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5/17 女の都 ~9~

5/17 女の都 ~9~

*)この項ではHがありません。

 寄宿舎はその年代ごとに建物が分かれていました。
 生まれたての赤ちゃんから幼稚園までを預かる保育園のほか、
小学校低学年、小学校高学年、中学校、高校……と細分化されて
います。

 なかでも、ケイトがお世話になったのは、そんな組織の中でも
特殊な小学校高学年のグループ。

 院長先生に……
 「こうした修道院内で学ぶ子供たちは、そのほとんどが将来は
聖職者となる身なの。だから一般の学校ではそれほど重要視され
ないバイブルの学習が重要になってくるわ。当然、みんなかなり
の知識量よ。そうした事に一般の子はついてこれないでしょう。
勿論、そんな子に出来ないからって罰を与えたりはしないけど、
ただ、お客さんとして座っているだけというのも辛いでしょう。
その点、この子たちは小学生といっても授業の内容はすでに中学
レベルだし、特殊な事情で預かった子たちだから、バイブルにも
そんなに多くの時間を割いていないの、あなたにとっても、とっ
つき易いと思うのよ」
 こう説得されて、ケイトはここの所属となったのでした。

 正直それでも……
 『どうして、中学生の私が小学生と暮らさなきゃならないのよ』
 という思いはあったのですが、院長先生に押し切られた格好だ
ったのです。

 修道院内の学校は、普段の授業は別々でも食事時だけは大広間
に全ての子たちが集まってきます。

 各グループごとにテーブルが用意され、同年代の子供達がそれ
ぞれに楽しく会話しています。
 なのに、自分だけはこのチビちゃんたちと一緒なんですから、
そこはちょっぴり悔しい気持も……

 小学生のテーブルに座るとケイトだけが背丈も抜きん出ていて
目立ってしまいますから、それも不満の種でした。

 物欲しそうにチラチラとよそのテーブルに目をやるケイトに、
キーウッド先生はすぐに気づきます。

 「ケイトさん、いいわよ。席が空いていれば、どこへ移動して
食事してきても……」

 「えっ!?……いえ、そんなわけじゃ……」
 ケイトは言葉を濁します。本当は同世代の処へ行ってみたいの
ですが、今日が初日のケイト、いっい誰に声をかけていいのやら
わかりませんし、親しいお友だちなんて誰もいませんでした。
 それに……

 「だめだよ、お姉ちゃん。よそ行っちゃあ。あなた、うちの子
でしょう」
 グロリアが引き止めます。

 座った席の右側からはエリザベスも……
 「私のお肉あげるから、お姉ちゃま、どこにも行かないで……」
 なんて哀願される始末……結局、ケイトはどこにも立つことが
できませんでした。

 この二人だけじゃありません。子供たち全員がケイトのお皿に
自分の料理を分けて乗せてくれます。
 ついさっきあんなことがあったのに、子供たちにはわだかまり
というものがありません。気がつけば僅かな時間でケイトは子供
たちのお姉ちゃま、第二の先生になっていたのでした。

 「ほら、グロリア。ケイトお姉様のお膝はあなたのお椅子では
ありませんよ」

 キーウッド先生に叱られてグロリアは渋々ケイトのお膝を下り
ましたが、お昼にたった一度抱いてもらっただけで、『ここは、
私の指定席』と勘違いしているようでした。

 「ケイト、あんまり言うこときかないようだったらお尻の一つ
や二つどやしつけてもかまわないわよ。この子たち頭はともかく
心は赤ちゃんのままだから、優しくしてるとどこまでもつけあが
ってくるの、気をつけてね……」

 キーウッド先生はそう言ってくれましたが、ケイトにしてみる
と、グロリアのお尻もまんざら悪いものではありませんでした。
 もちろん、赤ちゃんみたいに軽くはありませんでしたが……


 夕食が終わればお風呂、これも各グループごとに入浴するのが
しきたりで、三日に一度順番がまわってきます。
 当然キーウッド先生は子供たちに係りきり、ケイトも見かねて
子供たちをお手伝いしますが、その時ふと思ったのです。

 『ひょっとして、私にもこの子たちの子守をさせようとして、
……院長先生はこのグループに私を入れたのかしら?』

 ケイトは思います。あながちそれも間違いではなかったみたい
でしたが、ここまでくればそれも成行き、諦めるしかありません
でした。

 さて、修道院のお風呂というのはとても大きくて立派なもので
した。
 体を洗う場所という窮屈な概念ではなく、くつろぐ場所として
そこにありました、湯船がちょっとしたプールぐらいあります。

 当然、そんな開放的な場所で子供たちがじっとしているわけが
ありません。
 流しを走り回り、湯船で泳ぎ、お湯を吐き出しているライオン
の頭に上ると何度でもそこから湯船へ飛び込みます。
 もうやりたい放題でした。

 日頃口うるさいキーウッド先生もさすがにここではお手上げ。
とにかく一人一人捕まえては、まず身体に傷がないかをチェック、
ボディソープで全身を洗っていくだけで手一杯でした。

 腕白盛り(?)が7人もいますからね、見るからに大変そうです。
 仕方なくケイトもお姉さんとして先生のお手伝い。
 泡だらけの子どもたちにシャワーをかけて石鹸分を洗い流して
あげるのがお仕事でした。

 「ポーラ、走らないの、ほら、また石鹸踏んづけて転ぶわよ」
 「ほら、ナンシー、じっとしていて……オモチャはシャワーの
あとでいいでしょう」
 「グロリア、ライオンの頭から降りなさい。危ないでしょう」

 ケイトは何だかお母さんにでもなった気分で子どもたちを叱り
つけます。
 時折、言うこときかない子のお尻を叩く音が、「ピシャン!」
と高い天井に跳ね返って清らかに響きました。

 その一瞬だけ、子供たちは誰がぶたれたのかを確認するために
立ち止まりますが、一瞬だけです。子どもたちの歓声がこだます
お風呂場で子供たちの運動会が終わることはありませんでした。

 そんな子供たちの扱いにも慣れた頃、ケイトはキーウッド先生
の言葉を思い出しました。

 『両性具有か……たしかに、この子たちのそれって、こうして
間近でみると、割れ目からほんのちょっとだけ顔を出してるわ。
……この子たちって、もともとあそこが大きいんだわ』
 ケイトはナンシーの身体にシャワーをかけながら思います。

 でも、それ以外は紛れもない女の子。あどけない顔に平たい胸、
お臍の下もスベスベです。女の色気より、ミルクの香りが似合い
そうな少女たちでした。

 そこで、試しにお股の中にそっと手を入れてみたのですが……

 「………(確かに、確かに、女の子ね)………」

 彼女たちどこを触っても露骨に嫌がったりしませんし、女の子
にとって最も敏感な場所に触れても平気な顔をしています。

 『なるほどね、この子たち、まだ正真正銘の赤ちゃんなのね。
私なんかとは大違いだわ』

 ケイトは、自分がこの歳の頃には、すでにHな感情が芽生え、
悪い遊びにも手を染めていたことを恥じいります。

 『私は天使ってガラじゃないわね』
 ケイトが心の中で苦笑した、その時でした。

 ケイトの目に、湯船の中で抱き合うグロリアとエリザベスの仲
睦まじい姿が飛び込んできます。

 それは紛れもなく、シスター遊びでした。
 お姉さんのグロリアが妹エリザベスの支配して二人で楽しんで
るように見えます。

 グロリアは抱きかかえたエリザベスの身体を隅々まで撫で回し、
何度も何度も自分の舌を相手の唇の中に押し入れてエリザベスの
呼吸を奪います。

 酸欠になり、意識が朦朧としているエリザベスに、グロリアは
キスの嵐。エリザベス顔と言わず胸と言わず唇のスタンプです。
エリザベスはそのたびに身体を反らせますが決して嫌がっている
様子ではありませんでした。

 そんな様子はキーウッド先生も見ていました。
 けれど、それを咎めようとはしません。あまり気持のよいもの
とは映っていないかもしれませんが、黙殺している。そんな感じ
でした。

 オニオン星はほとんど女性だけの星です。当然、性を謳歌する
場合も相手は女性。レズビアンやその入口であるシスター遊び、
自分独りで夢の世界に浸るオナニーに関しても大人たちの間だけ
なら、それはむしろ他の星の住民より寛容でした。
 何しろ『子供ができる』といった事故の心配がありませんから
その意味でも問題がなかったのです。

 ただ同じ行為も子供たちがやるとなると、それは違ってきます。
まだ人生経験の少ない彼女たちが、こうしたことに溺れることは
好ましくないと考える人たちがほとんどだったのです。

 性衝動が本能的な男性は成長すれば嫌でもその情動と向き合わ
なければなりませんが、女性の場合は自分の身体を学習させない
限り一律には性の衝動が強まっていきません。
 そこで、若い頃からそんなものを開発して勉学に差し支えたら
もったいないと大人たちは考えていたようでした。

 よって、ケイトのように大人の遊びを真似するような子が出て
くると、親たちは心配して、その毒気を抜いてもらおうと修道院
に娘を預けることになります。

 ところが、一般の人たちからは禁欲世界と見える修道院も実は
性欲と無縁ではないのです。抑制的で、表沙汰になる事はあまり
ありませんでしたが、シスター遊びもオナニーもちゃんと行われ
ていました。その補完を担っていたのが厳しい体罰だったのです。

 厳しい体罰が女の子の性衝動を高め、モラルや倫理観が高い分、
背徳の喜びだって倍加します。数少ない逢瀬は至上のリビドーを
彼女たちに約束するのでした。

 一般的にシスターは性の不具者ではありません。むしろ熟達者
でした。キーウッド先生も当然その一人。
 その彼女がグロリアとエリザベスを見ていて不快な顔になって
いたのは、ケイトが考えている事とはまった違った原因だったの
です。

 『まだチビのくせに、妬けるわ。……どうしてあの子たちって
あんなに上手なの?………いったいどこで習うのかしら?………
やっぱり頭のいい子は、こんなことにも知恵が回るのね』

 キーウッド先生の視線の先、湯船の中でもつれ合う幼い二人を
見て、ケイトは先生が二人をお仕置きするんじゃないかと思って
いました。
 ならば、その前に二人を止めてあげようと、そこへ近づいた、
まさにその時でした。

 「えっ!!」
 ケイトは二人に声をかけようとして思わず足を止めます。

 ケイトの視界に入って来たもの。それはそれまで一度も見た事
のないものだったのです。

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5/15 女の都 ~8~

5/15 女の都 ~8~

*)作者独自の世界観なので一般の人の理解は難しいかも…

 キーウッド先生は部屋にいた全ての子をトイレへと追いやると、
ケイトに向ってこう言いました。

 「ごめんなさいね、来た早々驚ろかしてしまって……あの子達
も、べつに悪気はないんだけど、何しろ子供なもんだから、相手
を思いやる気持がまだないのよ」

 「でも、凄いですね、あの子たち。まるで大人がしゃべってる
みたいですもの」

 「それはね、ボキャブラリーが豊富ってだけなの。なまじ頭が
いいだけに覚えた言葉は使いたがるのよ。……あなた、『新人類』
って言葉を知ってるかしら?」

 「ええ……へえ~やっぱりそうなんですか……たしか『ミュー』
って呼ばれてましたっけ、教会では新しいタイプの子を育ててる
って、噂で聞いたことがあります」

 「そう、そう、それよ。あの子たちがそうなの。みんなが姉妹
という社会は麗しいかもしれないけど、それももそろそろ限界に
近づいてるの。この500年、ずっと近親相姦だったんですもの」

 「それって、いけないことなんですか」

 「これまで培った科学の力でなんとか破綻なくやってきたけど、
いつまでもというわけにはいかないわ。そこで国は500年ぶり
に試験管ベビーの研究に着手しているの。それに教会も協力して
……私はその子守をさせられてるってわけ」

 「じゃあ、あの子たちは王様や王子様のお種じゃないんですね」

 「そう、一般の子供達とは違うわ。何人もの遺伝子を切り貼り
操作して創ったクローンよ。……結果、頭がよくて、病気にかか
りにくいというところまでは成功したんだけど……」
 先生はそこまで言って苦笑い。

 「何か、問題がでてきたとか……」

 「そうなの、あの子たち、普段の見た目は女の子なんだけど、
……ある刺激で、突如として男の子にもなるのよ」

 「男の子に?……でも……さっき裸になったの見ましたけど、
あれって、しっかり女の子でしたよね」

 「普段はね……でも、さっき私があの子たちのお尻を叩いて、
お浣腸したでしょう」

 「ええ、お仕置きされてました」

 「ああいう事をすると、あの子たちの隠れていたクリトリスが
びっくりするほど大きく勃起して、小さいながら立派にペニスと
しての機能まで果たすようになるのよ」

 「えっ?だって、私たちには、そもそも陰嚢が……」

 「ところが、そのないはずの物が、あの子たちにはあったの。
今はまだ機能していないけど、第二次成長期が終わらないうちは
機能しないという保証もないわ」

 「それって、両性具有ってことですか?」

 「そういうことね。だから、理論的には、自分のコピーである
赤ちゃんを自分独りで産むことができる体質ってことになるわね」

 「…………それって、実験が成功したってことなんですか」
 ケイトが恐る恐る尋ねてみますと……

 「さあどうかしらね、私はお医者様でも科学者でもないから、
あの人たちが最終的に何を意図しているのかまで分からないけど
……ただ、どんな形にせよ、あの子たちはいったんこの世に生ま
れてきたんですもの。先々どういう結論になっても、教会も私も、
あの子たちを守りぬく覚悟よ」

 「そうなんですか。……でも、そんな大事なこと、私なんかに
打ち明けて、いいんですか?」

 「だって、あなただって院長先生に自ら誓ったでしょう。……
ここではどんな些細なことでも一切の隠し事はしませんって……
それは私もそうなのよ」

 「…………」
 キーウッド先生の笑顔に、ケイトはその背筋が一瞬ゾクゾクと
しました。

 確かに、嘘のない世界というのは美しいかもしれません。でも、
女の子にとって嘘なく暮らせというのは、『裸で暮らせ』と言わ
れてるようなもの。その危うさがケイトを不安にさせたのです。

 そんなケイトの思いを知ってか知らずか先生は続けます。

 「ただね、あの子たち、色んな意味でまだ未完成なの。だから、
今はまだ教会の外では暮らせないわね。ただ、将来的には社会に
出て活躍できるように、しっかりと躾てやるつもりよ」

 「どんな、ところが一般の子と違うんですか?」

 「どんなところねえ……」
 キーウッド先生は少し思わせぶったような笑みを浮かべてこう
答えます。

 「今度、あの子たちがトイレから帰ってきたら、両手を広げて
御覧なさいな、そうすればわかるわ」

 意味不明なキーウッド先生の言葉。
 でも、実際そうしてみると……

 「おねえちゃま~~~」

 あのグロリアが、今度は何のためらいも、わだかまりもなく、
前も隠さずにケイトの膝に飛び乗って幼児のように甘えます。
 これにはさすがにケイトもきょとんとしてしまいました。

 見れば、お隣りではキーウッド先生もナンシーやポーラに抱き
つかれています。いずれの子もこの部屋を出て行った時のまま。
それを恥ずかしいとも感じていない様子でした。

 その状態を、キーウッド先生は……
 「この子たち、こう見えてすでに11や12なのよ。……でも、
これがこの子たちの普段なの。頭に比べて心の発達がものすごく
遅いものだから、まるで幼児みたいでしょう」

 「ええ……」

 「これが、目下一番の悩みの種なの。たしかにこの子たちは、
純粋で、従順で、およそ他人を疑わない天使さんたちよ……でも、
それはここが天国だから美しいで通るけど、このまま街の中では
生きられないわ」

 キーウッド先生は一人ひとりにパンツを穿かせ、スカートの
ピンを外してやりながら話しています。
 そうやって、全員が元の姿に戻ってから、今度はあらためて、
腰掛けている自分の足元を指差し、ケイトをそこに呼ぶのでした。

 「はい、先生」

 ケイトは先生の足元に膝まづき胸の前で両手を組みます。
 それはこの教会のというより、オニオン星の作法でした。

 「さすがに子供たちの提案は受け入れませんけどね……あなた
だってここへ入寮する以上それまでの穢れを祓うためのお仕置き
は必要よ。……それは、大丈夫かしら?」

 「えっ、……あっ、はい」
 正直、色んな事があったのでケイトもその事はすっかり忘れて
いましたが、今さらシスターに『嫌です』も言えませんでした。

 「そう、それでは、そこのお仕置き台にうつ伏せになって頂戴」

 キーウッド先生が提案したのは、ケイトの学校にも置いてある
懲罰台でした。
 うつ伏せに寝て、手足を縛られ、お尻の辺りを捲られて、鞭で
お尻をぶたれます。オニオン星の女の子なら誰だって一度は経験
する作法でした。

 踏んづけられたヒキガエルみたいな格好は無様ですが、たいて
いお仕置きを行う先生と二人きりですから、それほど深刻なこと
にはなりません。

 ただ、今回は……
 「ケイトさん。こういう事は私一人がやってもいいんですけど、
せっかく子供たちがお仕事をしたがってるので今回は子たちにも
やってもらいます。……いいですね」

 「は…はい」
 そんなこと、ヒキガエルになってから言われてもどうにもなり
ません。
 ケイトは『はい』と言うほかありませんでした。

 「それじゃあ、最初はグロリア、あなたからにしましょう。…
…ほらほら、よ~く狙って…思い切り引っ張るの。……だめだめ
もっと目一杯引っ張らないと、これは効果がないわ。……可哀想?
…今頃何言ってるの、大丈夫よ、このくらいのことでお姉ちゃま
が壊れたりはしないわ」

 キーウッド先生はケイトのお尻の方で何やら子供たちに指示を
出していますが、ヒキガエルとなってしまうと後ろを確認しよう
にもそれができません。

 『狙うって、どういうこと?』
 こうしたお仕置きは、たいてい幅広の革ベルトやハドルで行い
ますから、狙うという意味がわかりませんでした。

 でも、そのうち、剥き出しになったお尻に何かが当たります。

 「イタッ!」

 ケイトは思わずお尻をブルブルっとさせます。
 もちろん、痛いという気持はありましたが、大人の人たちから
受ける鞭とはおよそ違う種類の衝撃でした。

 『何だろう?』
 考える間もなく次が来ます。

 「イタッ!」

 両方のお山に一つずつ。
 そして、選手交代。

 「イタッ!」
 飛び上がるほどではないにしても、それはそれで結構堪えます。

 「えっ?」
 次は失敗したみたいで、お尻にゴムの感触が一瞬残りました。

 『ひょっとしてこれって……』
 ケイトは思います。
 そして、その想像がどうやら当たりのようでした。

 「イタッ!」 「イタッ!」
 「イタッ!」 「イタッ!」
 「イタッ!」 「イタッ!」
 「イタッ!」 「イタッ!」
 「イタッ!」 「イタッ!」

 全部で14回、ケイトのお尻にそれは炸裂します。

 決して鼻歌交じりでも耐えられるというわけじゃありませんが、
それは、ケイトにとってもむしろ懐かしいと感じる痛みだったの
です。

 ゴムのパチンコによるお仕置き。

 昔、おままごとで、お母さんや先生役の子が「お仕置きします」
と宣言すればたいていこれでした。
 椅子やソファに腹ばいになって寝て、友達がパンツを脱がせる
とHな気分も手伝ってブルブルっとしたものです。やがて、その
強いゴムの力を利用してお尻をパチン。
 あまり強くやると喧嘩になりますからその加減も大事でした。

 ただし、これで終わりではありませんでした。

 「どうだった?子供たちのお仕置きは……」

 「痛かったです」

 「嘘おっしゃい、余裕綽綽だったんじゃないの。でも、今度は
そうはいかないわよ。しっかり、お口を閉じて舌なんか噛まない
ようにしてちょうだいね」

 見ればキーウッド先生は木製のパドルを手にしています。

 「何回ですか?」
 怖くなったケイトが尋ねますが……

 「回数は言えないわ。このパドルの思いがあなたに伝わるまで
よ」

 先生はそう言うと、おもむろにケイトのスカートをあらためて
跳ね上げ、ピンで留めて、お尻を叩き始めます。
 当然、その後ろではさっきお手伝いした子供たちがお姉さんの
お尻を見ていました。

 「ピタッ」……「あっ」

 一撃目から違います。
 それまでのアイドリングが効果的だったのか、思わず最初から、
『痛い』と声が出そうでした。

 「ピタッ」……「ひいっ」

 二つ目とは思えない痛さです。
 先生の言葉に嘘はありません。これでは舌を噛みそうです。

 「ピタッ」……「ひい~~っ」
 三つ目ですでに顔がゆがみます。
 こんなこと初めてでした。
 
 「ピタッ」……「(いやあ~~)」
 四つ目からはたまらずだんまり戦術です。
 自らテーブルに顔を強く押し付け、テーブルの足をしっかりと
両手で握りしめ、全身に力を込めて先生のパドルを耐えぬきます。
 こんな痛いお仕置き久しぶりでした。

 12回。
 回数は少なくても、それはそれは堪えるお仕置きだったのです。

 「さあ、もういいわ」

 先生はお仕置きの終わりを告げてくれましたが、ケイトはすぐ
には立ち上がれませんでした。
 ゆっくりと、腰を伸ばすように立ちあがると……

 「あら、あら、痛かった?でも、これくらいはしないと記憶に
残らないから意味ないわ。大丈夫、寝る時までには治るから……」
 先生は起き上がったケイトを優しく抱き寄せます。

 そして……
 「あなたもこれで正式にここの寮生。頑張ってね。……それから、
あなたはここではお姉さんなんだから、時にはこの子たちのお仕
置き、手伝ってね」
 先生は小声で囁くのでした。

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5/13 女の都 ~7~

5/13 女の都 ~7~

*)作者独自の世界観なので一般の人の理解は難しいかも…

 「ほら、子供たち、静かになさい。お仕事ですよ」

 「……(お仕事?)……」
 見渡せば、どの子も小学生とおぼしき幼子ばかり。彼女たちが
とても仕事を任されているとは思えませんでしたが……

 シスターの声に、バタバタっと子供たちが配置につきます。
 そうなるまでに1分とかかりませんでした。

 マリア様が祭られた祭壇を背に一段高い処に1人が座り、右に
3人、左にも3人の子供たちが着席。
 ケイトの席はそうやって囲まれた真ん中の席ということのよう
でした。

 『何なの?これ?……だいいちこの椅子、学校にあるのと同じ
じゃないの。これじゃあまるで、私が裁判にかけられてるみたい
じゃないの』
 ケイトの不安は周りを辺りを見渡すうちに的中してしまいます。

 「では、これより、ケイト・カーソンさんの入寮にあたって、
事前の審問を行います」
 ケイトの正面、一段高いところに座る髪の長い少女が宣言した
ことで、ケイトの不安は現実のものとなったのでした。

 「検察官、ケイト・カーソンさんが入寮するにあたり不都合な
点がありますか?」

 裁判官の指示に応えて、髪を短く刈り上げたオカッパ頭の子が
立ち上がりました。

 「ケイト・カーソンさんには幼い頃からオナニーの悪癖があり
ます。教会からいただいた資料によれば、学校の授業でも1時限
で30回以上もハレンチな妄想にふけっているとか。このような
子が、神の花園であるこの場所で私たちと一緒に暮らすのはふさ
わしくないと思うのです。ですからケイトさんには他で暮らして
いただいて私たちは彼女を寄宿舎に招くべきではないと考えます」

 落ち着いた物腰のその子はとても難しい言葉を使っていますが、
容姿は見るからに小学生です。

 「わかりました。では、弁護人はどう考えますか?」

 今度立ち上がったのは、ケイトから見ると右側の椅子に座って
いた女の子の一人です。耳のあたりまで伸びた髪の先をくるりと
カールさせた髪型、可愛い顔ですが、あえて眼鏡をかけてそれは
隠していました。

 「独り遊びは確かに私達のマリア教では認められていません。
でも、そのような者は排除せよとは、私達のバイブルのどこにも
書いてないはずです。むしろ、その81章には、子供はどんな子
とも等しく仲良くしなければならないと書いてあります。ですか
ら、むしろ私はケイトさんをここで受け入れるべきだと思います
がいかがでしょうか」
 凛として涼やかな声が会場に響きました。

 『どういうことなの?ついさっき、私がこの部屋に入って来た
瞬間、ちらっと見えたけど、たしか、この子は机の上に乗って、
はしゃいでたわ。まるっきり子供だったはずなのに、それが今は、
まるで大人がしゃべってみたい』
 ケイトは子供たちがみせるギャップに驚かされのでした。

 「わかりました。ではキーウッド先生はいかがお考えでしょう
か?」

 審問官役の子がシスターに尋ねます。
 ここではシスターが舎監や学校の先生などといった仕事を兼務
しています。キーウッド女史も教会内ではシスターでありながら、
子供たちのあいだでは先生という立場だったのです。

 「そうですね、たしかにケイトさんは完璧ではないかもしれま
せん。でも、そもそもこの世の中に完璧な人というのはいないと
思いますよ。だからこそ私たちにはマリア様のご慈愛が必要なん
です。それはこの花園に住まう人にとっても同じ。偉そうに言う
あなたちだって、間違いをしでかすたびに私たちからのお仕置き
を受けることで罪を償って今があるのではないですか。ですから、
彼女の場合も外での穢れを祓ったうえで、ここに住まわせてあげ
ればいいんじゃないかと考えますがいかがでしょう」

 「わかりました先生。私はそれでよいと思いますれどナンシー
さんたちはいかがですか?」
 審問役の子が検察官役の子に尋ねますと……

 「結構です。異存ありません」
 「私も先生の意見が正しいと思います」
 「私も同じです」
 そこに座っていた3人の子供たち全員が、異口同音に賛成しま
した。
 
 「ポーラさんは……」
 今度は弁護人役の子に尋ねますが、こちらも……
 「私も先生の意見に従います」
 「私もそれがいいと思います」
 「私も……」
 そこにいた3人にも異を唱える子はいません。

 最後に……
 「ケイトさんもそれでよろしいですね」

 「あっ……はい」

 急にこちらへ振られて慌てたケイトは、ほとんど考えもせずに
手拍子に返事を返しますが、それが特段悪い事だとも感じていま
せんでした。

 ケイトは思います。
 『始めはこの子たちの大人びた物言いに驚いたけど、要するに
これって私を迎える儀式だったのね。全ては最初から決められた
方向で結論が用意された小学校の学級会みたいなものなんだわ』

 ケイトはほっと胸をなでおろします。
 でも、ケイトにとっての問題はむしろこれからだったのです。

 「では、これからケイト・カーソンさんを私達の寄宿舎に迎え
いれるにあたって、どの程度のお仕置きが必要かを議論していき
たいと思います。グロリアさんはどの程度が妥当と考えますか?」

 審問官は検察側の席の真ん中に座るソバカス顔で赤毛の少女を
指名します。

 『どうやら、話す順番も最初から決まってるみたいね』
 ケイトはまだこの時余裕がありました。
 だって、相手は自分よりいくつも年下の子たちですから……
 『どんなに偉そうに振舞っていても所詮は小学生、私は中学生
なのよ』
 という思いがあったのは確かでした。

 ところが、グロリアの口をついて出た言葉は、その愛らしい顔
からは似ても似つかない辛辣な言葉だったのです。

 「まず、今までの穢れを洗い流すためにも、まずは高圧浣腸が
いいと思います」

 「高圧浣腸って……それは、寮生全員の前でやるの?」
 キー・ウッド先生が思わず口を挟むと……

 「当然そうです。裏庭の野外トイレに全員を集めて行います。
お仕置きは恥ずかしくないと効果がありませんから……それに、
こうしたことは他の子達にもよい見せしめになると思うんです」

 「そりゃあそうでしょうけど……」
 キー・ウッド先生は独り言のようにつぶやきますが、グロリア
はさらに続けます。

 「裏庭の後は、中庭の懲罰台で寮生全員から1回ずつの鞭打ち
を受けて反省してもらいます。あとは大広間に移って蝋燭神事。
蝋燭の熱い蝋を全身に10本も浴びたら、きっとオナニーをやり
たいなんて気持はなくなると思いますから。最後は、メントール
入りの傷薬をお股に塗って終わりです」

 『………………』
 ケイトは聞いてて目がくらみそうでした。

 このあどけない顔のどこにそんな恐ろしいことを思いつく能力
があるのか、そしてそれをどうしてこんなにも楽しげに話す事が
できるのか。その可愛らしい笑顔と厳しすぎるお仕置きの内容。
そのギャップに、ケイトにはむしろ現実感がありませんでした。

 「エレーナ何か、ありますか?」
 審問官は、続いて弁護側の席の真ん中に座る清楚で上品そうに
みえる少女に声をかけます。

 ケイトは、その子が弁護人席にいますから当然自分を弁護して
くれると思ったのですが……

 「私もグロリアに賛成です。それでいいと思います。オナニー
はしつこくてなかなか治りませんから……厳しいお仕置きが効果
があると思います」

 「エリザベスは……」

 「私もそれくらい厳しい方がいいかなと思います」

 『まさか、あなたたち本気なの!』
 ケイトは目が点になりました。

 すると、キーウッド先生が……
 「ちょっと、いいかしら……」

 「何でしょう?」

 「あなたたち、さっきから随分勇ましいことを言ってるけど、
そんなお仕置きを、あなたたちは一度でも受けたことがあるのか
しら?」

 「えっ!?」
 子供たちはお互い顔を見合わせます。

 「たしかに、私はあなたたちにこれまで色んなお仕置きをして
きたわよ。…お浣腸もしたし、お尻を叩いたことも蝋燭を使った
こともあった。メントール入りの傷薬も、あれはとっても沁みる
お薬だから、あれだってお仕置きと言えなくはないわね。でも、
それを全部一緒にしたことはないはずよ。誰か全部一緒にされた
人いるかしら?」

 「………………」
 子供たちは全員首を振りました。

 「自分がされたことのないお仕置きをして、もしケイトさんに
何かあったら、あなたたち責任とれるの?」

 キー・ウッド先生の言葉に多くの子が尻込みする中、グロリア
だけが反論します。
 「でも、ケイトさんは私達より年長だから、少しぐらい厳しく
ても、耐えられるんじゃないでしょうか?」

 「それは違うわ、グロリア。あなたの勘違いよ。ケイトさんは
あなた達より年少なの。お姉さんじゃなくて妹なのよ。たしかに
巷での年齢はあなた達より上かもしれないけど、この修道院での
経験はまだ何もない子だもの。0歳なんじゃなくて……」

 「えっ……それは……」
 グロリアは黙ってしまいます。

 「ここで暮らしたことのない子に、ここでの長く暮らしていた
あなたたちが今まで一度もやられたことのないようなお仕置きを
与えるなんて、無茶じゃないかしら……それって、『虐め』って
いうんじゃなの?……ねえ、グロリア、そうは思わない?」

 「はい、先生」
 先生の言葉にグロリアも折れます。もともとみんな小学生です
から、先生の言葉に逆らってまで何かをやらかそうだなんて気持
は最初からありませんでした。

 「これから、あなたたちは中学生になり、高校生になります。
それに伴って、寄宿舎での自治も広く認められるようになります
から、自治会役員をしていると、お友だちをお仕置きしなければ
ならないケースも今以上に増えるでしょうけど、それはあくまで
そのお友だちの為にやるお役目なのであって、いくら権限がある
といっても、個人的な腹いせや虐めを楽しむ手段に使ってはなら
ないの。……そこは、わかってるでしょう」

 「………………」
 全員が先生の言葉に首をうな垂れていました。

 「あなたたちは、本来とても聡明な子供たちだから、粗暴な事
はしないけど、こうした事が何より心配なの。今、ケイトさんを
尋問した時、あなたたちにそんな邪悪な気持がなかったと言える
かしら?」

 「ごめんなさい」
 「ごめんなさい」
 数人から声があがりました。
 もし大人ならそこはごまかしてしまうところかもしれませんが、
子供たちは素直に自分の罪を認めてしまいます。たとえ、それが
お仕置きにつながっていたとしてもそこは純粋だったのです。

 「わかりました。では、一人1ダース。お尻を叩きますから、
ここへいらっしゃい」
 キー・ウッド先生は椅子に腰掛けた自分の膝を叩きます。
 最初、子供たちみんな尻込みしていましたが……

 「グロリア!」
 先生の声に、まずグロリアがその膝にうつ伏せなると、あとの
子もそこへ一列に並びます。

 「パン……パン……パン……パン……パン……パン……」
 「ああ……いやあ……ごめんなさい、もうしません。痛い~」
 最初の6回はスカートを跳ね上げてショーツの上から……

 「パン……パン……パン……パン……パン……パン……」
 「だめえ、恥ずかしいから……ああ、いやあ~~ごめんなさい」
 最後の6回はそのショーツも取り去って……

 そして、お尻叩きが終わると先生はこんな事を言うのでした。
 「グロリア、あなたがケイトさんに求めたことは心配しなくて
いいわ。どこからそんな情報を仕入れたのか知らないけど、ああ
したことは中学生や高校生になって自治会役員になったら先輩の
子があなたに必ずやってくれることになってるのよ」

 「えっ?」
 グロリアは窮屈に顔を上げます。

 「さっきも言ったでしょう、自分がされた事のないお仕置きは
してはいけないって。つまりね、お仕置きの権限を持つ子はその
お仕置きをまず自分で体験してからでないとその罰をお友だちに
与えることができないのよ。あなたも、これからちょっぴりそれ
を体験してみる?」

 「えっ!!!!」
 視界に先端のキャップを取り去ったイチジク浣腸が……

 いきなりの出来事。グロリアは何もできませんでした。

 「……!!!……」
 キー・ウッド先生は剥き出しになったグロリアのお尻へそれを
差し込みます。

 キー・ウッド先生は十分に我慢させてから、おトイレを許しま
すが、哀願に満ちた目をしたグロリアの願いを無視します。

 「行きなさい!」
 先生の命令はそれだけです。

 すでにショーツを剥ぎ取られていたグロリアは、短いスカート
の裾もまだピンで留められたままになっています。つまり下半身
が丸裸なわけですが……

 「さあ、次の人、ここにいらっしゃい」
 キーウッド先生は、グロリアの哀願のある眼差しを無視して、
次の子のためにご自分の膝を叩きます。

 グロリアとしてはこれを何とか下ろして欲しかったのですが、
先生は何事もなかったかのように次の子のお尻を叩き始めます。

 「グロリア、あなた、もうおトイレに行っていいのよ」
 冷たい視線、冷たい言葉がグロリアの胸に突き刺さります。

 『先生、やっぱり、私を怒ってるんだ』
 グロリアはあらためて思いました。

 でも、グロリアにはもう時間がありませんでした。ですから、
たとえ下半身丸裸のままでも、おトイレへ駆け込まなければなり
ません。

 前を押さえたグロリアが小走りになって部屋を出て行きます。
廊下からはぺたぺたという足音がまるで泣いてるように聞こえて
きましたが……。

 同じ罰を受けていても、誰が一番悪いかをはっきりさせる。
 これもまた、キーウッド先生のお仕置きだったのです。

***************************

5/11 女の都 ~6~

5/11 女の都 ~6~

*)派手なシーンはありませんが、一応Hな小説です。

 その瞬間、マーシは驚き、ケイトは固まりました。リサは訳が
分からず二人の顔を見ています。

 でも、お母さんは淡々としていて怒っても笑ってもいません。
 それはこの計画が冗談や脅しではなく本気だという事の証でも
あります。

 「ケイト、あなたにはパルム修道院の院長先生からじきじきに
お手紙を頂いてるの。向こう様ではあなたをブドウ園の収穫期に
見習い修道女として受け入れてくださるそうよ」

 パルム修道院の院長先生とお母さんは古くからのお友達。その
お友だちに、お母さんはケイトのことを頼んだのでした。

 「もちろん、昼間、ブドウの収穫をお手伝いしなきゃいけない
けど、あなたも貞操帯を着けて学校に通うより、その方がよほど
落ち着いてお勉強ができるんじゃなくて……向こうでは貞操帯も
外してよいそうだから」

 お母さんの言ってることは分かります。修道院で暮らせば学校
の中で友だちの陰口に怯えないですみます。窮屈な貞操帯からも
開放されます。ですから、そこだけみればよいことのように見え
ますが……

 でも、ご存知のように修道院という処は保養所じゃありません。
 家族が移住するわけでもありません。ケイトだけが独りで出か
けて行って暮らすのです。

 それがどんなものか、ケイトやマーシには理解できます。

 いくら見習いでも修道女の生活は朝早く起きて、夜寝るまで、
分単位のスケジュールがびっしり。食事時間を除けば自由になる
時間なんて10分とありませんでした。

 『お母さん、ごめんなさい、今度から良い子になりますから、
どんなお仕置きも受けますから、私を修道院なんかやらないで。
私、ここでお母さんと暮らしたいんです』

 ケイトは14歳、最近は体つきも女の子らしくなってきました
し、時々生意気な理屈を主張したりもしますが、心の中は、まだ
まだ子供。親元を離れて自分だけが修道院に追いやられるなんて、
怖くて怖くて仕方がありませんでした。ですから、恥も外聞なく
この言葉をお母さんにぶつけてみようと心の中で準備していたの
です。

 お鞭に、お浣腸に、熱い蝋涙……これまでお母さんから色んな
お仕置きを受けてきました。
 でも、ケイトはこれまで自分がこの家で受けてきたどんなお仕
置きよりも修道院に行かされる方が辛いと感じていたのです。

 ただ、とうとうその言葉が口をついて出ることはありませんで
した。
 特に理屈はありません。強いてあげるなら中学生のプライドが
邪魔をしたのです。小学生のようにお母さんの膝に取りすがり、
泣き叫んでごめんなさいを言う勇気がありませんでした。

 「では、早い方がいいわね。先方には明日からお願いしますと
申し上げることにするわ」

 お母さんのこの一言でケイトの修道院行きは決着したのでした。

**************************

 オニオン星には、古くから慈愛に満ちた女神様(マリア様)を
あがめる宗教があって、住民の大半はこのマリア教の信者でした。

 ですから教会は権威の象徴ですし修道女たちは尊敬の対象です。
修道院に入ってブドウ園のお手伝いをする事だって、それ自体は
とても名誉なことなのですが、ただこれには一つだけ大きな問題
がありました。

 内心の問題です。

 世俗社会では、どんなに相手を憎んでいてもこちらから手さえ
出さなければ誰からも非難されません。
 でも、修道院の中は聖地ですから、それが許されませんでした。

 相手を憎むこと、蔑(さげす)むこと、辱(はずかし)めること、
その全てが許されませんでした。
 どんな笑顔で隠しても修練を積んだシスターには通用しません。

 戒律を破った者は罰を受けます。

 自分の内心を赤裸々に晒されること、それを理由に折檻を受け
ることは大人たちには大変な苦痛です。
 ケイトはそんな中に飛び込まなければならなかったのでした。

**************************

 白いワンピース姿のケイトが差し回された車で修道院に着いた
のはお昼少し前。
 ちょうど昼食時だったせいもあって挨拶もそこそこに院長先生
の脇でお昼を頂きます。

 簡単な自己紹介はその食堂で済ませましたが、正式なご挨拶は
そこから場所を移して院長室でした。
 そして、その院長室では先生から見習い修道女の心得のような
ものを窺います。

 「ここはマリア様も降りてこられる地上の楽園です。ですから、
そこに働く者もマリア様のご意思を受け継ぐ者でなければなりま
せん。それは見習いと言えどあなたも同じなのですよ」

 「マリア様のご意思?」

 「マリア様がまだこの地上に御住まいの頃、我々に求められた
戒めです」

 「戒め?」
 ケイトは戒めという強い言葉にドキッとします。

 「一つは、身も心も生まれた時と同じように綺麗なままでいる
こと。巷でもそれはいけないことでしょうが、どんな小さな嘘や
ごまかしもここでは通用しません。こんな小さなことと思っても
それは即、お仕置きとなって跳ね返ってきますから気をつけてね」

 「はい」

 「あなたのお母様があなたの下草を綺麗に処理されてからここ
へ出されたのもそのためなの。ここいる18歳未満の子はすべて
私がマリア様から預かった幼児たち。あなたもそのように思って
私に従わなければならないのよ。さっきの食事で私が噛んだ肉を
あなたの口に入れたら、あなたたいそう驚いていましたが、あれ
だって私とあなたが親子となる大事な儀式の一つなのです」

 「いつも……あれ、やるんですか?」

 「いえいえ、最初だけですよ。最初の一日だけ。ただし、今日
明日は、あなたはここでどんな身分の子より下の扱いになります。
それはよろしいですか?」

 「はい」
 ケイトはあまり深く考えず自分は新参者なのだから当然の事と
してそう返事しました。
 すると……

 「よろしい、心に曇りのないご返事ね。私にとっては何よりの
プレゼントよ」
 院長先生は皺を深くして満足そうにでした。


 ケイトは若いシスターに修道院で暮らす部屋へ案内されます。
 そこは長い廊下の先にあって、時折その廊下に面した部屋から
甲高い子供の声が聞こえます。

 「ここには小さい子供たちもいるんですね?」
 何気なく尋ねたつもりでしたが、その若いシスターはドキンと
するようなことを返してきます。

 「あなたと同じよ、この子たちもオナニーの矯正でここに来て
るの」

 「…………そうなんですか。みんな大変なんですね」

 「そうでもないわ、この子たちはまだ性欲といってもささやか
なものだから、別の事で気を紛らわせることが出来れば悪い癖は
起こりにくいの」

 「私は、これから何をすればいいんですか?」

 「何をって?」

 「一日の日課というか……」

 「ああ、そういうことね。朝は4時に起床。聖書の一節を綺麗
に清書する作業を一時間くらいしてから、5時から食事の仕度か、
お庭の掃除をして、6時が朝食、7時からミサ。8時からは学校
が始まるわ」

 「学校って、あるんですか?」

 「何言ってるの、あなただってまだ義務教育の最中じゃない。
ここには色んな事情で親元を離れた子を7歳から預かってるのよ。
小学校中学校とも敷地内にあるわ」

 「じゃあ、私も……」

 「そうよ、短い期間だけど、あなたもそこで勉強するの。今は
ブドウの収穫時期だから午後はたいていそれにかり出されるはず
よ」

 「私、農作業なんてしたことないんですけど……」
 ケイトが不安そうに言うと……
 「大丈夫、まじめにやってさえいれば、成果は問われないわ。
午後5時になると、農園から戻って食事の仕度やらお風呂の仕度。
6時に夕食、7時がミサ、それから消灯時間の9時まではお勉強
時間かお仕置き時間ね」

 「お仕置き時間?」

 「そう、一日通して問題のありそうな子が教務のシスターか、
場合によっては院長先生の部屋に呼ばれてお仕置きを受けるの」

 「………………」

 「あら、どうしたの?怖いの?……大丈夫よ、誰もが呼ばれる
わけじゃないもの。それにマリア教のお仕置きにはそんなに過激
なものはないのよ。きっと、あなたの家庭で行われていた程度の
ものだわ」

 「……(それでも)……」
 ケイトは思います。
 そして、それに追い討ちをかけるように……

 「ああ、お仕置きで思い出したけど、これからチビちゃんたち
からお仕置きを受けることになるけど我慢してね。ちょっとした
儀式というか、おままごとだから……」

 彼女は気になることを言って、とある部屋のドアを開けるので
した。

***************************

5/9 女の都 ~5~

5/9 女の都 ~5~

*)派手なシーンはありませんが、一応Hな小説です。

 リサちゃんが学校で居残り勉強していることは、当然、家族の
中でも話題になっていました。

 「居残り勉強って……クレマン先生と?」
 「へえ~あの子、頑張ってるんだ」
 二人の姉はお母さんに詰め寄ります。

 そのお母さんは、台所でビーフシチューとハンバーグを作って
います。いずれもリサちゃんの好きなおかずでした。

 お母さんはその日の朝、新しい下着をリサちゃんに着せていま
した。まさか、初日からクレマン先生にパンツを見せることには
ならないでしょうけど、お母さんはお母さんなりに心配していた
のです。

 そんな家族のもとへリサちゃんが帰ってきます。
 「ただいま~~あ~~お腹すいた。勉強するとお腹がすくわ。
……あっ、私の好きなビーフシューとハンバーグじゃない。……
ラッキーー」
 明るい声でした。

 「ねえ、クレマン先生どうだった?怖かった?」
 「全然」リサちゃんは首を振ります。

 「電気ショック、何回くらいもらったの?」
 「一回もなかった。……でも、二時間はやっぱり長いわ。最後
は死にそうだったもん」

 「まあ、あんたの場合、これまで15分と続けて勉強したこと
なかったからね」
 「失礼ね、あるわよ、そのくらい」
 「嘘おっしゃい。勉強机に向ってても大半マンガ読んでるだけ
じゃないの」
 「嘘です~~15分以上かかる宿題だってあるもの」

 「ほらほら、夕ご飯にするわよ」
 お母さんの声で、姉妹喧嘩はそこでお開き。

 実際、リサちゃんにとって初日は問題ありませんでした。
 長い時間の勉強で疲れましたが、クレマン先生だっていきなり
難しい事をリサちゃんに求めたりしません。まずは、前の学年の
おさらいから順序だてて説明してくれます。ですからリサちゃん
だって大丈夫。電気ショックの洗礼も受けずに済んだのでした。

 ただ、初日はそれでよかったのですが、二日目、三日目と序々
に内容も難しくなりますし、問題を解くスピードも、速さが求め
られるようになって……四日目、ついに最初の電気ショックが…

 あとは日を追うごとに、電気ショックの数が増えていきます。
電気ショックはそれ自体ものすごく痛いものではありませんが、
まるで追い立てられるように問題を解かされるのはプレッシャー
で、リサちゃんはついに泣き出してしまいます。

 べつにぶたれたわけではありませんが、クレマン先生の要求に
ついていけないのが悲しかったのです。

 ま、これもお仕置きと言えなくもないのかもないのかもしれま
せんが、リサちゃんは、何とかクレマン先生の要求に応えようと
頑張り続けましたから、最後の数日、お勉強が終わる時はいつも
『涙、涙……』でした。

 その代わり、リサちゃんの学力は二週間で見違えるようによく
なっていました。
 本人はもちろんですが、それはお母さんにとっても『感謝感謝』
だったのです。

****************************

 さて、リサちゃんの問題はこうして解決しましたが、子どもを
三人も抱えていると、問題は次から次にやってきます。

 今度は次女のケイトのことで、お母さんはまた頭を悩ます事に
なるのでした。

 「ただいま」
 ある日、ケイトが浮かない顔で帰ってきます。

 「…?…」
 その顔を見た瞬間、お母さんはピンときました。

 もしこれが赤の他人だったら見過ごしていたかもしれません。
ケイトはつとめて平静を装っていましたから。でも、お母さんと
いうのは、その子と赤ん坊の時から接していて、もの凄く小さな
変化も的確に嗅ぎ分ける能力をもっています。

 おやつを娘の部屋へ持って行き、勉強机の上にそれを乗せると
 「何があったの?」
 と尋ねてみました。

 ケイトの答えは…
 「べつに……」
 だったのですが……

 「連絡帳、見せて……」

 お母さんは連絡帳を出させます。
 娘達の通う学校は細々としたことにも目が行き届いていました
から、担任教師のしたためた連絡帳を見れば、たいていのことは
そこに載っています。

 案の定、ケイトの憂鬱の原因がそこに書いてありました。

 『そういうことか』
 お母さんはそれを見て納得すると同時に、小さなため息をつき
ます。

 そこには……
 『健康診断の結果、ホルモンバランスに若干の異常がみられま
したので、一週間貞操帯を装着して経過観察を行います。ご家庭
におかれましてもお気づきの点がありましたらご連絡ください』
 と書かれていました。

 分かりにくい表現ですが、要するに『ケイトにはオナニー癖が
ありそうなので、矯正措置として一週間貞操帯を装着させること
にしました』というものです。

 ケイトも年頃、当然、初潮は済んでいますし、体つきも大人に
向っています。性欲だってないわけがありません。
 ただ、大人というのは身勝手で、自分たちだってその事で散々
悩んだはずなのに、大人になると娘にはやたらと純潔を求めるの
です。

 大人たちは言います。
 『オナニーなんて不健康、シスター遊びは不純な行い。そんな
穢れた娘は、よりハレンチなお仕置きで自分の汚さを自覚させ、
矯正させなければならない』

 これがオニオン星の正論です。

 もちろん、そんなこと子供たちにとっては承服しがたいもので
したが、まだ力のない彼女たちには、それに抗(あらが)うすべが
ありませんでした。

 地球より若干科学の進んでいるこの星の学校では、生徒の座る
椅子に測定器が仕掛けてあって、性的に興奮するとそのデータが
記録されることになっていました。

 もちろん、そんなことが授業中に一回二回あったからといって
問題にはしませんが、これが10回、20回となれば話は違って
きます。

 クラスあるいは学校に特殊な関係を持つ子がいるんじゃないか
と疑われて、放課後、精密検査が行われます。
 クリトリス、膣口、肛門、尿道口…ありとあらゆる恥ずかしい
場所が念入りに調べられ、もしそこで『オナニーの常習性あり』
と判断されれば、その場で、貞操帯を装着させられてしまうので
した。

 オニオン星で使われているこの手の貞操帯は、薄いシリコンで
出来ていて、いったん装着すると自分独りで取り外しできません
し、女の子のお臍の下にある全ての穴を塞いでしまいますから、
オナニーだけでなく、オシッコもうんちも月経の処理も自分独り
では何もできませんでした。

 そこで、用を足すたびに家ではお母さん、学校では保健の先生
の手を煩わせることになります。これは女の子にとってはとても
辛いことだったのです。

 しかも問題はそれだけではありませんでした。

 先生方は誰に貞操帯を装着させているかを他の生徒たちに知ら
れないように配慮しますが、貞操帯を着けられた子はどうしても
保健室の利用頻度が高まりますから、クラスメイトにバレること
だって珍しくありません。

 学校は虐めにつながるような陰口や噂話をもちろん禁止しては
いましたが、女の子って陰口が大好きですからね、告げ口される
と『校長室行き』と分かっていても、貞操帯をめぐる井戸端会議
がなくなる事はありませんでした。

 「ねえ、あの子、誰のこと思ってオナってるの?」
 「そういえば、最近、あの子の方から変な匂いがするけど、朝、
家で一回やってから学校にきてたんじゃない?」
 「わぁ~ばっちい子」
 「家じゃないと思うわ。お母さんにばれたら大変だもの。学校
来てからトイレでやってるのよ」
 「ねえねえ、淫乱ベルト(貞操帯)捲いてるって誰のこと?」

 と、まあ、こんな話をあちこちでされたら、そりゃあ年頃の女
の子が傷つかないはずがありません。その意味でもこのお仕置き
は辛かったのです。

 いえいえ、問題は学校だけに留まりません。
 家に帰っても、こうした話題が大好きな人たちがいます。

 そう、自分の姉妹。
 彼女たちは親しいですからね、噂話だけではおさまりません。
 お母さんの名代として、ウンチやオシッコのお手伝いも……

 姉や妹に晒す自分の恥部はこれ以上ないほどの屈辱的でした。

 でも、それは承知でお母さんは長女のマーシにケイトの世話を
頼みます。それはケイトにとってこの貞操帯が初めてではなく、
また過去に彼女のオナニーを偶然目撃していましたから、ケイト
にその癖があることはお母さんも知っていたのです。

 お母さんは、今回、ケイトに厳しいお仕置きをして、その癖を
治すつもりだったのでした。

***************************

Appendix

このブログについて

tutomukurakawa

Author:tutomukurakawa
子供時代の『お仕置き』をめぐる
エッセーや小説、もろもろの雑文
を置いておくために創りました。
他に適当な分野がないので、
「R18」に置いてはいますが、
扇情的な表現は苦手なので、
そのむきで期待される方には
がっかりなブログだと思います。

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