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『私の原点となった本~蒼白き恋慕~』

 『私の原点となった本~蒼白き恋慕~』

 やはり、この本との出会いは衝撃的でしたね。
 何しろストーリーが『僕の事か?』って一瞬疑ってしまうほど
僕の生い立ちともリンクしてましたから。

 そのあと思ったのが…
 「こんなのも、やっぱりSMでポルノなんだ」
 ということ。

 僕にとってそれまでのSM感は、『埃っぽいあばら家で、変態
おやじが大人の女性をいたぶり続ける非人道的な話』
 好きな人にとっては無理強いしていく、されていく姿が面白い
んだろうけど……それは僕にとってはノーサンキュー。
 
 だから、当時すでに20歳を過ぎてましたけど、スケベな雑誌
に手が伸びてもSM雑誌というのはまだ一度も買ったことがあり
ませんでした。

 それがひょんなことから池袋の書店でこの作品が載った雑誌を
見つけて立ち読み。(今は、こうしたたぐいの本は立ち読みでき
ないように梱包されていますけど、当時はそのまま書棚に並んで
いました)
 もう衝動的に購入。

 その後もこうした作品が紹介されるんじゃないかと思って通い
ましたが、そうは問屋が卸してくれませんでした。
 ただ、これがきっかけで他のSM雑誌も流し目するようになり
ましたから、この雑誌が僕にとってはSMの入門書だったのかも
しれません。

 いえ、僕も少年時代から人を虐めるような話が決して嫌いでは
ありませんでした。ただ、それは街で見かけるSMの王道からは
外れていたものですから、本屋さんでそれらを見かけるたびに、
『これは違うな』と思い続けていたんです。

 僕の場合は、『基本線はあくまで一般のドラマでありながら、
展開されるエピソードの中に過激な要素が散りばめられている』
そんな世界が好きでした。

 ちなみに私の個人的な嗜好を述べますと……
 まずは舞台が大事でした。

 陰湿なお話でも舞台は明るい場所でなければいけません。童話
のような美しい世界で憧れのお姫様や何不自由ない暮らしをして
いるお嬢様がハレンチな罰を受ける姿に歓喜します。

 もちろん庶民をモデルにしたお話が嫌いというわけではありま
せんよ。蒼白き恋慕はまさにそんな庶民のお話ですから。
 ただ、その場合でもお仕置き部屋は綺麗に片付けられていると
いうのが暗黙の了解事項。あばら家では興がさめてしまいます。

 それと、虐められる側、お仕置きされる側に必ず何らかの理由
が必要でした。理由付けは多少理不尽でも構いませんが何の理由
もなく責められているというのは、ちょっと……だったんです。

 SMって本来理不尽を楽しむものかもしれませんが、それだけ
では僕の心は燃えないのです。

 そして、さらに言うと……その罰の理由が愛に起因していれば
さらに結構ということになります。

 実は、このお話にはその愛が感じられるから僕は好きなんです。

 そうは言っても、今の人たちに『このお話の継母にも愛はある』
なんて言ったら、きっとみんなふき出すんでしょうね。
 今の親は、愛情と愛玩の区別がつかずごっちゃにしてますから。

 でも、日本がまだ貧しい時代、同じ空気を吸って育った僕には、
彼女の芯の強さ、愛情がこの本の行間に読み取れるんです。

 この作品には直接的な表現でこの継母を賛美するような表現は
何一つありません。でも、空気感というのかなあ。この継母さん、
義理の娘に対して愛玩はできないけど愛情はまだ捨てていないな
と感じてしまうところがあるんです。

 結局、この本の最大の値打ちはそこなのかもしれません。

 厳しい生活環境、思うにまかせない人間関係の中で、それでも
精一杯生きている姿が読み取れるこの作品は、単にポルノという
枠をこえて今なお僕の心を打ち続けています。

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tutomukurakawa

Author:tutomukurakawa
子供時代の『お仕置き』をめぐる
エッセーや小説、もろもろの雑文
を置いておくために創りました。
他に適当な分野がないので、
「R18」に置いてはいますが、
扇情的な表現は苦手なので、
そのむきで期待される方には
がっかりなブログだと思います。

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