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〘 第 6 回 〙 お浣腸のお仕置き

          亀山物語
                     合沢啓治(著)
〘 第 6 回 〙 お浣腸のお仕置き
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<主な登場人物>

私(合沢啓治)/亀山愛育院の孤児。由美子の弟。

小島先生   /私の家庭教師であり、実質的には僕のママ。

大石胤子   /亀山村の村長さん。(三代目)女王様。

榊原 美里  /同級生の恋人。片想い。

森下景子先生 /由美子お姉様の家庭教師(ママ)であり、
       /かつ、学校では担任の先生でもある。

合沢由美子  /私をリンチにかけたお姉様の一人。私の姉。

小川静子   /泣き虫。リンチ四人組の一人。

桐山香織   /おっちょこちょいで早とちり。四人組の一人。
       途中でお灸をすえられそうになる。

安西遥香   /優等生だが、今回の事件に関与。四人組の一人。
途中でお漏らしをしてオムツ替えをさせられる。

美代子と彰子 /今回私のリンチには加わらなかったお姉様。

 お義父様  /亀山の子供たちは誰もがお義父様の子供として
(合沢徹)   /その家で家庭教師(ママ)と一緒に暮らしている。

 お義母様  /お義父様の奥さん。元々はお義父様のお付き合い
(合沢早苗)  /で亀山に来たのだが、今は子供たちにも優しい。

桐山高志 /幼稚園児(5歳)。由美子のお友達、香織の弟。 

 大原先生/高志君のママ。

 おばば様/亀山のお灸担当係。子供たちの実母を知る老婆。

****************************
****<6>*********************

 香織さんはすでに一度お漏らししていますから高圧浣腸。他の
子は躾浣腸でした。

 高圧浣腸は点滴と同じ要領で高低差を利用してお薬を体の中に
入れるもので、濃度は薄いものの大量にお浣腸液を入れられます
から最初から我慢することは期待されていません。漏らしたら漏
らしたで仕方がないぐらいに思って放っておかれます。ですから、
しばらくはべちょべちょの汚物の海の中にお尻を漬けて我慢しな
ければなりませんでした。

 これに対し躾浣腸はさっき香織さんがオムツ換えした時のよう
にお尻バンザイの姿勢からイチヂク浣腸器やガラス製の浣腸器で
お薬を入れられます。こちらはそれが可能ということで、必ずお
トイレを一定時間我慢させられます。もし規定時間内に粗相すれ
ば、たいてい次のお仕置きが待っていました。

 三人はベビー服を脱がされて再び素っ裸になると自ら仰向けに
寝て自分の両足を自分で持ち上げます。ママが「自分でお尻バン
ザイをしなさい」と言ったからでした。

 「まあ、よく仕付けられてますね。これならママも楽ね」
 シスターからはお褒めのお言葉をいただきましたがこんな姿勢
誰だって恥ずかしいに決まっています。おまけにシスターがメン
トール系の傷薬をお尻の穴に塗りますから…

 「(いやあ、いやあ、いやあ、やめて~~~)」

 声は極力出さず身体をよじってはそのヒリヒリに耐えることに
なります。
 由美子お姉様はそれまで必死に我慢していましたが、これには
涙がこぼれたみたいでした。
 おまけに……

 「どうですか、歳相応に成長してますか」
 聞き覚えのある声がすぐそばでします。

 「(いや、お、お義父様!、どうして?いやだあ~~)」
 きっとそう思ったに違いありません。お姉様の顔が一瞬真っ青
になったかと思うと、ほどなくして今度はゆで蛸みたいに真っ赤
になりましたから。

 お浣腸は普通左横向きに寝かせて左右の足を少しずらしてから
お尻の中にお薬を入れるのですが、これはお仕置きですから辱め
を加えるという意味であえてお尻バンザイの姿勢でやらせます。
この姿勢だと女の子の大事なところは大半が丸見えでした。

 そこで、せっかくの機会ですから娘の下の成長も確認しておき
たいということだったのです。

 ですから……
 「さあ、由美子ちゃん、もっと大きく足を広げて」
 なんてことも言われてしまいます。おかげで、お尻の穴だけで
なく膣も尿道口もクリトリスもその全部をお義父様にお見せする
ことになったのでした。

 「まだ、独り遊びはしていませんか?」
 「まだ大丈夫だと思います」

 こんな会話の後、いよいよお尻の穴に、浣腸器の先が突き立て
られるのですが、こんな恥ずかしい姿勢の中ですから、お尻の穴
だってなかなか言うことを聞いてくれません。

 「ほら、お尻に力をいれないの。それじゃあお薬が入らないで
しょう」

 本人だって、お浣腸を受け入れなければならないのはわかって
いるのです。決してわざとやっているわけではないのですが、お
義父様に恥ずかしい処を全部見られて動転しているお姉様はもう
本能的にお尻の穴をキツくしてお薬がお腹の中に入ってくるのを
拒否してしまうのでした。

 でも、その分お尻バンザイの姿勢を長くとり続けなければなり
ません。
 そんなこんなで躾浣腸は女の子には辛いお仕置きの一つでした。

 さっきお友だちが香織さんにあなたわざと漏らしたでしょうと
言ったのはこの躾浣腸を避けたかったんじゃないか、そんな意味
だったのです。

 躾浣腸組はお腹の中にお薬が入るとすぐにオムツを厳重にされ
て再びベビー服を着せられます。

 「さあ、いいわよ。お義父様からおやつをいただいてらっしゃ
い」

 ママの声に送られ子供たちはそれぞれにお義父様のお膝に乗っ
てチョコレーやクッキーそれにミルクなんかをいただきます。

 えっ、お仕置きは終わったのか?(^^ゞ

 いえ、いえ、そんなことはありませんよ。もちろん、おトイレ
だってまだ許されませんから。
 こんなさなかにと思われるでしょうが、次は給食(?)の時間
でした。

 由美子お姉様も当然お義父様のお膝で差し出されるチョコレー
トをほおばります。
 ただお姉様のベビー服は袖の先が袋地になっていて両手を外へ
出すことができませんから必ずお義父様や先生がその手やスプー
ンで口元まで運んで来てくれたものを、パクリとやるだけ。それ
以外の方法ではどんなに切迫していても給食を食べ終えることが
できませんでした。

 ですから、過去にはお義父様に意地悪されてなかなかチョコを
口元へ運んでもらえず、とうとうお膝の上で爆発なんてことも…
………

 私たちのお義父様は普段娘たちにそんな意地悪をなさる方では
ありませんでしたが、この時ばかりはお姉様たちも必死だったと
思います。

 「ありがとうございました」
 お姉様は一口食べさせてもらうたびお義父様にお礼を述べます。
それでもすぐに次がやってくるわけではありません。お義父様の
頬ずりを受け、頭を撫でられ、肩や背中をさすってもらってから
でないと次のスプーンはやって来ません。

 「あっ…は、はい、あり、ありがとうございます」
 お礼の言葉が震え、息づかいも荒くなっていきます。『ひょっ
としてここで爆発!』
 なんて心配も頭をよぎります。

 私はお姉様を手伝ってチョコレートを盗み食いしてあげようか
とさえ思いましたが、なかなか勇気が湧きませんでした。

 「啓治ちゃん、あなたはこれはだめよ」
 ママに言われてやっぱり遠慮してビスケットをほおばることに
しました。というのも、このチョコレート、実は中に下剤が仕込
まれていましたから、これを食べると2時間後にはトイレへ急行
しなければならなくなります。

 そんなことは由美子お姉様だって当然ご存じですから、本心を
言えば「そんなのいりません」って宣言しておトイレに駆け込み
たいに決まっています。けれど今はお仕置き中の身、それができ
ないことも私たち子供の悲しい現実でした。

 いえ、それだけじゃありません。子供たちはお義父様が差し出
すこんなチョコレートだって美味しそうに食べなければならない
のです。嫌々ながらとか顔をしかめてなんてのは礼儀に反します
から許されませんでした。

 私はこんな時にもお姉様がさも美味しそうに食べているを見て
感心してしまいます。

 『さすがは女の子』

 僕なんかお芝居が下手で、感謝の言葉を言わなければならない
時も、いつも顔を引きつらせ無理矢理顔を作って笑っていました。
 女の子なら失格でしょうね。きっとまた別のお仕置きが待って
いるはずです。

 でも、そんな僕をお義父様はよくかばってくれました。
 この下剤入りのチョコレートを食べさせられた時も、時間が来
てトイレに行きたくなるまでずっと一緒にいてくれたんです。

 もしあの時お義父様が一緒でなかったら……
 『啓治ちゃん、今日の態度は何です!せっかくお義父様やお義
母様からチョコレートをいただいているのに噛みつきそうな顔を
したりして……』
 『だってあれはお浣腸されてたから……』
 『そんなの理由になりません。あれではお仕置きの効果があり
ませんからね、お家に帰ってもう一度やり直しましょう。いいで
すね』

 こんな会話になりかねません。それを察して、お義父様は私を
抱き続けてくれたのでした。

 「さあ、これが最後だよ。よく頑張ったね」
 お義父様が差し出す最後のスプーンをパクリとやってようやく
すべてのチョコレートとコップ一杯のミルクを平らげた由美子お
姉様でしたが、これで終わりではありませんでした。更なる試練
がお姉様を襲います。

 「ありがとうございます。御前。あとは私たちが行いますので
……」
 そう言ってママが由美子お姉様を引き取ろうとします。他の子
はベッドでベビー服を脱がされておトイレを許されているのに、
お姉様だけが未だにベビーベッドの上だったからです。
 ところが……

 「由美ちゃん、今日はここでなしなさい」
 冷たいお義父様の宣言が幼い少女の頭をガーンと叩きつけます。

 「だって、もう限界なんです。出ちゃいます」
 必死のお願いにも…

 「だから、いいから、ここで出してしまいなさい」
 要するに今日は今穿いているオムツがおトイレというわけです。
これにはさすがのお姉様も悲しい顔をなさいましたが、お腹には
一刻を争う爆弾を抱えていますから、あらがう力もありませんで
した。

 「啓ちゃんにも同じことをしたんだろう。だったら、自分でも
体験してみたらいいじゃないか。おむつにうんちをするのがどん
な気持なのかを……」
 お義父様はどうやら本気のようです。

 「でも、そんなことをしたらおズボンが汚れます」
 お姉様も最後の抵抗を試みますが…

 「そんなこと、君が心配しなくていいことだよ。由美ちゃんは
私の大事な娘なんだからね。ズボンの一着二着どうってことない
さ。それより、今日は私がお前のオムツを換えてあげたいんだ。
普段は先生方に預けてるけど、オムツの取り替えぐらい私にだっ
てできるんだから……上手なんだよ。君がここへ来た頃は、私も
たびたび取り替えてあげたもんだよ」

 シスターとお義母様にも見守られながらオムツを穿いた大きな
赤ちゃんはとうとう進退が窮まってしまいます。

 「さあ、もういいわよ」
 「いいから、ここでしなさい」
 「もう我慢しなくて良いのよ。後は私たちがやってあげるから」

 女性陣にそう言われたからって、こればかりは『はいそうです
か』というわけには……

 お姉様は下唇を噛みます。涙がしたたり落ちます。
 お義父様はそんな不憫な子をしっかりと抱いておいででした。

 もちろん、彼女の両手もしっかり押さえられていますしたが、
よしんばその手が自由になったところで背中のファスナーはもち
ろん、お尻部分をあけるボタンも外すことなんかできませんから
自分でおトイレへ行けたとしても普段通りに用を済ませることは
もう絶望でした。

 「おトイレ、行かせてください」
 お姉様は蚊の泣くような声でお姉様は訴えますが…
 「だめよ。ここでしなさい。あなたはここでうんちをするの」
 最初はお義父様の意向に驚いたママも今は冷静で冷徹です。
 「いやです。いやなのはいや」
 「いや?……だったら弟にどうしてあんなことするの。やって
ることはあなたと同じでしょう」

 僕としてはもうそんな昔の事どうでもよかったのですが、お義
父様の意向には逆らえませんからママは決断したみたいでした。

 「だってみんな見てるし……」
 お姉様の声は鼻にかかって泣いています。

 「それは仕方がないでしょう。そもそもあなたは、今、どんな
身分なのかしら?」

 「赤ちゃんです」
 亀山の子はそう答えるしかありません。

 「だったら大丈夫、笑う人はいないわ」

 「(そんなあ~~~)」

 何が大丈夫なのか分かりませんが、ママは自身満々に説得しま
す。恐らく、『このことが街の噂になったりしないから』と言い
たかったのでしょうけど、コレって本人の心の問題ですからね。
たとえ噂がたたなくても乙女としては一大事なわけですよ。

 でも、ここではそんなこと関係ありません。大人たちはお構い
なしでした。

 「いやあ~~やめてえ~~~」
 「さあ、いいから、早く出しちゃいなさい」
 「変に我慢してると体に良くないわよ」
 「だめえ~~お嫁にいけない」
 「オーバーなこと言わないの。時期が来ればお義父様がいい人
を見つけてくださるわ」
 「人の噂も七十五日。あっという間に終わるわよ」

 大人たちは、寄ってたかってお姉様のお腹をさすり始めます。
方向が決まった以上早く出してやった方が本人のためだと考えた
ようでした。

 でも、こちらも乙女の意地なんでしょうか。お姉様は大人たち
の誘惑に耐え続け容易には陥落しません。

 そのうちお義父様が…
 「もうよいでしょう。みんな離れなさい。私がいったんこの子
をベッドへ運ぶから、それからにしましょう」

 お義父様は周囲の心配をよそにお姉様をそのままお姫様だっこ
の形でベビーベッド迄運ぶと、無造作に着ているベビー服を脱が
せ始めます。

 「…………」
 それって、どんな気持だったのでしょうか。お姉様としたら、
『ほっといてよ!』とはねのけるわけにもいかず、さりとてこの
ままではあまりに自分が惨めすぎます。

 「御前、それは私が…」
 慌てたシスターが代役を申し出ますが、お義父様は笑顔のまま
にそんなものは無用とばり手を休めません。

 あっという間にカバーオールの服が剥ぎ取られるとお姉様の体
はオムツ一つを残して裸に……

 「!」
 一瞬、間があり、それから慌ててお姉様はご自分の胸を両手で
覆い隠したみたいでした。

 ところが、お義父様の手はさらに休みませんでした。
 「ほら、もうすぐ楽になるからな」
 次はいよいよオムツが剥ぎ取られます。

 「……」
 すると、由美子お姉様はその瞬間、石像のようになってしまい
ます。目が点になるというのはまさにこのことなのでしょうか。
お姉様の瞳は青空の一点を見つめたまま微動だにしませんでした。

 幸い剥ぎ取られたオムツに汚物はありませんでしたが、汗びっ
しょりのオムツはあたりに女性特有の汗の臭いを振りまきます。
 すっぽんぽんになったこと、汗びっしょりのオムツをみんなに
見られたこと、お腹が爆発寸前なこと、色んなことがお姉様には
ショックでしたが、それだけではありませんでした。

 「あっ!」

 再度、お姉様の身体が浮き上がります。両方の太股をお義父様
の大きな手が持ち上げ、人間椅子のような形でその体がおまるの
置いてある舞台中央まで運ばれます。
 何のことはない、大人が赤ちゃんにおしっこをさせるあの光景
でした。

 「だめえ~~~だめえ~~~だめえ~~~~いや、いや、いや、
やめて~~お願い」

 事態を察したお姉様は必死にお願いしましたが、今度は許して
もらえませんでした。

 舞台の中央、みんなの視線が集まる場所でのおトイレです。

 「だめえ~~~だめえ~~~」
 でも、ここは乙女のプライドがそうさせるのでしょうか脂汗を
かきながら必死に抵抗します。とうとう他の三人がすっきりして
トイレから帰ってくるまで頑張り続けたのでした。

 「どうしたの?」
 「ここでやりなさいって……」
 「由美子だけ?」
 「らしいわよ」
 「仕方ないか首謀者だもんね」

 他のお姉様は武士の情けということでしょうか、少し離れた処
で事の成り行きを気にしています。でも、チビちゃんたちにその
遠慮はありませんでした。しばらくおとなしくしていたちびっ子
ギャングが再び現れたのでした。

 「ねえ、お姉ちゃまどうしたの?お病気」
 森下先生に尋ねますから…
 「そうね、お病気よ」
 と答えたのですが……
 「嘘だよ。これってお仕置きでしょう」
 「うんち出すんだよね。べちゃべちゃなやつ」
 「臭いの?」
 「浣腸液で薄まるから匂いはそんなにしないんだって」

 相変わらず幼い子は正直です。ぼくだって、お姉様だから遠慮
してるけど、よそのお姉様だったらこんなこと言ったかもしれま
せん。

 チビちゃんたちは再びやって来た引率の先生が引き取って行き
ましたが、お姉様の受難がこれで終ったわけではありません。

 「さあ、チビちゃんたちも行っちゃったしもういいでしょう」
 「いいかげん、観念なさい。さあ、出してしまえば、すっきり
するわよ」
 「恥ずかしい思いをするのもお仕置きよ」
 大人三人は由美子お姉様に決断を迫ります。

 でも、お姉様はもう固まってしまってそんな誘惑には負けない
とばかり顔をこわばらせています。
 これはけっこう長期戦かなと思ったその時でした。

 「ぷう~~~」
 という音が聞こえました。おならです。お姉様がたまらずおな
らをしたのです。大人三人が一斉に吹き出し、遠くではお友だち
の笑い声までします。

 「いやあ~~~」
 そんなことに動揺したんでしょうか、お姉様の顔が、ひときわ
歪んだかと思うとみんなから視線をそらすように横を向いてしま
います。

 「………………」
 その瞬間、再び目が点になってしまったお姉様。ほどなく横顔
をお義父様の胸板に押しつけたまま固まってしまいます。

 周囲を囲む大人たちはやれやれといった顔でした。

 堰を切った洪水はおまるの底を一杯にします。
 でも、最初、大人たちはお姉様に手を出しませんでした。
 『これくらい出たら終わり』
 それが分かっていたからお腹のものが大半出るまで待っていた
のでした。

 お姉様はもう人形のようになって何もしません。表情も変えま
せんけど出るものは次から次に出て来ます。

 『こんなの私じゃない。夢よ、こんなの夢だわ』
 そう思って耐えてるようでした。

 ようやく落ち着いたので大人たちは仕事に取りかかりますが、
これが不思議とちっとも嫌そうじゃないんです。和気藹々という
か、まるで長屋のおばさんたちが井戸端で鍋や茶碗を洗っている
ような、そんな賑やかさです。

 昔、夜泣きや疳の虫で悩まされたとか、どんな悪さをしてどん
なお仕置きをされたかなどお姉様の昔話に花が咲きます。そんな
ことを楽しげに話ながら汚いものを取り去ってお尻もお股も綺麗
に拭いてまた新しい服をあてがいます。

 今度の服は体操服でした。当時のことですから、白いシャツに
黒のブルマースタイルです。

 これは他の躾浣腸組も同じ。高圧浣腸ですでにお尻がべちょべ
ちょだった遥香ちゃんも、シスターたちに手伝ってもらって綺麗
な身体にしてもらうと、同じ衣装でベッドに入ります。

 ここでしばしの休憩が入り、四人はベビーベッド越しにお互い
顔を見合わせて笑っていましたが、もちろんこれで終わりという
わけではありませんでした。

 「おう先生方、遅れてすまんかったのう。急な仕事が入って…
……待たせたかいのう」

 庭じゅうに鳴り響く老婆のガラガラ声。これを聞いた四人は、
それまでの笑顔が一変、表情がこわばり身体が凍り付きます。

 「ほう、これはお嬢ちゃんたち。今日はなにやら勇ましいのう。
体操服なんぞ着て」
 彼女たちにとってこの元気すぎる老婆の声は悪魔のささやきに
違いありませんでした。


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〘 第 7 回 〙 お灸のお仕置き①

          亀山物語
                     合沢啓治(著)
〘 第 7 回 〙 お灸のお仕置き①
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<主な登場人物>


私(合沢啓治)/亀山愛育院の孤児。由美子の弟。

小島先生   /私の家庭教師であり、実質的には僕のママ。

大石胤子   /亀山村の村長さん。(三代目)女王様。

榊原 美里  /同級生の恋人。片想い。

森下景子先生 /由美子お姉様の家庭教師(ママ)であり、
       /かつ、学校では担任の先生でもある。

合沢由美子  /私をリンチにかけたお姉様の一人。私の姉。

小川静子   /泣き虫。リンチ四人組の一人。

桐山香織   /おっちょこちょいで早とちり。四人組の一人。
       途中でお灸をすえられそうになる。

安西遥香   /優等生だが、今回の事件に関与。四人組の一人。
途中でお漏らしをしてオムツ替えをさせられる。

美代子と彰子 /今回私のリンチには加わらなかったお姉様。

 お義父様  /亀山の子供たちは誰もがお義父様の子供として
(合沢徹)   /その家で家庭教師(ママ)と一緒に暮らしている。

 お義母様  /お義父様の奥さん。元々はお義父様のお付き合い
(合沢早苗)  /で亀山に来たのだが、今は子供たちにも優しい。

桐山高志 /幼稚園児(5歳)。由美子のお友達、香織の弟。 

 大原先生/高志君のママ。

 おばば様/亀山のお灸担当係。子供たちの実母を知る老婆。

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****<7>*********************

 みんなから『おばば様』と呼ばれているこの老婆は、亀山では
超有名人で、普段は山の麓で若い助手と一緒に暮らしをしていま
すが、子供たちにお灸のお仕置きがある時だけは必ず山を登って
手伝いに来ます。

 というのも、ここに暮らす子供たちの多くは、実の母親と同じ
場所にお灸がすえられています。それは、後日実母が現れて親子
関係を判断する時に重要な証拠となりますから、常に灸痕の位置
がずれないよう確認する必要があるためでした。

 つまり、彼女が来たということは、これからお灸のお仕置きが
始まるということ。それは、どの子にとっても平常心ではいられ
ない出来事でした。

 「どうしたね、由紀子ちゃん。また弟を虐めたそうじゃないか、
二度三度と同じおいたを繰り返すとお仕置きがキツくなるぞ……」

 おばば様が最初に目をつけたのは由美子お姉様のベッド。

 「どうせお前さんが首謀者じゃろうが……」
 しわくちゃの笑顔が雪駄を脱いでベッドに上がり込むと、隅で
小さくなっている由美子お姉様ににじり寄ってあけすけに女の子
が嫌がるようなことを命じます。

 「ほれ、シャツの前を捲ってみい。おっぱいがどれほど大きく
なったか、見てやろうほどに……」

 「えっ!」

 「なんじゃ、生意気に恥ずかしいのか。恥ずかしがるほどの物
をもっとるのか?」
 おばば様は馬鹿にしたように笑います。

 お姉様の胸はまだ小さい丸みでしかありません。いえ、小さい
胸だからこそ恥ずかしさは人一倍だったのかもしれません。おか
げでその手はなかなかシャツを引き上げられませんでした。

 「ほれ、ほれ、どうした。言うことが聞けんようならお仕置き
がまた重くなるぞ」

 「えっ……」

 今までのお仕置きでも散々ご自分の裸を披露してきたお姉様で
したが、それはすべて先生やお義父様が勝手にやったこと、無理
矢理やられたことだからという諦めもつきます。
 でも、自分で脱ぐとなると、それはそれでまた格別の羞恥心で
した。

 だから、そこは躊躇してしまうのですが、でも、そんな乙女の
事情なんておばば様には関係ありません。

 「ほれ、さっさとせんかい」

 ちょっとだけ強く言われた一言で、お姉様は、瞬間的に自分の
シャツをたくし上げます。
 でも、これを単純に脅されたからだというのは少し違っていま
した。

 実は、おばば様は亀山に赤ん坊を預けに来る母親と受け入れる
女王様やお義父様たちとの間を取り持つ仕事をしていました。

 もし、女王様やお義父様が赤ん坊を受け入れてくだされば、母
親はおばば様の家で我が子とお別れです。
 その後、赤ん坊はおばば様に抱かれて亀山を登って行きますが
母親はこの山を登ることが許されませんから、亀山で実母の顔を
見知っているのはおばば様だけだったのです。

 悪さをするとお灸をすえられる怖い人でしたが亀山で唯一実の
母と繋がりのある人物ですから、どんなに嫌いになろうとしても
どこかで親しみを感じてしまいます。そのためでしょうか、私は
ママやお義父様と同じようにおばば様にも命じられるままに二つ
返事だった気がします。

 いえ、これは僕だけじゃなく由美子お姉様も、それ以外の子供
たちも、みんな同じだったじゃないでしょうか。由美子お姉様が
おばば様の「ほれ、さっさとせんかあ」の一言であっさりシャツ
の前を捲ったのはそのためでしょう。

 いずれにしても、現れたのは相変わらずのぺちゃぱいでした。
 僕が三ヶ月前にお風呂で見た時よりはいくらか成長したみたい
ですが、それにしても貧乳と呼ぶにふさわしい男の子のような胸
です。ただ乳首だけが蜂に刺された程度には大きいので、そこだ
けでかろうじて『女の子なんだ』と分かる程度でした。

 「ほれほれ、お前たち何をぼーっと見てるんじゃ。お前たちも
同じじゃぞ。正座してシャツの前を捲ったままにして待っておく
んじゃ」
 おばば様の指示で女の子たちは全員ベッドの上で正座すると、
自分の成長途中の胸を白日の下にさらします。

 「くれぐれも下ろすんじゃないぞ」
 おばば様は四人が全て同じ格好になっているのを確認すると、
いったんは始めたお灸の準備を中止して何か思いついた様子で、
森下先生やお義父様たちとひそひそ話。なかなか艾の準備を始め
ません。

 「(どうしたんだろう?)」と思っていると、さっきまで離れて
遊んでいたチビちゃんたちがまたまた現れました。それも今度は
有志数人ではなく十数人全員でそれぞれ好きなベッドを取り囲み
ます。

 「わあ~~おっぱいおっぱい」
 男の子がはやし立てると女の子も指を指して笑い出します。
 どうやらこれは子供たちが自発的にやって来たというより引率
の先生の誘導によるもののようでした。

 「どうでもいいでしょう」
 「うるさ~~~い」
 「あなたたち、先生にいいつけるわよ」
 「何よ、あっちへ行きなさいよ」

 お姉様たちはいずれも今にも泣き出しそうな声で追い払おうと
しますが無駄でした。それどころかいたずらっ子の中にはベッド
に上がり込んでちょんちょんと指でおっぱいを突っつく子まで。
 お姉様たちはたくさんのちびっ子にからまれているというだけ
でも、もうパニックになっているようでした。 

 私も経験がありますが自分の身体が子供から大人に変化する頃
って人に見られるのがとっても恥ずかしんのです。
 どうやら、おばば様はそのことは百も承知で四人のお義父様達
に新たなお仕置きを提案したみたいでした。

 となると、最初のターゲットはやっぱり由美子お姉様という事
になります。

 「ほう、由美子ちゃんは相変わらず小さい子に人気があるのう」

 再び現れたおばば様はいつものお線香ではなく小さな密壺を手
に持っています。

 「どうじゃお姉様のおっぱいは?綺麗じゃろうが、日々磨いて
おるからな」
 「ちっちゃい」
 「ちっちゃいか。でも、お前たちより大きいぞ。それにじゃ、
これからもっともっと大きくなるんじゃ」
 「ほんと?」
 「本当さ、お前たちが手伝ってあげればもっともっと成長する
ぞ」
 「おっぱいが大きくなるとお姉様は嬉しいの?」
 「ああ、おなごは嬉しいもんじゃ」
 「おっぱい大きくするお手伝いって、どうするの?」
 「おっぱいを舐めてあげるんだ」
 「舐めるの?いやだあ~~汚い」
 「汚くなんかあるもんか、お前たちだって夜はママのおっぱい
を吸ってるんだろう?」

 「えっ、……それは……」
 男の子は口ごもります。子供たちは幼稚園児。亀山の常識では
ママの本物のおっぱいを毎晩のように吸っていてもおかしくない
年齢でした。

 僕だって今になるまで戯れに舐めたり吸ったりしたことが幾度
となくありますが……
 『もう、赤ちゃんじゃないんだからやめなさい!』
 なんてママが拒否した事は、これまで一回もありませんでした。

 女の子の場合はママが同性なので乳離れは男の子より早いので
すが、それでも幼稚園児ならそれも亀山では常識の範疇です。
 それもこれも、パトロンであるお義父様が理知に富む子よりも
お人形のように扱いやすい子を好むからで、それにママも先生方
も、もちろん子どもたちだって、右へ倣えだったのです。

 「どうだ、やってみるか。蜂蜜を塗ってやるから甘いぞ~~」

 おばば様は蜜壺のはちみつをさじで伸ばして子供たちに見せま
す。そして少しは気のありそうな男の子にほんのちょっぴり舐め
させてみます。

 「どうじゃ、あきら、やってみるか」
 おばば様が再び勧めると…
 「うん」
 男の子は首を縦に振りました。
 「よし、じゃあベッドへ上がって来い」

 こうして話はまとまったのですが、当然ながら由美子お姉様の
心中は穏やかではありません。
 その青ざめた表情を楽しみながらおばば様はお姉様の小さな胸、
とりわけ乳頭の辺りへ蜜を塗りつけます。

 「どうした浮かぬ顔して?…由美子ちゃんはこんな遊びが好き
なんじゃろう。……こういうことが…」

 その瞬間、おばば様はお姉様の左のおっぱいをひと舐めに……

 「あっっっっ」
 思わず弓なりに身体が反るお姉様。
 ざらざらした得体の知れない生き物が、おっぱいだけでなく、
後頭部を通って頭のてっぺんから抜けて行きます。

 「いやあ~~~~ん」
 お姉様が庭じゅうの木々を揺らすほどの大声を上げたのはその
直後でした。

 「何じゃ、そんなんに嬉しいのか。お前はこういうことを啓治
にもやらせとったそうじゃないか」

 そうなんです。あの日はお姉様たちが私を赤ちゃんにしてママ
ゴト遊びをしていたのですが、その際四人は私に浣腸してオムツ
替えしただけではあき足らず、うんちがしたかったら自分たちの
生のおっぱいを舐めろと言ってきたのでした。

 おばば様としてはその時と同じことをここで再現しようという
わけです。

 「ほら、やってみるか?」
 おばば様が促すと、あきら君は先ほどの大声にちょっぴりびび
っていましたが、おばば様に抱いてもらうと、安心したのか正座
したお姉様の膝に馬乗りになって、目の前に広がるお姉様の生の
おっぱいを舐め始めます。

 最初は、少し遠慮がちに舌先でちょんちょんと突っつく程度で
したが…
 「ほら、もっと大きくゆっくり舐めるんじゃ」

 おばば様がレクチャーしますからだんだんに慣れてきて、舌を
いっぱいに出して縦横無尽にべろべろと舐め尽くします。

 「(あっっ、……いや、……いや、……いや、やめてよ)」

 当然、お姉様は渋い顔。くすぐったくてくすぐったくて仕方が
ない様子でした。
 窮屈に身体をねじってみますがどうにもなりません。

 そのうち耐え切れず青筋がたちます。
 「(いい加減やめなさいよ。あんまり調子に乗るとあとが怖い
からね)」
 お姉様の声が聞こえてきそうでした。

 でも、今はまだお仕置き中の身、あきら君を突き飛ばすことも
罵声を浴びせることももちろんシャツを下げることもできません。
のけぞっていく自分の身体が後ろに倒れてしまわないように我慢
するだけで精一杯でした。

 「よし、もうええじゃろう」

 最後はおばば様があきら君を後ろから抱きかかえて終了となり
ましたが、お姉様の方は肩で息をしながら目には涙があふれてい
ます。それは端で見ている限り残酷なお仕置きのようにも見えま
す。何しろ人前でおっぱいを見せてくすぐったいことさせられて
るのですから。でもお姉様の心の内は必ずしも純粋な苦痛という
だけではありませんでした。その本心をおばば様はえぐります。

 「どうじゃ、気持よかったじゃろう。こいつはママのと違って
まだ小さいからな唇で摘むことはできんがな。お姉ちゃんもな、
気持ちよかったと思ってるぞ」

 「ホント?」
 「本当じゃ、お前のママだってお前におっぱいを吸ってもらう
と気持がいいんじゃ」
 「ホント?……じゃあ、真里ちゃんも」
 真里ちゃんはあきら君と同じ歳のお友だちです。
 「真里ちゃんはまだわからないな。でもこのお姉ちゃんくらい
になるとわかるんだ」
 「ふうん、もっとやりたい」
 あきら君が言うと他の女の子まで…
 「私もやりたい」
 と言い始めます。
 「また、今度な。お姉ちゃんはこれからお灸のお仕置きを受け
なければならんのでな」
 おばば様は一旦は断りましたが…
 「そんなのずるいよ。あきら君だけ」
 ベッドにあがれなかった女の子から不満が漏れます。
 「そうよそうよ、私もやりたい」
 「私も……」
 「私も……」
 とうとう他の子も全員で大合唱。

 「わかった、わかった。それじゃあやってみい」
 たまりかねたおばば様は、結局そこにいた六人全員を一人ずつ
ベッドにあげてお姉様が気持ちいいことをさせてあげたのでした。

 すると、チビちゃんたちはさらに頭に乗ります。
 「ねえ、お姉様って、これからお仕置きなの」
 「そうじゃ。このお姉ちゃんたちは悪さばっかりしておるんで
な、これからお仕置きされるんじゃ」
 「ふうん、見てていい」
 「いいぞ、だけどベッドに上がってはいかんよ。危ないからな」

 とうとうお姉様はチビちゃんたちの前で本当に公開処刑される
ことになりました。観客はチビちゃんだけですが、恥ずかしい事
が苦手な女の子たちにはこれがけっこう堪えます。たしかにこれ
までだってお友だちのお義父様お義母様、担任の先生やシスター、
そしておばば様などたくさんの大人たちの前で恥ずかしいところ
を見られてきましたが、これらの人たちは、普段から自分たちに
優しく接してくれた大人世界の人たちです。物心ついた頃から、
何かにつけて抱いてもらってきた身としては、今回たまさか怒ら
れ裸にされたとしても、もともと大人にお仕置きされるのは子供
なんだから仕方のないと思える人たちだったのです。

 ですからこれらの人たちの前では裸になっても、実はそれほど
大きなショックはありませんでした。これまでで気になる観客と
いえばこのお仕置きに参加しないクラスメート三人だけだったの
です。

 それが気になる観客がこんなにいっぺんに増えたもんですから
お姉様は心穏やかではいられませんでした。

 「ほれ、いつシャツを下げていいと言った。おっぱいに着いた
蜜をぬぐってからじゃ」

 おばば様にこう言って叱られても、気持ちは早くシャツを下ろ
したくて仕方がありませんでした。

 そんな由美子お姉様の気持ちを知ってか知らずか、おばば様は
念入りに濡れたタオルでお姉様の蜜の付いたおっぱいを拭います。

 でも、それは傍目に見ても、ぬぐうというより、タオル越しに
おっぱいを揉んでいるようでした。

 「どうじゃ、……ん?……気持がいいか?」
 おばば様の問いにお姉様は答えません。顔は『そんなことあり
ません』というような怒った顔だったんですが、しばらくして、
その顔が一瞬だけ崩れます。
 どうやらそちらが本心のようでした。

 「よし、それでは始めようかな。由美子ちゃん、もうおっぱい
を隠してもいいぞ」

 おばば様はこう言うと周囲にいた人たちにてきぱきと指示をだ
します。
 「アキちゃん。上やって……」
 おばば様は助手のアキさんにお姉様の上半身を任せます。それ
まで正座していたお姉様が仰向けに寝てその枕代わりに正座した
助手のアキさんの膝に頭を乗せます。

 腰やお尻のあたりには座布団が3枚丸めて敷かれ、その辺りが
少し高くなるように作られます。

 「ほれほれ、誰か手の空いてる者はおらんかい」

 こう言って見回すおばば様の目に乙女の祈りをしている美代子
ちゃんと彰子ちゃんが止まります。二人は私語を注意されてから
ずっとこの姿勢のままでした。思えばこれだって立派なお仕置き
ですから二人は喜んで由美子お姉様のベッドに上がります。

 「よし、美代子ちゃんは由美子ちゃんの右手、彰子ちゃんは、
左手を押さえておくんじゃ。思いもよらず強い力で暴れ回ること
があるからな、しっかり押さえておくんじゃ。もし、お前らのせ
いでお灸がうまくいかなかったら、お前らにも同じようにお灸を
すえるからな」

 おばば様に脅されて二人の浮かれ気分の顔色が変わります。

 お灸のお仕置きがどんなに辛いか、亀山で知らない子はいませ
んでした。ですから、たとえ脅かしと分かっていてもお灸という
言葉を聞いただけで緊張します。

 もちろん実際にやられる由美子お姉様の緊張はもっと凄いこと
になっていました。

 「(ああ、神様、どうかお漏らしだけはしませんように………
お漏らししなかったらあとはどんな罰でも受けますから)」

 自分の足首を森下先生とママが押さえ込むのを見た瞬間そんな
ことを神様と約束したみたいです。

 それにしても凄いでしょう。わずか13歳の小娘にお灸をすえ
るだけで5人もの人がその体を押さえ込むんですから。こちらの
方が私がやられた事よりもよほど集団リンチの様相です。

 でもそれには理由がありました。
 もちろん、ただ単にお灸をすえるだけなら修道院にも拘束具は
いくらでもあります。でもそんな無機質なものでは女の子に大人
の愛は伝わりません。お仕置きというのは刑罰ではなく愛の一部
ですから『罪を犯した君を今でも愛してるよ』というメッセージ
が必ず必要なんです。その為には、とにかく親しい人をたくさん
そばに置いておくのが一番効果的でした。本人が恥ずかしがろう
が、嫌がろうが、拒否しようが、そんなことは関係ありません。
女の子はどんな逆境よりも孤独でいることの方が辛いのですから。

***************************

〘 第 8 回 〙 お灸のお仕置き②

          亀山物語
                     合沢啓治(著)
〘 第 8 回 〙 お灸のお仕置き②
***************************

<主な登場人物>


私(合沢啓治)/亀山愛育院の孤児。由美子の弟。

小島先生   /私の家庭教師であり、実質的には僕のママ。

大石胤子   /亀山村の村長さん。(三代目)女王様。

榊原 美里  /同級生の恋人。片想い。

森下景子先生 /由美子お姉様の家庭教師(ママ)であり、
       /かつ、学校では担任の先生でもある。

合沢由美子  /私をリンチにかけたお姉様の一人。私の姉。

小川静子   /泣き虫。リンチ四人組の一人。

桐山香織   /おっちょこちょいで早とちり。四人組の一人。
       途中でお灸をすえられそうになる。

安西遥香   /優等生だが、今回の事件に関与。四人組の一人。
途中でお漏らしをしてオムツ替えをさせられる。

美代子と彰子 /今回私のリンチには加わらなかったお姉様。

 お義父様  /亀山の子供たちは誰もがお義父様の子供として
(合沢徹)   /その家で家庭教師(ママ)と一緒に暮らしている。

 お義母様  /お義父様の奥さん。元々はお義父様のお付き合い
(合沢早苗)  /で亀山に来たのだが、今は子供たちにも優しい。

桐山高志 /幼稚園児(5歳)。由美子のお友達、香織の弟。 

 大原先生/高志君のママ。

 おばば様/亀山のお灸担当係。子供たちの実母を知る老婆。

****************************
****<8>*********************

 「いや、恥ずかしい」

 お姉様はブルマーをずり下ろされる時に思わず叫んでしまいま
した。本当はお灸を受ける時は一言もしゃべってはいけなかった
のです。身体をよじっても、泣いても、叫んでも、いけませんで
した。ただ静かに灼熱の儀式が終わるのを待っていなければなら
ないのです。ところが…

 「大丈夫よ。すぐ終わるから」
 「心を静かにして、何にも考えないの」
 普段は厳しいことばかり言ってる森下先生やママがこの時ばか
りは励ましてくれます。

 そんななか、お臍の下、よく三角デルタなんて呼ばれるあたり
に6個の艾が手際よく置かれます。置いたのはもちろんおばば様。
かつてお姉様の本当のお母様にすえたのと寸分狂わないように、
慎重に置いていきます。その時の艾の種類や大きさ、すえ方など
もおばば様はすべて記憶していました。

 この亀山に子供を預けようとする場合、お金などはいりません
が、おばば様から体の13カ所にお灸をすえてもらうのが条件で
した。もし、娘や息子が18歳になって、実の母親に会いたいと
言った時、それが本物の親子かどうかを判別するためにそうする
のだそうです。(今ならDNA鑑定でこと足りるでしょうが当時
はそんなものありませんから……)

 それと、この時、母親の体には娘以上の大きな灸痕が残ります
から、それを覚悟の証としたのでした。

 「犬猫じゃあるまし、おのが不始末を他人の世話で何とかしよ
うというんじゃ、このくらいの覚悟は当たり前じゃろうが」

 おばば様が子供を預けに来た母親を叱っているのを私は偶然耳
にしたことがあります。私の母親も同じことを言われたんだと思
いました。悲しい親子の宿命というか性です。
 でも、そのお灸があったればこそ、親子は再びまみえることも
できるわけで亀山とお灸は昔から切っても切れない関係にあった
のでした。

 当然、子供たちもおばば様によって母親と同じ艾で同じ場所に
お灸をすえられます。悲しい身の上ですが幸いここにいるみんな
は同じ境遇の孤児。しかもみんな同じ灸痕を持っています。です
からそういう意味で仲間意識が芽生えていました。

 ……というか、友達同士お互い仲が良過ぎてしまって、エッチ
なことをやってもやられても、まったく抵抗感というか罪悪感が
ないんです。

 中一の子(お姉様)が11歳の男の子(私)を浣腸して自分の
おっぱいを吸わせてみたなんて言ったら、きっと巷でなら、もの
凄い事件なんでしょうね。でも、ここではそんな事、おままごと
が、ちょっぴりすべった(やりすぎた)くらいにしか感じていま
せんでした。

 ただ、大人たちが騒ぐので『そんなものなのか』と思うくらい
なんです。私自身も、深刻な被害者だなんて思ってはいませんで
した。

 とはいえ、現実は厳しくて……

 「…(あっ、痛い、痛い、ひ~~やめてえ~~~)…(あっ、
ひぃ~~やめてえ~~~)……(あっ、いやあ~~~、ひ~~~
やめてえ~~~)……(あっ、ああああ、ひ~~だめえ~~~)
……(あっ、ああああ~~~~)……(あっ、ああああ~~~)」

 お姉様は必死に顔をゆがめて頑張ります。まるで火事場の金時
みたいに顔は真っ赤々です。もし、誰も押さえていなければお臍
の下の艾を払いのけてこの庭から一目散に逃げ出していたかも。

 でも、それを見ていた私はというと、満面の笑みです。
 もちろん、たまには感情移入することだってありますが、基本
的に私は、自分に関わらないことには残酷な生き物でした。
 お姉様のこんな大変な場面も楽しい見世物の一つだったのです。

 お姉様のお仕置きはお臍の下のお灸が六ヶ所。そんなに大きい
ものはなくて、小豆ほどですが、おばば様が、一つ一つお線香で
火をつけては、それが消えるまで待ってから次の艾へと移ります
から終わるまでに時間がかかります。

 「どうじゃ由美子ちゃんこたえたか?今日はたっぷり反省する
時間があったじゃろう」
 とはおばば様ですが、でも、こんなに時間をかけたのにはもう
一つ理由がありました。

 実は、艾に火がついてお姉様がひぃーひぃー言っている最中、
アキさんは体操服の中に両手を入れてお姉様のおっぱいの先を、
おばば様もお臍の下の窪みに手を入れて何やらこちょこちょ。

 私はまだ幼くてその意味がわかりませんでしたが、お姉様はご
自分のことですからいかにお灸の最中でも二人の指を感じていた
と思います。

 でも、このお二人、お姉様に対して程度の低い悪戯をしたわけ
ではありませんでした。

 お臍の下のお灸が終わると、これを見ていたお義父様がおばば
様に耳打ちします。
 「どうですか?由美子は…」

 その問いに振り返ったおばば様が…
 「大丈夫じゃ。まだそんなところまでいっとらんよ。この子が
感じとるのは『熱さ』と『恥ずかしさ』だけじゃ。心の方はまだ
まだ純粋な天使じゃわい」
 と答えると…

 「そうですか」
 お義父様は安堵の様子。しかし、おばば様はこうも付け加える
のでした。

 「今はそうじゃが、歳も歳じゃからな、いつ大人になるかは、
誰にもわからんよ。半年後かもしれんし、三月後かもしれん。…
…あるいは、これが契機になってというのもありじゃ」

 「それは承知しています。この子ももう13歳ですし……」
 「お楽しみじゃな。可愛がってやるがよい。多少嫌がる素振り
をみせるかもしれんが、そんな時は尻の三つ四つも叩いてやれば
おとなしくなる。おんなごの本心は素振りとは別の処にあるもん
じゃから気にせんことじゃ。この子はあんたを本気で嫌がったり
はせんよ」
 「いやあ、それを聞いて安心しました」
 「心配することはないわさ。先生方を信じとけばよい。由美子
はあんたの天使になるように始めから育ててある。今でもあんた
を慕っとるよ。……………さあ、次をやるよ」

 おばば様は、あらためて号令をかけると、次のステージを準備
します。

 次はお姉様のお尻でした。

 由美子お姉様はアキさんに背中を向け、それまで枕にしていた
アキさんの膝に今度は跨ってベッドに俯せになります。両足は、
アキさんの腰を挟みつけるようにして後ろへ投げ出されおりお尻
だけがアキさんのお膝に乗った形です。

 こんな形でももちろんおばば様はお灸をすえることができます
が、この場合一番やりやすいのはやはりアキさんですから、今度、
由美子お姉様のお尻にお灸をすえるのはアキさんでした。

 アキさんは、当時30半ばくらいだったでしょうか、縦も横も
大きなスポーツマンタイプ。小柄なおばば様とは好対照です。
 もしこのアキさんに捕まったらたいていの子は逃げられません。
由美子お姉様も決して小さい方ではありませんが、こうして押さ
えつけられると、まるで大人と子供。観念するしかありませんで
した。

 やがて、いったん穿きなおしたブルマーとショーツがいっぺん
に脱がされ、ふたたびお姉様の大きなお尻が顔を出します。

 「いや」

 ブルマーがずり下ろされる時またぽろりとお姉様の独り言が出
ます。女の子なんだから仕方がないとも思えるのですが……でも、
おばば様はそんなささやき声まで聞き逃しませんでした。

 「何が『いや』じゃ。みなさんお忙しいさなかお前たちの為に
こうしてお仕置きに来ていただいておるんじゃぞ。ありがたく、
思わねばならんのに、お前は口に締まりがないのう……さっきも、
『いや、恥ずかしい』とかなんとか言っとったろうが」

 「ごめんなさい」

 「ごめんなさい?それだけか?」

 「もう言いませんから許してください。お願いします」

 「何だか誠意の伝わらん『ごめんなさい』じゃのう」
 お姉様は涙声で訴えます。けれどおばば様の答えはNoでした。

 「二度あることは三度あると言うてのう。克己心のない子は、
また繰り返す。…アキ、その子には水戸様を追加してやるんじゃ。
少しは効果があるじゃろう」

 おばば様は決して残忍な性格の人ではありませんが、昔気質の
人ですから、ある程度年齢が上の子たちが泣いたり悲鳴あげたり
するのは好きではありませんでした。

 ちなみに水戸様は水戸黄門ということで、肛門へのお灸を意味
します。

 さて、身体はひっくり返りましたがやり方はお臍の下を焼いた
時と同じです。クラスメート二人がそれぞれ左右の手首を押さえ
森下先生とママが足首の担当です。ただ前と違うのはその様子を
自分で見ることができないことでした。

 『今、火がついた』『もうすぐ熱い』って分かればその瞬間に
テンションを高めることができますが、今回の熱さは、いきなり
やって来ます。しかも、お臍の下より大きな艾が乗ってますから
そのぶん熱さもひとしおです。
 そのため、たいていの女の子が、その瞬間にほんのちょびっと
ですけど、お漏らしするようでした。

 「(いやあ~~~だめえ~~~~取って!取って!おねがい~
~~もうしませんからいやあ~~死ぬう~~許して死んじゃう~
~もうしません~~もうしませんから~~~許して許して~~)」

 お姉様がこう思ったかどうか定かではありませんけど、みんな
同じようなことを念じながら必死に耐えるしかありませんでした。

 「(ちくしょう、おばばの奴こんなことさせやがって、今に見
てろ)」
 なんてね、そんなことを思いながらこの苦行を受けられる子は
ここにはいません。というのもそんな恨み言を思っている余裕が
その時間はないのです。そのくらい熱いお灸でした。

 お姉様は僅かに動く腰と太股を必死に震わせて耐えていました。

 「よし、次は尾てい骨じゃ」

 おばば様の指示通り尾てい骨に乗った艾にお線香の火が移され
ると、それはもうお尻のお山の比ではありません。ここは背骨に
近いですからね、その熱さが背中を這い上がって脳天にまで達し
ます。

 「(ぎゃあ~~~だめえ~~~~取って!取って!おねがい~
~~もうしませんから~~死ぬ、死ぬ、死ぬ、死んじゃう~~
許して死んじゃう~~もうしません~もうしませんから~~~)」

 文章力がないので文字ではこの時の修羅場をうまく表現できま
せんけど、お姉様は大げさじゃなく失神寸前でした。
 それが証拠に……

 「おまえ、また、漏らしたんか。おまえという奴は、いつまで
たっても下の方が子供じゃのう」

 おばば様の愚痴がお姉様の顔を赤く染めます。この時のお姉様
はちりぢりに乱れた髪やびっしょりの汗、涙も鼻水も分からなく
なった顔でぼんやりとベッドにへたり込んでいました。

 まるでふぬけの人形のようになったお姉様ですが、アキさんに
立つように両脇を抱え込まれると、それには抵抗します。きっと、
ブルマーを下ろした状態では周囲の人たちに自分のお臍の下が見
えてしまう。そう思ったに違いありません。でも、そんなこと、
この亀山では許されません。

 「ほれ、何をいちいち隠しとるんじゃ。これしきのお灸で粗相
するネンネのお前が生意気に前なんぞ隠すんじゃないわい」

 おばば様はそう言って叱ると前を隠していた両手を外しその場
に立たせます。そして平手で二発お尻を叩くと…
 「ピシッ」「ピシッ」という甲高い音がお姉様の悲鳴のように
してそこら中に響きます。

 おかげで、否が応にもお姉様にみんなの視線が集まりますが、
亀山ではこんなことは当たり前のこと。何しろ14歳になって、
少女試験に受かるまでは、どの子もみんな、赤ちゃんという身分
なんですから、その間は、大人たちからどんなポーズを求められ
ても決して恥ずかしがってはいけないというのが亀山の掟でした。

 赤ちゃんは、恥ずかしがること自体が罪でありお仕置きの対象
だったのです。

 「ほれ、アキはお前の粗相を片づけたんだぞ、ぼ~っとしとら
んでお礼を言わんかい」

 おばば様に指摘されてお姉様は慌ててベッドに頭をこすりつけ
ます。
 「アキお姉様、ありがとうございました」

 しかも、由美子お姉様の場合、試練はこれで終わりではありま
せんでした。さきほど、おばば様が水戸様を追加するようにアキ
さんに命じていましたからお姉様はさらにもう一カ所大事な箇所
へのお灸を我慢しなければならなかったのです。

 「いらっしゃい」
 アキさんは正座してお姉様をご自分の膝に招き入れようとしま
すが…

 「どうしたの?いやなの?怖いのね。でも大丈夫よ、そんなに
熱くしないから……」

 アキさんはそう言いますが、お姉様はさすがに容易に近づけず
にいました。
 いえ、私も経験者だからわかるんですが、あれって恥ずかしい
んですよね。
 そうこうしているうちに、おばば様からはまた雷です。

 「ほれほれ、何をしとるんじゃ。お仕置きはお前さんだけじゃ
ないんだぞ。他の子もああして待っとるんじゃ。早うせんか」

 確かにそうです。お姉様はもちろん大変でしょうけど、ほかの
三人だって正座したまま体操服の前をはだけさせて膨らみ始めた
おっぱいをずっと見せ続けなければならないのです。
 恥ずかしいし、手は疲れてくるし、お姉様の悲鳴を聞くたびに
小さな胸はプレッシャーを受けます。

 「なんなら、お尻バンザイにしてすえてもいいんじゃぞ。その
方がいいのか?」

 「…………」
 お姉様から返事が返ってきません。お尻バンザイは、やっぱり
女の子にとっては強烈な脅しのようです。

 お姉様は仕方なく教えられた作法通りに…
 「お仕置き、お願いします」
 正座して三つ指をつきます。それからアキさんに背を向ける形
でその膝に跨ると前のめりになってベッドに顔を着けます。

 前と同じ姿勢ですが、ただアキさんの膝には座布団が二つ折り
になって敷かれていました。ですからベッドに頭をつけたお姉様
のお尻は今度はアキさんの胸のあたりです。

 このあたりがちょうど作業しやすいとみえてアキさんは無造作
にお姉様のブルマーを引き下ろすと現れた谷間を二つに引き裂き
ます。そして現れた健康的なピンク色の菊座をアルコールで消毒、
菊座そのものではなくその周辺に小さな小さな艾を自分のつばで
張りつけてはお線香で火をつけていきます。

 「(ひぃ~~~~~~いやあ~~~~~~だめえ~~~~~)」

 全部で五カ所。小さいとは言ってもお灸ですからそりゃあ熱い
わけですが、お姉様は今度は誰の拘束も受けず自分の意志だけで
耐え続けたのでした。

 「お仕置き、ありがとうございました」
 お姉様は再びアキさんの前で正座してご挨拶します。世間じゃ
子供がお仕置きした大人に向かって「ありがとうございました」
なんて、ありえませんでしょうね。でも、ここではこれが正しい
お仕置きの作法でした。

 『お仕置きは親や目上の人からの愛、それはじっくり噛みしめ
て受けなければならない。もちろん愛を受けたんだから感謝する』
 これは古くからの亀山の理屈だったのです。

****************************

〘 第 9 回 〙 お灸のお仕置き③

          亀山物語
                     合沢啓治(著)
〘 第9回 〙 お灸のお仕置き③
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<主な登場人物>


私(合沢啓治)/亀山愛育院の孤児。由美子の弟。

小島先生   /私の家庭教師であり、実質的には僕のママ。

大石胤子   /亀山村の村長さん。(三代目)女王様。

榊原 美里  /同級生の恋人。片想い。

森下景子先生 /由美子お姉様の家庭教師(ママ)であり、
       /かつ、学校では担任の先生でもある。

合沢由美子  /私をリンチにかけたお姉様の一人。私の姉。

小川静子   /泣き虫。リンチ四人組の一人。

桐山香織   /おっちょこちょいで早とちり。四人組の一人。
       途中でお灸をすえられそうになる。

安西遥香   /優等生だが、今回の事件に関与。四人組の一人。
途中でお漏らしをしてオムツ替えをさせられる。

美代子と彰子 /今回私のリンチには加わらなかったお姉様。

 お義父様  /亀山の子供たちは誰もがお義父様の子供として
(合沢徹)   /その家で家庭教師(ママ)と一緒に暮らしている。

 お義母様  /お義父様の奥さん。元々はお義父様のお付き合い
(合沢早苗)  /で亀山に来たのだが、今は子供たちにも優しい。

桐山高志 /幼稚園児(5歳)。由美子のお友達、香織の弟。 

 大原先生/高志君のママ。

 おばば様/亀山のお灸担当係。子供たちの実母を知る老婆。

****************************
****<9>*********************

 「さあ、もういいわよ。でも最後にもう一つあるれど、それは
わかってるでしょう」

 「……は、い」
 お姉様の『はい』はちょっと重苦しい『はい』でした。

 でも、これでしばらくはほっとできます。アキさんが一足早く
隣のベッドへ移ったおばば様を追ってベッドを離れると、由美子
お姉様は崩れ落ちるようにその柵にもたれかかります。

 「大変だったね」
 それを拾ったのはお義父様でした。お義父様はベビーベッドの
上であぐらをかくと、お姉様を抱き上げようとしましたがお姉様
はその手を振り払うと慌てて乙女のポーズをとって……

 「あっ……はい、ごめんなさい。…今回はお仕置きありがとう
ございました」
 たどたどしく棒読みのご挨拶をします。いかにも気持が入って
いないのはみえみえですが…

 「はい、ありがとう。それより、お尻は大丈夫かな」

 「大丈夫です」

 「そう、それなら、ここへおいで」
 お義父様は再びご自分のあぐらの中へ由美子お姉様を招き入れ
ます。

 お義父様はお姉様とおでこを合わせ、髪をなで、背中をさすり
ます。両手と両足を柔らかく揉み、頬ずりをしてから……

 「ああ、この感触。私の天使は健在だ」

 恍惚としておっしゃいます。
 そこにはそこはかとなく男の性の匂いがありましたが、勿論、
お姉様はそれに抵抗なんかしません。お義父様のなされるままに
身を任せます。

 私たち子どもとお義父様との関係は、ママほどべったりとくっ
ついてはいないものなんです。
 『偉い人、色んな希望を叶えてくれる頼れる人、身近な神様』
 そういう存在として愛し愛されていました。

 大きな権威をバックにしたお付き合いで、ちょっぴり緊張感も
ありますが、嫌いとか、怖いといったことはありませんでした。
誰だって赤ちゃんの時からずっと抱いてもらっていますからね、
今さら不快ということにはならないのです。

 ですから、お義父様に体操服を脱がされ、学校の制服に着替え
させられた時も、お姉様はまるでお人形のようにおとなしくして
いました。

 「ようし、これでいい」
 お義父様は着替えが済むと再びあぐらをかいた膝の上でお姉様
を抱き上げます。
 
 「ばあ」

 お義父様は大きな体を抱き上げていますが、やっていることは
赤ん坊と同じ。愛おしくて愛おしくて仕方がない、そんな感じで
した。

 これに対して由美子お姉様の方は、どこか恥ずかしそうです。
でもいつもはこんなではありません。お義父様を見つければ必ず
抱きついて抱き上げてくれるまで離しません。まるで本物の親子
のように仲がいいんです。

 もちろん、原因はこの日の出来事でした。痛くて、苦しくい、
恥ずかしいことが沢山ありましたから、お姉様の中にお義父様へ
の営業活動をするだけの心の余裕が戻っていなかったのです。

 由美子お姉様はお義父様の胸の中というかお腹の中に収まって
眠たそうにしています。どうやら今はここが一番居心地がいい、
そんな感じでした。

 二人はしばらく黙ってただ抱き合っていましたが、そのうち、
お姉様の方からぽつりとこんな言葉が飛び出します。

 「私の本当のママって生きてるのかなあ」
 答は期待していない、そんな感じでお姉様は一段と深くお義父
様の胸の奥へ頭を埋めてしまいます。
 こんなことをお義父様の前で言ったのは初めてです。

 しばらくして、お義父様から答えが……

 「わからない。それは私にもわからない。ここでは赤ん坊の時
に預けた子は18歳になるまで会えない規則になっているからね。
……お前も知ってるだろう?」

 「うん」

 「どうした?会いたくなったのか?お仕置きされて…」

 「そんなんじゃないけど……」

 お姉様は否定しましたが、やっぱりお義父様の言うとおりだと
思います。お仕置きされたからことさらってわけじゃないけど、
何かあるたびに孤児たちは『やっぱり本当の母親じゃないから。
本当の母親だったら、こんなことしないだろうなあ』と思ってし
まうのです。

 孤児にとって実の母親というのは、一緒に暮らしてみない限り
永遠の憧れなんです。だから実母のことを想う時、それは綺麗で
優しくて何でも言うことを聞いてくれる理想的なママとしてしか
夢に出できません。当然、亀山で暮らす人たちとは比べるべくも
ない絶対的存在でした。

 この時のお姉様も、自分が理想化した母親の夢をみていたはず
です。

 そんなお姉様にお義父様がこんなことを言います。
 「今度、女の子を泣かずに確認したらみんなでゴルフに行こう
か。今は新緑の季節だから横浜のゴルフ場も気持がいいぞ」

 それは唐突な提案でした。ですからそばにいた大人たちが一様
に『おや?』という顔になりました。

 確かにゴルフは子供たちもみんな芸事の一つとして手ほどきを
受けています。ただ、普段は亀山に隣接する打ちっ放しの練習場
かショートコースでお遊びする程度。本格的なコースへ出ること
は滅多にありませんでした。

 だいいち、家族だけで山の外へ外出するとなると女王様の許可
が必要になります。なぜ、今、そんな手間のかかることまでして
ゴルフなのか、大人たちには理解できなかったのでした。

 『女の子を泣かずに確認したらご褒美にゴルフ場に連れて行っ
てくれるってこと?……私、お友だちとゲームでもやっていた方
がいいなあ』

 お姉様はこう思ったに違いありません。ゴルフなんてお父様の
お付き合いでやるものでしたから。でも、そんな事が言える立場
にないことも重々承知している年齢ですから……答は…

 「はい」

 お父義様の提案にお姉様は静かに承諾します。
 ただ、その時はこのお話を深く考えてはいませんでした。
 今はしばしの休息を楽しみたかったのです。
 ただ、お義父様だけがお姉様の答えにとても満足げな御様子だ
ったのです。

 時は流れ、他の三人にもお灸をすえたおばば様が戻ってきます。

 「さてと、それでは女の子たち、これから最後のお誓いをして
もらおうかな」

 おばばの声にそれまで落ち着いていた由美子お姉様の顔が再び
真っ青へと変化します。

 「由美子、まずはおまえからじゃ。他の子もやったことは同じ
じゃが、お前の場合は、同じ釜の飯を食っとる弟を手込めにした
んじゃからな、罪は、一番重いはずじゃ」

 おばば様がこう言って迫った時、お姉様はすでに、お義父様に
よってそのショーツが下ろされていました。
 続けて、スカートを捲られ、お義父様の股ぐらを枕に仰向けの
姿勢でお尻バンザイの姿勢になります。

 お義父様にバンザイした両足首を高々と持ち上げられて、女の
子の大事な処はすべて初夏の日差しの中で日光浴です。

 でも、これってどんな気持なんでしょうか。男の僕にはわかり
ませんが、大事なところをアルコールを湿した脱脂綿でぬぐわれ
るとその場にいられないほどぞくぞくっとするところは同じよう
でした。

 「ひぃ~~~~」

 その瞬間はお姉様だってやっぱり身体をよじります。
仕方がないことなんですが、おばば様はそれを許してはくれま
せんでした。

 「お前、名前は?」
 おばばが指先で艾を丸めながら尋ねます。

 「えっ!?(名前って何よ?)……合沢由美子です」
 おばば様が自分の名前を知らないはずがありませんから不思議
に思っていると……

 「合沢由美子。知らんな、そんな子は……ここにいる天使さん
たちの中にはそんな名前の子はおらんはずじゃ」

 おばば様は小さな小さな塊を四つこしらえると、さも、今気づ
いたと言わんばかりに…

 「そうじゃ、そう言えば先日、合沢の御前様からうちにできの
悪い子がいるが、何とか天使にできぬかと相談を受け取った事が
あったが、……お前のことじゃったか。……ところで、お前は、
男の子か?」

 「えっ!いえ、女の子です」

 「女の子?そうじゃなかろう。その子はおままごとと称して、
年下の男の子を裸にしてお浣腸までかけたというからな。御前様
(お義父様)に『この亀山にそんなぶっそうな女はおりませんよ』
って話したところじゃ」

 「…(何度、同じことを言えば気がすむのよ)………」
 由美子お姉様が何と答えていいかわからず押し黙っていると…

 「ほれ、お前、この辺りにおちんちんを隠し持ってるじゃろう。
確かめてみんとあかんな」

 おばば様は不敵な笑顔を浮かべてお姉様の大陰唇に艾を乗せて
いきます。

 「(あっ!)」

 その恐怖感にお姉様は思わず体をよじって逃げようとします
が、気がつけばすでに大人たちから腰やお腹を押さえ込まれてい
ますから、どの道その時点で、体は5センチはおろか1センチも
動きませんでした。

 それに、こんな処で逃げ出せば後でどんなお仕置きになるか、
それを思うと、本気になって体を動かす事など最初からもできま
せんでした。

 「さてと……」
 艾を女の子の微妙な場所に並べ終わったおばば様は、大股開き
のお姉様の目の前、それこそ黒い瞳から5センチと離れていない
距離まで火のついたお線香を近づけます。

 「よいか、本当のことを言うんじゃぞ」

 「………………」
 おばば様の詰問にお姉様は怯えながら頷きます。

 「……お前は、どこの子だ?」

 「か、亀山の子です」

 「そうかな?この辺に山に住む狸狢(たぬき・むじな)の子で
はないのか?」

 「ちっ違います」

 「お前、ずいぶん乱暴そうだが、男の子か?」

 「いえ、女の子です」

 「そうか、お前は亀山の子で女の子なんだな。………そうか、
それで安心したわい。だったら、このくらいのお仕置きは平気な
はずじゃな」
 おばば様はそう言って艾に火をつけます。

 お臍の下にある唇への折檻。そんな狭い処へお灸をすえるのは
お浣腸の時以上に大変な作業でした。ですから、お姉様の身体は
お浣腸の時以上に窮屈に九の字にまげられ、何人もの人によって
押さえつけられています。
 もう、一ミリも身体は動きません。
 ですから、熱いなどと言う前に、その姿勢を維持するだけでも
相当に苦しかったのです。

 「(あっ熱い!)」
 火が回った瞬間は、身体全体が黒こげになったんじゃないかと
思うほどのショックだったそうです。

 しかも、一度火が収っても……
 「何じゃ、狸、狢はまだ正体を現わすさんのう。ではもう一度
じゃ」
 おばば様はこんな意地悪を言って再び艾を大きな唇に二つずつ
唾で張りつけていきます。

 「(いやあ~~~)」
 次は最初のより熱かったみたいでした。

 「おう、狸狢が熱がっとる。ならばもう少しじゃな」
 こう言ってさらに3回目を用意しようとしますから、さすがに
お姉様も本気になって逃げようとしたらしいのですが……本気で
逃げようとすると周囲の大人たちも本気で押さえ込みます。

 結局…
 「(あああああああああ)」
 
 「ようし、ようし、今、狐と狸が山へ逃げ帰って行ったわ」
 おばば様のこの言葉でやっと許されたお姉様でしたが、精神的
には黒こげになったみたいでした。

 お姉様は、このあと大人たちの呪縛を解かれてしばらくはその
場に横たわっていましたが、しばらくしてから、また、おばば様
が尋ねます。

 「どうじゃ、ちっとは思い出したか?……ん?お前が女の子で、
この亀山の子だという事を……」

 「は、は、はい、おばばさま」
 震える唇はお姉様の偽りのない本心だったと思います。

 「どうじゃ、これで、確かに自分が女の子じゃと感じることが
できたじゃろう」
 「は、はい」
 「忘れちゃいけんよ。お前はお仕置きの厳しい亀山の子。合沢
御前がお前のお義父様だ。良い悪いはない。それが現実じゃ」
 「はい」
 「お義父様の名前は?」
 「合沢徹」
 「そうじゃ、お義母様は?」
 「合沢早苗」
 「家庭教師の先生は?」
 「森下景子先生」
 「お前はそんな人たちに愛されるのは嫌か?」
 「いいえ、嫌じゃありません」
 「嫌じゃなかったらなぜ悪さをする?」
 「…………」
 「悪さをするたびにお仕置きされるのは辛いじゃろう?…ん?
それとも何か、どんなにお仕置きされても平気なのか?」
 「……は、はい……あ、いえ、違います」
 「おや?わしの話を聞いとらんな。本当はここに居たくないん
じゃろう?出るか裏門から……亀山から出してやってもいいぞ。
素っ裸で……」
 「……いいえ」お姉様は激しく首を横に振ります。
 「本当か?本当にここでいいのか?」
 「本当です」
 おばば様は疑い深そうに由美子お姉様を覗き込みました。
でも、この時はすでにその目は笑っています。そして……
 「いいんだぞ、出たければ出ても。公立の孤児院なんてこの世
にいくらでもあるんじゃから……なんだ?その面は?生意気に、
悲しいのか?」
 「…………」
 「だったら、よ~く覚えておくことじゃ。お前は、世界で一番
お仕置きの厳しい亀山の子なんじゃ。だから愛されなきゃ損じゃ」
 「はい」
 「……ほれ、おまえは男の子じゃったな?」
 「いいえ、女の子です」
 「そうじゃ、だから、ここにお灸をすえると熱いじゃろう」
 おばば様はお姉様のお股を叩きます。

 「いやあ、やめてえ~~」
 「なんじゃ、今頃になって気づいたのか。おぬしはな、おなご
じゃから、ここが熱いんじゃ。よう覚えとけ!」
 「は、はい、ごめんなさい」
 「いいか、お前のお義父様はな、他の誰よりもお前を愛してお
られる。ところが、お前がまだそれに気づかぬ。可哀想な事じゃ。
いいか、考えてもみい。どこの馬の骨ともしれんお前にこれだけ
大金をだして育ててくれるお人がどこにおる?世の中のどこにも
おりゃあせんのだぞ」

 おばば様は再びお姉様を仰向けに寝かせると、さっきと同じ様
に大股開きにしてから先ほどと同じ場所にお灸をすえます。
 しかも、今度は誰も自分を押さえつけてくれません。

 「今度は自分の力だけで我慢するんじゃ」
 「…………」
 当然、お姉様の顔は不安でいっぱいですが……
 「大丈夫、そこはそんなに熱うはない。熱いと思うから、特別
な場所だから、そう思うから熱いんじゃ。歯を食いしばって我慢
すればわかることじゃて……」

 そして……
 「…………………………」

 お姉様はこの時初めて、悲鳴を上げず、おばば様のお灸を乗り
切ったのでした。

 「ようし、じゃあ、もう一度言ってみろ。お前はどこの子だ?」
 「亀山の子です」
 「誰の…」
 「合沢お義父様の子です」
 「男か女か」
 「女の子」
 「ここが好きか、ずっと居たいか?」
 「ずっとここに居たいです」
 「ようし、…いいか、忘れかけたら、お股を自分で触って思い
出すんじゃ『ああ、自分は女の子なんだ、亀山の子なんだ、合沢
お義父様の子なんだ』ってな」

 最後はおばば様がお姉様をダッコしていつもの言葉を言います。

 「よいか、由美子ちゃん、ようく聞くんじゃ。……おなごはな、
今ある幸せを幸せと感じられる者だけが幸せになれるんじゃ」
 これがおばば様の口癖だったのです。

 おばば様は僕たち孤児にとっては厳しい人です。怖い人です。
でも、それは籠の鳥である私たちの幸せがここにしかないことを
忘れさせないためでした。

 ま、いくら亀山でもこんなお仕置き経験そうたびたびあるもの
ではありませんが、だからと言って、一度もなくここを卒業する
ことも不可能だったのです。

 女の子たちに話を聞くとお股の中にすえるお灸は実はそれ自体
それほど熱いものではないみたいなんですが、大人たちからがん
じがらめにされて窮屈な姿勢を取り続けなければならないのと、
やはり、女の子の一番大事な処にお灸をすえられたという精神的
なショックが『このお仕置きは二度と受けたくない』と思わせる
みたいでした。

 えっ、お前は男の子だからこんな経験はないだろうって?
(^_^;)

 とんでもない、ありますよ。私のおちんちんの竿の裏と袋の裏、
根元付近には今でもその時の痕がはっきりと残っています。
 私だって亀山の子なんですから経験なしにここは出られません
もの。(^^ゞ

 これがお姉様が被ったお仕置き(公開処刑)の顛末なんですが
これにはちょっとした後日談があるのでそこまで語ってみたいと
思います。

****************************

〘 第10 回 〙 一週間のオムツ

          亀山物語
                     合沢啓治(著)
〘 第10回 〙 一週間のオムツ
***************************

<主な登場人物>


私(合沢啓治)/亀山愛育院の孤児。由美子の弟。

小島先生   /私の家庭教師であり、実質的には僕のママ。

大石胤子   /亀山村の村長さん。(三代目)女王様。

榊原 美里  /同級生の恋人。片想い。

森下景子先生 /由美子お姉様の家庭教師(ママ)であり、
       /かつ、学校では担任の先生でもある。

合沢由美子  /私をリンチにかけたお姉様の一人。私の姉。

小川静子   /泣き虫。リンチ四人組の一人。

桐山香織   /おっちょこちょいで早とちり。四人組の一人。
       途中でお灸をすえられそうになる。

安西遥香   /優等生だが、今回の事件に関与。四人組の一人。
途中でお漏らしをしてオムツ替えをさせられる。

美代子と彰子 /今回私のリンチには加わらなかったお姉様。

 お義父様  /亀山の子供たちは誰もがお義父様の子供として
(合沢徹)   /その家で家庭教師(ママ)と一緒に暮らしている。

 お義母様  /お義父様の奥さん。元々はお義父様のお付き合い
(合沢早苗)  /で亀山に来たのだが、今は子供たちにも優しい。

桐山高志 /幼稚園児(5歳)。由美子のお友達、香織の弟。 

 大原先生/高志君のママ。

 おばば様/亀山のお灸担当係。子供たちの実母を知る老婆。

****************************
****<10>********************

 由美子お姉様はこのあと一週間ほどお義父様の邸宅で寝泊まり
する事になりました。
 お姉様に対する公のお仕置きは済みましたが、お義父様として
は何か物足りなく感じておられたのでしょう。とりわけ姉と弟が
仲良くしているところを見てみたい、そんな欲求から、お姉様に
ここへ泊まり込むようお命じになったようでした。

 当然、私も一緒。とんだとばっちりでした。

 ちなみに私たち里子はいわば居候(?)の身ですから、普段は
お義父様の邸宅ではなく、同じ敷地内にあるママ(家庭教師)と
一緒の建物で暮らしています。

 私のママは小島と言い、お姉様のママは森下という姓でした。
つまり二人は同じ敷地内であっても別々の建物で暮らしています。
腹違いならぬ、先生違いの姉弟なんです。ただ、合沢のお義父様
にしてみれば、そこに区別はありません。

 今回の事件も、お姉様が単によその子を虐めたというだけなく、
手下を使って弟をリンチにかけたのがお気に障ったみたいでした。

 「えっ!一週間もお義父様の処で寝るの!」
 私はママに対して不満を口にしましたが、もちろん請け合って
もらえるはずもありませんでした。

 お義父様の処へ行ってお泊まりするのは何もこれが初めてでは
ありません。家の子には月に一回や二回お泊まり当番みたいなの
があってその晩はお義父様の布団に一緒に寝ます。だからそれは
いいのですが一週間は長すぎると思ったのでした。

 というのも、私は大の甘えん坊でマザコン。寝る時も常にママ
と一緒に寝たかったのです。
 ただ、お義父様の処へ行ってのお泊まりは何も悪いことばかり
ではありませんでした。

 お義父様の処へお泊まりした子は朝夕の食事もお義父様たちと
同じテーブルに着く事ができます。そこには普段私たちが座る席
には並ばない豪華な料理が並んでいましたから、子どもたちには
楽しみの一つでした。

 私はお義父様のお膝の上から好きなものを指さして取ってもら
います。それはちょっとした優越感で、特にデザートはお義父様
におねだりして何でもかんでもちょっとずつ運んでもらっては、
結局全部食べていました。

 飽食の時代となった今日では食事で子どもを釣るなんてピンと
こない話かもしれませんが、当時は日本もまだまだ貧しい時代。
子供にとって美味しい食べ物は魅力的だったのです。

 それともう一つ大きいのがテレビです。テレビはすでにママと
一緒に住んでる長屋(コテージ)にもありましたが、これは有線で、
マンガさえも事前に検閲されて届きます。つまりビデオ。

 亀山には、当時まだ高価だったビデオ装置が司祭様の執務室に
設置してあって、刺激的な場面や子供にとって好ましくない内容
は司祭様がみんなカットしてしまうのです。

 「今週はなぜ鉄人28号が映らないの?」
 「司祭様が見てはいけないって判断なさったからよ」
 「来週は?」
 「さあ、はっきりとは言えないけどたぶん大丈夫でしょ」
 こんなママとの会話がしょっちゅうでした。そのたびに悔しい
思いをします。

 それがお義父様の居間では生の放送を見ることができるんです。
これは子供たちにとっては友だちに自慢できるまたとない情報で
した。とりわけ番組がカットされた週にそこに居合わせたりした
ら、翌日はヒーロー間違いなしだったのです。

 ことほどさように亀山の情報管理は徹底しています。もちろん
性に関する本や雑誌などは子供の目の届くところには一冊も置い
てありませんでした。

 こうして情報管理を徹底しているからこそ、天使の心を持った
子供たちが親や教師に絶対服従で暮らすことができるのでした。

 そんな絶対服従はもちろんお姉様だって同じことです。その日
お義父様のお屋敷に行ってまず私の目に飛び込んだのは、そんな
絶対服従の場面でした。

 居間に通された私はいきなり由美子お姉様がオムツ一つの姿で
お義父様にごめんなさいをしているところを目撃します。

 お姉様は厚い絨毯の上に正座すると、頭を床にこすりつけてい
ます。

 「私が悪うございました。どうぞお許しください」

 立会人は森下先生。つまり彼女のママです。ママは自分が預か
った子がお義父様たちに嫌われないよう細心の注意を払います。
お姉様に対する公のお仕置きはすでに済んでいましたが、それで
お義父様やお義母様の溜飲が下がったかどうかは分かりません。
ですから、あらためて由美子お姉様にお義父様の前でオムツ一つ
で謝るよう言いつけたのでした。

 「よい、もうよいよ。今日は寒い。風邪をひくから早く何か着
なさい。ただな、お前は今回の首謀者だ。公のお仕置きは四人が
みんな同じになったが、お前には、もう少し何かしてもらわんと
釣り合いがとれんじゃろう」

 「はい、承知しています」

 「そこでだ。お前には今日から一週間、オムツを穿いてもらう。
うんちもおしっこもそこにしてもらう」

 「……」
 この時、お姉様は一言も発しませんでしたが、思わず冷や汗が
こめかみを流れるのと一緒に唾を飲み込むのが分かりました。

 当たり前です。いい歳をして今さらオムツに粗相なんてできる
はずがありませんから。
 そんなお姉様の気持ちをもてあそぶように笑顔のお義父様は、
次にはこうおっしゃるのでした。

 「……もし、オムツにするのが嫌なら私たちの前でしなさい。
ここでやってもいいよ。赤ちゃん時代に戻ってオマルに跨って、
オシッコやうんちをするんだ。それはどちらでもいいよ。ただし、
無理に我慢するようなら躾浣腸をして家じゅうの人に見てもらう
からね、そのつもりでいなさい。いいね」

 「………………」
 お姉様はしばらく口を開きませんでしたが、ママが…
 「ご返事は?」
 と言って促すと、ようやく重い口を開いて、
 「はい、お義父様。承知しました」
 とぼそぼそっと口ごもるように答えます。

 「それとだ、この一週間の間は毎日二時間、啓治の勉強をみて
やってほしい。いいね」
 「はい」
 それは突然のことで私もびっくりです。

 こうして、私とお姉様の一週間がスタートしたのでした。

 私の場合はお義父様の処から学校へ通うというだけで、生活に
特別大きな変化はありませんが、お姉様はオムツ生活ですからね、
やっぱり大変だったようでした。

 朝、女中さんから新しいおむつを穿かせてもらうと、私の手を
引いてお義父様お義母様へのご挨拶。これいつもはママの仕事で、
私の場合、朝はママの胸の中で目を覚ますと、まずは顔を洗い、
パジャマを私服に着替えてママと一緒にお義父様の母屋へご挨拶
に行きます。

 居間にはここで暮らす12人ほどの孤児たちが上は15歳から
下はゼロ歳まで一斉に集まってきますからとても賑やかです。

 「おはようございますお義父様。今日もよい子でいます。元気
な子でいます。お義父様の天使として頑張ります」

 小学生ならこんなご挨拶を例の乙女の祈りポーズで行うと、ご
褒美にお義父様が頭を撫でてくれたり、お膝に抱っこしてくれた
りして、『おめざまし』と呼ばれるお菓子を握らしてくれます。

 これはチョコレートやビスケットがほんの一欠片(ひとかけら)
入っているだけの包みなんですが、これにもちゃんとお礼を言わ
なければなりませんでした。

 「ありがとうございました」

 お義父様へのご挨拶が済むと、おめざましを食卓へ持って行き、
席に着いてから食べます。もちろん一欠片ですからあっという間
になくなりますが、それでも朝から甘い物を口にできますから、
子供としてはルンルン気分です。

 食堂は奥の一段高いところがお義父様やお義母様が食事をされ
る細長いテーブル席で、そこには昨日お泊まりした子どもたちも
一緒に座っています。
 他の子供たちは各先生方、つまりママと一緒に丸いテーブルを
囲むのがしきたりになっていました。

 ですから、この日は母親代わりのお姉様に手を引かれて居間で
お義父様にご挨拶を済ませるともらったおめざましをお義父様の
席で食べていました。

 「だめよ、啓ちゃん、そこはお義父様のお席でしょう」

 お姉様にそう言われて、右手を強く引っ張られましたが、私は
居座ります。実際、お義父様は自分の席に子どもがいたとしても
それを叱るような人ではありません。この日の朝も、こどもたち
からの朝の挨拶を受けたお義父様が食堂へやってくると、私をみ
つけて……

 「おう、啓ちゃん、おめざましは美味しかったか?」

 そう言って、ゴボウか大根でも引き抜くように私を持ち上げる
と、膝の上に抱いてくれたのでした。

 昨日の夜お泊まりしたのは私より年下の子が一人だけ。その子
はお義母様の膝に乗りますから、お義父様のお膝はまだ空いてる
わけで、子供としては利用しない手はありませんでした。

 ただ、こんな風にお義父様やお義母様のお膝をありがたがるの
はごく幼い子か小学生くらいまでの男の子で、女の子は小学校も
高学年くらいになると一人で食事したくなるみたいでした。

 私は女の子ではありませんから、お義父様の膝の上からあれが
欲しいこれが欲しいと言っては手当たり次第に料理を食い散らか
します。おかげで食事が終わる頃には口の周りが料理の油でべっ
とりと汚れていました。

 それをお義父様にナプキンで綺麗にぬぐってもらってから自分
の顔をお義父様の胸でぐりぐりこすりつけます。
 まるで幼児がやるようなことですが、ここではそういった事は
いっこうに構わないことでした。

 規則を守ってさえいれば、甘える分には誰にどれだけ甘えても
よかったのです。自慢にはならないでしょうが私はこの時期まで
家に『マイほ乳瓶』なるものを隠し持っていて気が向けばママに
授乳してもらっていたのです。
 (つまりママも応じてくれていました)

 もちろん授乳自体は親子のお遊びですが、それが許されるほど
亀山の子供たちは大人に甘えていました。

 なのにお姉様ときたらお義父様に媚びを売ることもなく背筋を
伸ばして取り澄ました顔で食事をしているじゃありませんか。
 私の目にはむしろその事の方がよほど不可思議な光景と映った
のでした。

 で、食事が終われば、お姉様は再び私の手を引いて部屋へ戻り
ます。お義父様の処へお泊りする時は南西側に突き出した一部屋
が二人の勉強部屋でした。ここにすでにランドセルを始めとして
主だった学用品がすべて運び込まれています。

 でも、普段、お姉様とは離れて暮らしていますから僕には勝手
の違う事ばかりです。
 まごまごしているとお姉様がランドセルに時間割通りの教科書
やノートなんかを詰めてくれました。これも普段はママがやって
くれていたことなのです。

 当然、私服から制服に着替えるのも彼女の仕事です。
 「ほら、バンザイして…」
 「ほら、ズボンに足を入れて…」
 「ハンカチはこれを持って行きなさい」
 もう何から何までお母さんと同じ仕事を彼女は引き受けていた
のでした。

 その仕事が終わって僕の準備ができてからお姉様は自分の事を
始めます。亀山の男の子は大人たちに甘えるだけで何もできませ
んが、女の子たちは後輩の面倒をみることができるように厳しく
仕付けられていました。

 こうして二人の通学準備が整ったところへお義母様がやってき
ます。
 お義母様は私の通学準備が完璧なのを見て大変満足そうでした。

 「これはあなたがしてあげたの?」

 「はい」

 「良い心がけね。女の子はこうでないといけないわ。それじゃ、
これをお持ちなさいな」
 お義母様は二通のお手紙をお姉様に渡します。そこにはオムツ
少女が困らないよう、色々な配慮を求める文面がしたためられて
いました。

 「一通は担任の先生。もう一通は保健の先生にお渡しなさい。
そして学校に行ったらまず保健室へ行ってオムツを脱がしてもら
いなさい。それは放課後下校する時に、また穿いて帰ってくれば
いいからいいから……」

 「でも…」

 「大丈夫、心配いらないわ。だいいちこの暖かいのにそんな物
で体育なんかやったらお尻じゅうあせもだらけよ。そのあたりは
お二人に手紙を書いたからうまく取りはからってくれるはずよ」

 「はい、ありがとうございます」

 「お礼にはおよばないわ。あなたへの罰はすでに終わってるん
ですもの。今さらオムツを穿くことはないわ」

 「はい、お義母様。感謝します」

 「ただ、おばば様からすえられたお灸の痕は、三四日治療しな
きゃならないので、夜は私たちの前でお尻バンザイをしなければ
ならなくなるわね。それと、お義父様の見える位置で、オマルに
跨っておしっこをしなければならないわ」

 「あっ、はい」
 由美子お姉様にとってお義母様の提案が好ましくないのは確か
です。ですからその顔はちょっぴり曇りますが、すべてはお義父
様とお義母様の間で起こることですから、まずはよしとしなけれ
ばならないと思ったのでしょう。すぐに笑顔を取り戻して、それ
ほど暗い影はありませんでした。

 「だって、『丸一日、娘がおしっこをしませんでした』なんて変
でしょう。分かるわね」
 「はい、お義母様」

 お姉様は笑顔で答えます。13にもなった娘が親の前でオマル
を使うなんて巷の常識では考えられないでしょうけど、普段から
学校でも家庭でもうんちの時は必ず大人に見てもらう習慣になっ
ている亀山ではそれはそんなに変なことではありませんでした。

 このうんちの量が記録されてその後その子にお浣腸のお仕置き
があった時どのくらい浣腸液を入れるかの参考になります。

 ちなみに、お尻を拭く時も自分でトイレットペーパーは使いま
せん。先生やママから「さあ、モ~さんになりますよ」と言われ
ると、四つんばいになってお尻を高く上げ、その姿勢のまま待っ
ていると拭いてくれます。これは「今でもあなたは赤ちゃんなん
ですよ」という戒めで、自分がまだ子供であることを確認させる
ためでした。

 「あなたも何かと大変だけど、もうちょっと頑張ってみなさい。
来週の日曜日はきっと良いことがあるから…」

 「えっ、来週の日曜日ですか」
 お姉様が念を押しましたから、お義母様は慌てて…
 「ばかねえ、その時はお仕置きも終わってるし、何より気持ち
が晴れるでしょう。それだけよ」
 こう言ってごまかしたのです。その時はその日曜日に何がある
のか、私はもちろん、お姉様も全く理解していませんでした。

 お義母様は部屋を出ていこうとしましたが、思い出したように
振り返って…
 「あっ、それから……この一週間は謹慎期間ですからね、もし
粗相があれば、どんな小さなものでもみんなお仕置きの対象よ。
それと昼食が終わったら保健室でメンタムをお股に塗ってもらっ
て百行清書。終わらなければ放課後やればいいわ」

 「はい、お義母様」

 「まあ、あなたはそんな事ないでしょうけど、中にはお仕置き
が終わったうれしさに後の事をすっかり忘れてしまってお仕置き
のやり直しを受けた子もいるの。気をつけてね」

 「はい、お義母様」

 お姉様は殊勝な顔でご返事しましたが、中にはくどい物言いに
じれて…
 『そんなの分かってるから言わなくていいわよ』
 なんてうそぶく子もいます。でも、それは決して本人のために
はなりませんでした。

 いえ、そんなに露骨な返事をしなくても、不愉快な思いが顔に
出てしまっただけでも、そんな子には、あとで別のことを理由に
してキツいお仕置きが待っています。

 女の子の世界では長々とくどくどしいお説教を申し訳なさそう
に聞くのもお仕置きの一つでした。


***************************

Appendix

このブログについて

tutomukurakawa

Author:tutomukurakawa
子供時代の『お仕置き』をめぐる
エッセーや小説、もろもろの雑文
を置いておくために創りました。
他に適当な分野がないので、
「R18」に置いてはいますが、
扇情的な表現は苦手なので、
そのむきで期待される方には
がっかりなブログだと思います。

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