必ず受けることに
なるのですから。

 ただ、それはそれとして、お姉様の痴態を見ていた私の体には
ある変化が起きていました。お臍の奥底からは何だかドロドロと
したものが湧き出して来るのです。
 お臍の下の方で湧き出したそれはお腹へ胸へと登り、やがて顎
へ。顎の骨、歯根、歯茎、最後は前歯の先から出て行きましたが、
最後に一言。

 『私もやられてみたい』
 脳裏に不思議なメッセージを残して立ち去ったのでした。

 全ての戒めが解かれて自由になった瑞穂お姉様は憔悴しきって
いますが、なぜでしょうか、私はそんな瑞穂お姉様に自分自身を
重ねて憧れてしまうのでした。

 「ふうっ」
 大きなため息がでます。

 最初から強烈なお仕置きを見学するはめになった私でしたが、
次は、別の意味で、私にとってはもっともっと強烈でした。

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このブログについて

tutomukurakawa

Author:tutomukurakawa
子供時代の『お仕置き』をめぐる
エッセーや小説、もろもろの雑文
を置いておくために創りました。
他に適当な分野がないので、
「R18」に置いてはいますが、
扇情的な表現は苦手なので、
そのむきで期待される方には
がっかりなブログだと思います。

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