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小暮男爵 / <第二章> §2 おじ様たちのお仕置き①

小暮男爵/<第二章>

****<§2>****/おじ様たちのお仕置き①/****

 五人のおじ様おば様たちが見守るなか最初に私が呼ばれたのは、
ほかのおじ様たちが『総帥』と呼んで敬意をはらっている中条の
おじ様でした。

 白髪で白いお髭がトレードマークのこの紳士は、おじ様たちの
中でも最年長。端整な顔だちのなかにも深い皺が何本も刻まれて
いてお歳を感じますが、その皺に隠れるようにしてのぞく細くて
優しい目がこちらを見て微笑むと、このお方が子どもたちを折檻
する姿はとても想像できませんでした。

 でも、お仕置きのない家なんて存在しませんから、このおじ様
だってご自分の娘たちのお尻はちゃんと叩いているはずです。

 お父様のお話では何でもケミカル関連の会社をいくつも束ねて
いるのでお父様同士の呼び名は『総帥』なんだそうです。
 その総帥からお声が掛かります。

 「朱音ちゃん、こっちへいらっしゃい」

 「はい」
 小さく返事して…その足元へ。もう覚悟を決めて行くしかあり
ませんでした。

 美咲ちゃんがすでに説明したと思うけど、こんな時、私たちは
その人の足元に膝まづいて両手を胸の前で組まなきゃならないの。

 いくら子供でもこんなの屈辱的というか、前近代的というか、
お芝居がかってるとうか……でも、ちゃんとやったわよ。だって、
またお仕置きが増えたら嫌だもん。
 すると中条のおじ様、私の顔を一瞥してね、こんなこと言うの。

 「叱られる時、なぜ、そんな姿をしなければならないか分かる
かい?」

 「……いいえ」
 私が首を振ると……

 「君はマリア様にお祈りする時、どんな姿になるね?」

 「……それは……やっぱり…………こんな感じの……」

 「今の私は、君にとってはマリア様と同じように神様だから、
そうしなきゃいけないんだよ」

 『えっ、このお爺さんがマリア様と同じ?……な、わけないで
しょうよ』
 って思ったけど、もちろん声には出さなかった。

 でも、私の顔に何か書いてあったみたいで、私を見てにこっと
笑うと……
 
 「君は、今、『どうしてこの爺さんがマリア様と同じなのよ』
って思ったみたいだけど、私はこれでも君の何倍も長く生きて、
経験もたくさんしているから社会に出たら君と私は同じ立場じゃ
ないんだ。自分でそれを言っちゃあいけないかもしれないけど、
一般社会では私は君の何倍も偉いんだよ。それはわかるよね?」

 「はい」

 「よろしい。じゃあ、君は私を尊敬できるかな?」

 「えっ、あ、はい」
 たどたどしく答えると……

 「嬉しいけどね、それは嘘だ。だって外の社会を知らないはず
の君がこの老いぼれ爺さんの私を見て尊敬できるはずがないもの。
私の存在は君からすれば周囲の人たちがそう言っているからそう
なのかなあって思う程度の人間のはずだ。……違うかい?」

 「……えっ……それは……」
 私、うまく答えられなかった。中条のおじ様に限らずどの家の
おじ様たちもお外の世界ではとても有名な方々だと教えられてた
から、その人たちを目の前にして尊敬できませんなんて言えない
もの……。

 「君が今の段階で尊敬できるのは幼い頃からいつも自分に寄り
添ってくれている小暮のお父様だけのはずだよ」

 「えっ……いえ、そんなことは……」
 私が慌てると……

 「いいんだよ気を使わなくて……だってそれが当然なんだから。
……ただね、私も人生の先輩として君に伝えたいことだってある
から、そんなときは、君が私の言葉を聞き取りやすいように工夫
しなければならない。そんな時にこの姿勢になってもらうんだ。
これから私の話を聞く時はずっとその姿勢でいなければならない
けど、それでいいよね。だって、どのみち先生方からお仕置きを
いただく時だって同じ姿勢になるわけだから」

 確かにそうです。私たちの学校では先生からお仕置きを受ける
時も必ずこのポーズになって反省の言葉を口にしなければなりま
せんでした。
 私は小さく「はい」とだけ答えます。

 「人間不思議なものでね、形を真似ただけでも、知らず知らず
そんな気分になれるものなんだよ。その姿勢はマリア様にお祈り
する時のものだけど、私たちもこうやって、マリア様の権威をお
借りしつつ君に話しかけようというわけさ。……わかったかい?」

 「……(?)……はい、おじ様」
 よく分からないけど、とにかくご返事。
 女の子は、こんな時はもう条件反射のように相槌をうちます。

 「ああ、とても良いご返事だ。……綺麗だよ。清純な女の子と
いうのはやはりこうでなくちゃ。これからもその姿勢を崩さない
でお聞きなさい。いいね」

 「はい」

 「さてと………さきほど君のお父様からいただいたこの資料に
よると……君の今学期の中間テストの結果は………………」
 中条のおじ様は腰を下ろしているソファ脇の小机に乗っていた
一冊の見慣れたファイルを手に取ります。

 「!!!!」
 私、それを見て驚きました。いえ、目の玉が飛び出たんです。

 それは私たちの一日が事細かに書かれた閻魔帳(成績表)です。

 きっとお父様の手元にだってこの列車に乗り込む直前に届いた
はずです。それがもう今は中条のおじ様の手にあるのですから、
これはもうびっくりです。

 『どうして、それを中条のおじ様が持ってるのよ!?』
 不思議そうにおじ様の手元を眺めていると、きっとそれが物欲
しそうに見えたんでしょうね……
 
 「ああ、これかい。これは『先生』に今さっきお借りたばかり
の君の閻魔帳なんだ。でも不思議なことではないんだよ。私たち
は自分の子どもたちだけでなく他の家の子どもたちの資料も日頃
から目を通しているから。これも六人の約束でね、誰かにもしも
のことがあった時は、すぐにその家の子どもたちを引き取らなけ
ればならないだろう。そんな時のためにどの子が我が家に来ても
まごつかないように日頃から他の家の子供たちの情報も共有して
いるんだ」

 中条のおじ様はさも当然といった風だったけど私は初耳だった
からもうびっくりで……
 『え~~私たちの成績やお仕置きの様子は他のおじ様たちにも
筒抜けだったの!』
 思わず背筋が凍る思いだったわ。

 だってお父様がまるで夕刊を見るようにしてめくる閻魔帳には、
単に成績だけじゃくて、今日、学校で行われたお仕置きの様子が
写真つきで載っかってたりするわけで、お父様がそれを見ている
だけでも恥ずかしいのに、それを他のおじ様たちまでが見ていた
なんて、そりゃあショックだったわ。

 しかも、そんな中条のおじ様のもとへ、今度は他のおじ様たち
までが集まってきたから……

 「あっ、それ……だめ、見ちゃだめ」
 私、思わず身を乗り出しちゃった。

 「朱音ちゃん、だめだよ。さっきも言っただろう。両手は常に
胸の前で組んだままにしてなきゃ……そうそう、背筋もまっすぐ
にしてね……」

 たちまち中条のおじ様に元の姿勢に戻されちゃいます。

 『あ~~私のプライバシーが丸裸になっちゃうよ~~~』

 膝まづいた場所から一歩も動けない私は首だけ回してお父様へ
助けを求めてみたけど、お父様も涼しい顔なの。

 「なるほどね、そういうことか」
 中条のお父様は私の秘密をぜ~んぶ知ってしまうと一つ小さく
ため息をついたわ。

 『あ~~あ、やばい、やばいよう~~~』
 もう、その瞬間からオシッコが漏れそうだった。

 「今さらこんなこと言っても仕方がないけどね、カンニングは
とてもいけないことなんだ。これをやっちゃうと先生が困るし、
親である私たちも困るし、何より信用を失う君はもっと困ること
になるんだよ。それに、せっかく真面目に勉強して取った点数も
こうやって没収されちゃうだろう。何もいいことはないんだ」
 中条のおじ様が話すと、それに他のおじ様たちも続きます。

 「なるほど国語と理科が0点になってる。朱音ちゃん二教科も
やっちゃったんだ。これじゃあ先生が怒るのも無理ないよ」
 と、高梨のおじ様が……

 進藤のおじ様はもつときついことを言います。
 「これじゃあ、百叩きが二回になっちゃうから、二日続けての
お仕置きになったんじゃないの?」

 でも、その通りなんです。
 今日だって死ぬほどお尻が痛い目にあったのに明日の放課後も
久保田先生の百叩きが待っています。
 そして、問題はそれだけではありませんでした。

 「これでは、お家に帰っても無事には済みそうにないわよね」
 と、真鍋御前まで追い討ちです。

 でも、それもそうなんです。むしろ問題はまさにそこにあった
のでした。

 「もしも、佐々木さんの娘さんがカンニングしたら、やっぱり
お仕置きはご自身でなさいますか?」

 高梨のおじ様の問いかけにこたえて佐々木のおじ様もきっぱり。

 「どこの家でも同じでしょうけど、こんなことをしでかす娘を
親は笑顔でベッドに送り届けたりはしませんよ。スリーカードの
お仕置きは、正直、この老人には骨ですけど、もし甘やかして、
この先でまた同じ間違いしでかされたらたまりませんから、私の
手できっちり引導を渡すことになると思います。何よりもそれが
親の勤め、責任、情でしょうから……」

 その言葉は私の背筋を凍らせます。

 スリーカードというのは、お浣腸、お灸、お鞭、という普段は
主に単独でやっているお仕置きをその場で三ついっぺんにやって
しまうことなんですがお仕置きが日常茶飯事の私たちの世界でも
そうたびたびあるお仕置きではありませんでした。

 おじ様方のそんなお話を聞いているだけで、私はお尻の辺りが
むずむずしてきます。

 『あ~あ、こんな列車に乗らなければ、お父様は富士の裾野に
ご旅行で帰ってくるのは遅いし、家でのお仕置きだけでも免れた
かもしれないのに』
 そんな愚痴がふっ頭の隅に浮かびます。

 でも事態は最悪。可哀想な私はお父様からのお仕置きを免れる
どころか、普段ならお仕置きとは縁遠いはずのおじ様たちからも
こうしてきついお仕置きを受けなければならないのですから……
まさに泣きっ面に蜂とはこの事です。

 『夢よね、これは悪い夢を見てるんだわ』
 いくらそう思ってみても、悲しいかな悪夢は醒めません。
 これは現実。今さらどこにも逃げも隠れできませんでした。

 「朱音ちゃん、こっちへおいで」
 ソファに腰を下ろした中条のおじ様が空いてる膝を叩きます。

 いよいよ刑の執行というわけですが、でも、その前に……

 「遥……美咲、……お前たちには真鍋のおば様が後ろの車両で
お仕置きをしてくださるそうだから、行ってきなさい」

 お父様の言葉は二人にとって青天の霹靂だったみたいで……
 「え~~いやだあ~~」
 「私たち何も悪いことしてないもん」
 二人は口を尖らせますが……

 「何言ってるんだ。そもそも、いつ私がお前たちの電車通学を
許した。お前たちだって校則違反をしてるんだよ」
 と迫られると、二人もそれ以上反論できませんでした。

 二人の視線がなくなり、私はホッとします。
 その私の顔にお父様も満足そうでした。
 実は二人へのお仕置き。まだ新米ですが中学生になった私への
お父様なりの配慮だったのです。

 「おじ様、お願いします」
 私はこの社会ではお約束となっているご挨拶をして、その膝に
うつ伏せになります。

 スカートの裾が捲り上げられ、その瞬間、身体がキュンと固く
なりました。
 私は当然ショーツだって脱がされると思っていましたがそれは
ありませんでした。

 「私は君のお父様ではないからショーツまでは脱がさないけど、
手加減はしないから、その痛みはしっかり受け止めるんだよ」

 「はい、おじ様」

 「よし、じゃあいくよ。舌を噛まないようしっかり我慢してね」
 中条のおじ様はそう言って始めました。

 「ピシッ」
 スナップのきいた平手がお尻に炸裂して、私はさらに体を固く
します。

 「ひとつ、ありがとうございます」
 私はぶたれた数をカウントしておじ様にお礼の言葉を述べます。
私たちにとってお仕置きは腹いせや虐待じゃなく愛の証しとして
目上の人から賜るものですからご挨拶はとっても大事なんです。

 もう、物心ついた時からこうやって躾けられていましたから、
私たちにとっては、朝、『おはようございます』を言うのと同じ
くらい自然に出る言葉でした。

 ただ、この時は正直『助かった』と思っていました。
 裸のお尻でも、ショーツの上でも、痛みそのものはそんなに変
わないけど、女の子にとっては恥ずかしさが断然違いますから。

 「ピシッ」
 一回目より二回目はよりこたえます。
 「ふたつ、ありがとうございます」
 でも、耐えられない程じゃありません。激しい息遣いも悲鳴も
この時はまだまだ必要じゃありませんでした。

 「ピシッ」
 「あっ」
 三回目で小さな嗚咽。
 「みっつ、ありがとうございます」

 「ピシッ」
 「あああ」
 思わず痛みを逃がそうとして腰を振ります。
 「よっつ、ありがとうございます」
 太股が少し震えだします。

 『そんなに本気でぶたないでよ』
 思わず愚痴が脳裏をよぎりました。

 「ピシッ」
 「あっっっ……」
 唇を噛んで痛みに耐えます。
 もう、そうしないと大きな声を出してしまいそうでした。
 「………………いつつ、ありがとうございます」
 頭にジ~~ンと痺れがきて、それがなくなるのを待っていたら
ご挨拶の言葉が遅れてしまいました。

 「ピシッ」
 「うっっ(痛い~~~)」
 たった六回なのにお尻の痛みが脳天まで達っしてしまいます。

 『これじゃいけない』
 私は長期戦に備えて、自分の身体の隅々に頑張るように指示を
出しましたが……

 「よし、もういいよ」
 中条のおじ様の方がたった六回で私を許してくれました。
 きっと私のご挨拶がいよいよ遅れてしまい、もう十分に堪えた
のがわかったのかもしれません。

 「むっつ、ありがとうございました」

 私は顔には絶対に出さないように気をつけながら最後のご挨拶
をすませましたが、心の中は『やったあ、ラッキー』と思ったの
です。
 これが小暮のお父様だったら、パンツまで脱がされて50回は
ぶたれると思いますから……。

 ただ、私は肝心なことを忘れていました。

 「朱音ちゃん、今度はこっちだよ」
 次は高梨のおじ様がお膝を叩いて私を呼んでいます。

 『あっ、そうか』

 お父様はたった一人ですが、おじ様おば様にあたる方は、ここ
には五人もいるわけで……六回掛ける五人ですから三十回。
 結局、三十回。私はおじ様たちからお尻をぶたれることになる
のでした。


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このブログについて

tutomukurakawa

Author:tutomukurakawa
子供時代の『お仕置き』をめぐる
エッセーや小説、もろもろの雑文
を置いておくために創りました。
他に適当な分野がないので、
「R18」に置いてはいますが、
扇情的な表現は苦手なので、
そのむきで期待される方には
がっかりなブログだと思います。

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