2ntブログ

Entries

小暮男爵/<第二章> §4 おば様のお仕置き①

小暮男爵/<第二章>

****<§4>****/おば様のお仕置き①/****

 『真鍋御前』こと久子おば様のお家はもともと小さな紡績会社
でしたが、お父様の急逝により事業は傾き、一時は『倒産は時間
の問題』とまで言われていたそうなんですが、それを女手一つで
建て直し、国内屈指の繊維メーカーにまで再興させた女傑なんだ
そうです。

 ちなみに結婚は一度もなさらず『私は金光紡績と結婚したから』
が口癖だったそうです。
 ただ、多角化経営を推進する息子さんに事業を譲られてからは
引退してここで多くの子供たちを育てておられます。

 その真鍋家に私も何度か遊びに行ったことがありますが、その
時の久子おば様は穏やかで誰にでも優しく接しておいででした。

 もっとも、そこの娘たちからは……
 「そんなのお客様のいる時だけよ。普段はやたら規則や規律に
厳しくて、些細な違反も全部お尻で償わせるんだから」
 って愚痴を聞いたことがあります。

 私は、そんな人に捕まってしまったのでした。

 おば様は、無言のまま私の肩を抱いて部屋の隅へと私を連れて
行きます。
 そこには、遥と美咲が立っていました。

 『あっ!……』
 久しぶりの再会。でも、そこに弾んだ笑顔はありませんでした。
お互い何となく気まずそうな苦笑い。

 私は自分の事にかまけてこの時初めて、この二人がおば様から
お仕置きを受けたことに気づいたのです。

 私の場合はこの部屋でお尻を叩かれただけですが二人はすでに
オムツ姿ですから、別室で何をされたかは一目瞭然です。

 『私たち、これからどうなるの?ねえ、一緒についてきてよ』
 そんな言葉が頭をよぎりますが、結局できたのは、お互い弱弱
しく微笑むだけだったのです。

 私は翻ってお父様を探します。すると、そのお父様は佐々木の
おじ様のズボンをハンカチで拭いておいででした。

 「………………」
 そんなお父様を見てしまうと、やはり言葉は出てきません。
 三人は部屋の隅に立たされたまま、大人たちの様子をただ見て
いるしかありませんでした。


 「大臣。ホント申し訳ない。家でならこのくらいのことで音を
上げる子じゃないんだが……」

 お父様が佐々木のおじ様に謝ると、おじ様も恐縮した様子で…
 「先生、もうよろしいですよ。子供を持てばこのくらいのこと
どうということじゃありません。お気になさらないでください。
私の方こそ、加減したつもりが、少し強すぎたのかもしれない」

 すると、進藤のおじ様が自慢の筆で書き上げた私の恥ずかしい
お仕置きの様子を描いたスケッチを披露しながら口を挟みます。
 「おじ様、おじ様って日頃親しげに呼んではいても、子どもに
してみたら他人も同じですからね、怖かったんでしょう」

 今度は高梨のおじ様。
 「まして相手はいずれも男性だし、そりゃあ親とは違いますよ」

 これに真鍋のおば様が反応します。
 「あらあら、殿方は随分と弱気なのね。要するにまだ幼いのよ。
いいわ、わたしが何とかしましょう。……どうかしら?私じゃ、
まずい?」
 小暮のお父様に尋ねます。

 これにはお父様も少しだけ考えおられのましたが、その答えは
ノーではありませんでした。

 「いや、私は構いませんけど、すでに妹二人もお願いしてるし、
さらに姉までではちょっと虫が良すぎるかと思って……」

 「そんなことはありませんわ。私だって、男の子のお仕置きを
お願いすることはありますもの。それはお互い様ですわ。それに、
こうなったら、二人も三人も一緒ですもの。ただし、お仕置きは
私の流儀でやらしていただきますからけっこう厳しいですわよ。
それはご承知くださいますか?」

 「ええ、それこそ望むところです。男親というのはどうしても
娘に甘くなりがちで……どなたかしっかりした方にちゃんと躾け
ていただかねばとこちらも思っていたところなんです」

 「わかりました。それではカンニングの件もこちらにお仕置き
を任せていただけるんですね」

 「はい、よろしければ、それもよしなにお願いできますか?」

 大人たちの会話は当然私たちにも聞こえています。
 とりわけ、私はピンチでした。


 「いらっしゃい。私の部屋へ行きましょう」

 私は御前様に肩を抱かれるようにサロンとなっている大部屋を
出ます。もちろん、嫌でしたが、そんなわがままが通らないこと
も知っていましたから、お父様と目が合った時も何も言いません
でした。

 サロンを出ると化粧室があってその先が連結器。そこを渡ると
二両目は右側の通路に並んで沢山の小部屋が用意されています。

 ここはお父様やおじ様たちの控え室。入口のドアには『小暮』
とか『進藤』『高梨』『中条』『佐々木』といった六家のお名前が
掘り込まれた金のプレートが掛かっています。
 つまり、ここは学校に設けられた半地下の例の部屋とほぼ同じ
構造になっていたのでした。

 その最後尾が御前様のお部屋。『真鍋』というプレートが掛け
られています。

 「さあ、入って」

 私はもうすっかり観念して言われた通りに久子おば様の部屋へ。

 「すごい……綺麗……」

 そこは最後尾の部屋だけに許されたパノラマが開けていました。
 二本の鉄路がまっすぐに伸び、緑の山並みや青い海岸線の景色
が後ろへ後ろへと飛ばされていきます。

 「なかなかいい眺めでしょう?……この部屋はあなたのお父様、
男爵様にご無理を言って譲っていただいたの。つまりお父様には
ご恩があるわけだから、私としてもあなたをちゃんと躾けてさし
あげないといけないなって思ってるのよ」

 御前様はそうおっしゃってしばらくは私にその絶景を楽しませ
てくださいましたが……
 「また、あらためて見せてあげるけど、今は閉めるわね」
 すぐに緞帳を閉め始めます。

 『!』
 一瞬、真っ暗。

 緞帳はぶ厚い生地で出来ていますから、外の光がまったく入り
ません。当然、外からこの部屋の中を窺い知ることはできません。
それに部屋の物音も吸収して外に漏らさない働きがありました。

 『!』
 すぐに電気がついて不自由はありませんでしたが……

 『あっ!』
 お部屋の中へ降り注ぐ自然光の時は見えなかったものが白熱燈
の下では目に入ります。

 それは妹二人が使ったオマル。
 どうやら中の物は片付けていないみたいでした。

 「ちょっと、見せてね」
 御前様はまごまごしている私の後ろに回るとさっそくスカート
を捲りあげショーツを引きおろします。

 『あっ!』
 その素早いこと。
 気がついた時はお尻がスースー、振り返った時にはショーツが
太股に引っかかっていました。

 「ふ~ん、これだから殿方には任せておけないのよ。……ま、
いいわ、とにかく、まずはこれで濡れたところを拭きなさいな」
 御前様はそう言って私にバスタオルを渡してくれました。

 『今さら……』という感はありますが、私はショーツを脱ぐと、
もらったタオルでお股を拭きます。
 こんなこと男性がいたらできませんが、そこは女同士ですから
気が楽でした。

 ショーツもバスタオルもランドリーカゴに押し込んで、手持ち
無沙汰でいると……
 「いいからそこにお座りなさいな」
 御前様は私に一人掛け用のソファを勧めてくださいます。

 「いいんですか?……ありがとうございます」
 私は恐る恐るそこにお尻をつきました。

 高価な調度品に彩られた部屋のソファに汚れた体で触れるのは
気が引けますし、さっきまでおじ様たちからぶたれていたお尻が
座面に触れることでまた『痛~い!』と言い出すんじゃないかと
気が気ではありませんでした。

 「(ふふふふ)あなた、随分、楽なお仕置きだったみたいね」

 「えっ!」
 御前様のこの言葉にはびっくりです。

 「そんなことありませんよ。一人、六回でしたけど、平手でも
もの凄く痛かったんですから……」
 
 「何呑気な事言ってるの。お仕置きだもの、痛いのは当たり前
じゃない。痛くないお仕置きってのはないわよ」

 「だって、思いっきりぶたれたんですよ。私の人生の中でも、
一番か二番目に痛かったんですから」

 「人生って…………」
 御前様は苦笑いのまま思わずふきだします。
 「……あなた、いったい、何年、生きてるの?」

 「何年って……今、13歳ですから……」

 「そうよね……あなたの人生って、たかだか13年くらいよね。
だったら、そのお仕置きだって大半が小学生時代のものでしょう?」

 「そりゃあ、まあ、そうですけど……」

 「……だから、おじ様たちも手加減なさったんだと思うわ」

 「手加減って?……こんなに腫れてるのに……」

 「腫れてる?……どこがよ?……」
 御前様はさっき見た私の熟れたお尻を思い出すかのようにして
吸いかけのシガーを燻らせます。
 そして……

 「ろくにお尻の形も崩れてないし、うっ血もしてないじゃない。
ちょっとお尻がピンクに染まったくらいで、お仕置き受けました
だなんてよく言うわ。こんなのはね、世間じゃ、ぶたれたんじゃ
なくて、撫でられたって言うのよ」

 「じゃあ、おじ様たちは、私のお尻を思いっきりぶたなかった
って言うんですか?」

 「当たり前じゃないの。いいこと、世間じゃ小学生の女の子を
相手に本気でお尻を叩く紳士なんてどこにもいないのよ。あなた
は、身なりは中学生でも、おじ様たちの目にはまだ小学生としか
映らなかったってことだわね」

 「じゃあ、もし中学生って見られていたら……私はどうなって
いたんですか?」
 私は換えのショーツを御前様からもらって穿き替えます。

 「そうねえ、中学生なら、ケインで一人一ダースくらいかな。
五人だなら六十回ってところだわね。ケインは本来男の子のため
の鞭だけど、事情によっては女の子にも使うの」

 『……つまり、私が、その事情ってことなのね……』
 私の両足が震えます。

 「最初の頃は痛みに慣れないから、痛くて痛くて、発狂するか
死にたくなるわよ。お尻一面に黒血がよって醜いし腐った洋ナシ
みたいにお尻の形が変わるの。暫くはお友だちと一緒にお風呂に
入るのは遠慮したくなるわね」

 「…………」
 私は言葉を失います。

 「ん?どうしたの?……中学生のお仕置きは小学生と同じだと
思ってた?……身体も立派になってきてるのにそんなはずないで
しょう。……それに、あなた、中間テストで二教科もカンニング
したって言うじゃないの。もし、これがご自分の娘さんだったら、
どこのご家庭でも、お父様はそのくらいのお仕置きをしたはずよ」

 「私の父もですか?」

 「もちろんそうよ。本来なら今夜あたり無事じゃすまないわね。
でも、今日はたまたまお花見の行事とかち合ってしまったから、
別の趣向を用意してくださったの。だって、あなたの悲鳴を聞き
ながら呑気にお花見なんてできないもの」

 「お灸とかもすえられるんですか?」
 恐々訊いてみると……

 「具体的なことはわからないけど、かなり厳しいことになるの
は確かでしょうね。なんてったってあなた中学生だもの。個室は
もらった、勉強時間も自由になった。でも、その分、自覚は求め
られるわよ」

 「…………」
 私は思わず唇を噛みます。

 「小学生の頃は、『仲良し』『仲良し』がテーゼだったから、
お友だち同士のカンニングも、仲良しこよしで大目に見られてた
けど、中学になるとそうもいかないわ。社会の常識にも目を向け
ないといけないでしょう。私たちの間でもそこは厳しく対処しま
しょうという申し合わせになってるの」

 「小学生の時は、常識っていらないんですか?」

 「そういうわけじゃないけど……」
 御前様はちょっと言いにくそうな素振りのあと、こうおっしゃ
ったのです。
 「もっと大事なものがあるから……」

 「大事なもの?」

 「お父様に愛されることよ。……お父様だけじゃなく大人たち
みんなに愛されることかしらね。小学生が最も大事にしなければ
ならないお仕事よ。……どこのお父様も…もちろん私だってそう
なんだけど……訳知り顔で難しい議論をふっかけてくるような子
どもというのは歓迎されないないのよ」

 「子供って、大人と議論しちゃいけないんですか?」

 「だって、そんな子は可愛くないのでしょう。可愛くないと、
可愛がられない。可愛がられなければ愛も援助も受けられない。
それがなくて生きられるのならそれもいいでしょうけど、そうは
ならないもの。まして血の繋がらない子どもにとってそんな事を
して良いことは何もないわ。だからお互いが不幸にならないよう
に、幼い頃は細かな常識に目くじらをたてず、とにかく天真爛漫
で、無垢な心を持った子に育てましょうってことにしてあるの」

 「それも、お父様たちの申し合わせなんですか?」

 「もちろんそうよ。朱に交われば赤くなるといって同じ環境の
中で育てないとお父様お気に入りの天使は育たないの。もちろん
それぞれお父様に個性はおありだから100パーセント同じには
ならないけど、それでもどの家で暮らしてもなるべく同じ環境に
なるようにはしてあるわ」

 「私って、天使だったんですか?」

 「そうよ。あなた自身は他の世界を知らないから感じてないで
しょうけど、小暮お父様にしたらあなたはご自慢の天使様だった
のよ。そして、それは中学生になった今でもやっぱりそうなの。
お父様は難しい議論を持ち込むより、素直にご自分の膝で甘えて
欲しいと思ってらっしゃるはずよ」

 「そうなんですか」

 「ただ、そうは言っても、あなたたちを天使のままにして社会
へ放り出すわけにはいかないから、これから中学、高校、大学と
少しずつ社会に出ても適応できるように躾てはいくんだけど……
その基準でいくとね、あなたのお尻は中学生にしても甘いはね」

 「えっ……」
 思わず両手が震えます。私は御前様のお話を聞いているだけで
お尻がむずむずしてくるのでした。

 「ま、私も他人のことは言えないけど……異性の子というのは、
自分とは生理が違うものだから大半の人がお仕置きも苦手なの。
厳しい対処がしにくいのよ。それでも、これが赤ちゃんの頃から
あなたを育ててるお父様なら、あなたへのお仕置きの限界みたい
なものもご存知でしょうから、そこはまだいいんでしょうけど、
おじ様のお立場では、たとえお父様に頼まれたとしてもあなたへ
思い切ったことはできなかったんだと思うわ。……でも安心して、
私はこう見えても女性だから、お父様のご期待にも十分にこたえ
られると思うわよ」

 御前様は自信満々。私の背筋は凍りつきます。
 もう、なるようになれ。
 運命を天に任せるしかありませんでした。


*************************

コメント

コメントの投稿

コメント

管理者にだけ表示を許可する

Appendix

このブログについて

tutomukurakawa

Author:tutomukurakawa
子供時代の『お仕置き』をめぐる
エッセーや小説、もろもろの雑文
を置いておくために創りました。
他に適当な分野がないので、
「R18」に置いてはいますが、
扇情的な表現は苦手なので、
そのむきで期待される方には
がっかりなブログだと思います。

最新記事

カテゴリ

FC2カウンター

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR