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『お仕置き』って……

 『お仕置き』って……

 虐待されて育った人にとっては、そりゃあ、思い出したくない
出来事だと思うけど、僕の育った環境でいうお仕置きはあくまで
親にとっての愛の一部なんだ。
 
 そもそも常識的に親が子供を虐待するって発想がなかったから、
たとえそれがどんなにきつい折檻でも、子どもの為を思わない親
なんていないって信じられていた。

 親戚も近所に住む人たちも学校の先生も警察官も……もちろん
親自身だって基本的に性善説だ。
 その前提にたってお仕置きがあるから、親が少々過激なことを
子供にしても許されてたんだ。

 もちろん、中には度の過ぎたお仕置きだってあったわけなんだ
けど、それは近所の人や学校の先生、場合によってはお巡りさん
が中に入って収めてた。

 ボクの子供時代はまだ社会全体が貧しい時代だったから親自身
生きていくことに真剣で、『これはまだ世間知らずの子供のした
こと』という心の余裕に欠けていたかもしれない。

 それとは逆に、今みたいに色んなお楽しみがあるわけじゃない
から、自分の子供っていうのは親にとっては日頃の憂さを晴らす
格好の玩具でもあったんだよ。

 そうやって玩具として扱われた結果、中には度外れたお仕置き
に発展することもあって……。
 これがボクの小説の過激な部分に当たるってなんだ。

 もちろん、それって今日的には大問題なんだろうけど……
 あえて批判を覚悟で言うとね。ボクは、そのことがそんなにも
子供にとって不利益なことだとは思っていないんだ。

 だって、それは本音で生きてきた家族の嘘のない姿だから賛成
できるかどうかは別にしても心に訴えかける力は大きいと思う。

 子供を前に普段身につけない裃をつけ、どこかで聞きかじった
理屈を、さも自分の腹から出たと言わんばかりに振りまわす親が
最近は特に多いけど、それで子供がどれほど感化をうけるだろ
うか。
 ぶつぶたないは別にしてその方がよほど笑止だ。

 今は、何かにつけて、子供の人権・人権って騒ぎ立てるけど、
子供はガラスケースに入れて飾っておけば成長するわけではない。
常に建て前で接しなければならない他人と違い、親は大人の本音
を語ってくれる数少ない存在なはずで、そこには道理の通らない
ことや粗暴な現実も含まれるけど、それも成長していく為の社会
勉強だとボクは思っている。

 今は、どこかのお偉い先生方に感化されてか、親までが子供に
気を使って、理屈でその場を取り繕うとしているけど、そもそも
理屈で全てが成り立たっていないのがこの世の真実であり、親は
それだけでも子供に嘘をついて育てていることになる。

 その嘘に子供が気づいた時、本心で語り合わなかった親子関係
は『騙された!』という思いと共に破綻するんじゃないだろうか。

 ボクは決して理屈や理想を否定しないけれど、一方でそうした
ものを越えた不条理の現実が世の中にはたくさん存在することも
同時に教えなければ、思春期を迎えて困るのは本人なのだ。

 昔はガキ大将というのがいて、親が教えなくても彼が世の習い
を教えてくれたものだが、今はそうしたリーダーもいないから、
なおさら温室育ちの少年たちが現実を知る機会が失われている。

 温室育ちの花はそこを出ると弱いもの。曲りなりにも保護され
ていた小学生時代と異なり自立を求められる中学生になった時、
世をはかなんだとしても不思議はあるまい。

 ボクは、お偉い先生たちが言い放つ究極のお為ごかし論理で、
子供が育つなんて思っていないから、理不尽な喧嘩も、不条理な
折檻も、それはそれなりに子供の成長に役割はあると思っている。

 人は心に傷を受けながら大人になり、心の傷が治るたびそれが
免疫となって打たれ強く他人にもやさしくなれる。

 子供たちにとって大事なことは心が傷つかないようにすること
ではない。受けた心の傷を治せる環境を整備してやることだ。

 もちろん、そこに愛情があることが大前提の話ではあるが……
親が自らの本心をむき出しにして築く子供との人間関係はどんな
教育や躾より大事な前提だと思っているから、オシオキをテーマ
に小説を書いてみたところで恥じるところは何一つないのです。
 あしからず……

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tutomukurakawa

Author:tutomukurakawa
子供時代の『お仕置き』をめぐる
エッセーや小説、もろもろの雑文
を置いておくために創りました。
他に適当な分野がないので、
「R18」に置いてはいますが、
扇情的な表現は苦手なので、
そのむきで期待される方には
がっかりなブログだと思います。

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