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ケンとメリー<1>

これは『お仕置き小説』ではなく落書きです。

 ケンとメリー<1>

 ケンとメリーは、その日、無反動型の小型円盤宇宙船に乗って
いた。地球人の表記ならアダムスキー型UFOということになる
だろうか。

 目的は、探検?学術調査?それとも地球制服?。
 いやいや、そうではない。
 実は彼ら、太陽系近くで宇宙船が小惑星流星群に遭ってしまい
間一髪小型艇で脱出してきたのだ。

 要するに、今、乗っているのは大海に漂うゴムボートという訳。

 もっとも、このゴムボート。本来なら自力で故郷の星まで連れ
て行ってくれるのだが、肝心のメイン回路が惑星の直撃でこれも
破損してしまって、もっかは文字通り漂流していたのである。

 万事休すかと思いきや、ケンがあるアイデアを思いつく。

 それは地球の赤ん坊をさらって来て、その脳を拝借。CPUの
一部にしてしまおうというものだった。

 「大丈夫なの?」
 彼の妻、メリーは懐疑的だ。

 「分からないさ。でも、他に方法がない」

 「そんなことしなくてもさ、地球で一番能力の高い電子工学の
学者をさらった方が手っ取り早くない?」

 「バカだなあ、ここは僕たちの星じゃないんだ。住民は未開の
野蛮人。こいつらの能力ときたら自分たちのすぐ近くを回る惑星
に辿り着くだけがやっとなんだぞ。そんなやつらにいったい何が
できるというんだい」

 「じゃあ、なぜ赤ん坊なの?」

 「大人はすでに彼らなりのOSが脳に刻まれてしまってるから
役に立たない。こちらが欲しいのは知識じゃない。あくまで頭脳
そのものなんだ。たしかに奴らは未開の野蛮人に違いないがね、
探せばIQ240程度の脳を持つ個体はいるはずだから、それを
10個繋げて回路にするんだ。こちらの計算では、10人くらい
連れて来れば何とかなるはずなんだが、はたしてそんな優秀な子
が見つかるかどうかだ」

 「でも、赤ん坊のIQなんて、どうしてわかるのよ」

 「それは大丈夫。実は我々の調査隊が何度もここを訪れていて
彼らの遺伝子を解析したデータが残っているんだ。それを頼りに
彼らの固体なかで最も優秀な頭脳を持って生まれる遺伝子の子を
探し当てればいいのさ」

 「だってこいつら何十億もいるのよ。その中から探し出すわけ?
そんなの無理よ」

 「無理じゃないさ。何十億人いても、こちらの望む組み合わせ
を持つ遺伝子は限られてる。そこをたどっていけば必ず見つかる
はずさ。……ただしタイムリミットはある。最初の子を見つけて
から3年以内に10番目の子を見つけなければならない」

 「どうしてさあ、確保してきた個体を冷凍保存すればいいだけ
じゃないの」

 「確かに冷凍保存って方法もあるにはあるんだけど、こうした
ことは新鮮さが大事なんだ。できるだけ生の頭脳でいきたいんだ
よ」

 「私たちだけでそんなことできるの?」
 
 「もちろん、情報収集はこいつらに手伝ってもらうさ」

 「ツエツエバエ……」

 「こいつらが戻ってくれば、解析でだいたいのことは分かる。
あとはベストカップルを結びつければそれでいいってわけ……」

 「でも、そんなに無理しても女の子がちゃんと相手の赤ちゃん
を産んでくれるかしら?」

 「なにロマンチックなこと言ってるんだ。要は、精子と卵子が
あればいいだけじゃないか。適合する男と女をここへ連れて来て
精子と卵子を採取だけすればそれでいいのさ」

 「じゃあ、人工授精……試験管ベビー……」

 「当然そうさ。お前、こいつらにセックスをさせようと思って
たのか?」

 ケンが笑うと、メリーは赤い顔になったが、それが落ち着いて
からメリーも自分の意見を言う。

 「でも、完璧な形で胎児が育つためにはやっぱり母体は必要よ」

 「どうして?」

 「最後まで人工子宮でも胎児は育つけど、そうすると、彼らの
場合、生まれた後、情緒が不安定になりがちで脳の発達にも影響
が出るのよ。獣医が言ってるんだから間違いないわ」

 「なるほど……動作不良ってわけか」

 「そういうこと。……彼らはまだ獣から分離して間がないから
母体は必ずいるわよ」

 「そうか、……なら、やはり女は連れて行くしかないわけだ」

 「そういうことになるわね。……寝床足りる?」

 「大丈夫なんとかなるよ」

 もちろん、自分たちのはるか上空でそんな話がされているとは、
この時、地球人は誰も知らなかった。

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tutomukurakawa

Author:tutomukurakawa
子供時代の『お仕置き』をめぐる
エッセーや小説、もろもろの雑文
を置いておくために創りました。
他に適当な分野がないので、
「R18」に置いてはいますが、
扇情的な表現は苦手なので、
そのむきで期待される方には
がっかりなブログだと思います。

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